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①【再掲】8月に読ませて頂いた2024創作大賞応募作

※【注意】こちらの記事の取り扱いについて※

①note以外のシェア禁止
②当該記事に掲載されたかたのみシェアOK
とさせて頂いておりますので、取り扱いにはご注意願います。

今一度
『②【注意】「8月に読ませて頂いた2024創作大賞応募作」のシェアについて』
の記事をご確認願います。

再掲に際して、一応対応策をいたしましたが、それ以外は、9/1に公開した記事とほぼ同じです。(再掲部分は区切り線の間です。)


はじめに

8月になり、既に応援の感想文やスキやコメントの締め切りも過ぎてしまっていますが、私の拙い感想記事に反応頂いた方のところに伺って、その方々の応募作を拝読させて頂いてました。皆さんが、どんな応募作をお書きになっているのか興味があったからですが、これが結構嵌まりました。それぞれ本当に、いろいろなものをお書きになっていらしたからです。
ただ、自分は、その御作の魅力が紹介できるような感想文も、気の利いたコメントも書けないので、拝読させて頂いた後、勝手ながらXでシュアさせて頂きました。(シェア禁止でない方の御作のみ)
なぜかと言うと、あまり存知上げない方のコメント欄に拙い感想を書き込むのは気が引けるし、コメント欄に書き込んでも、他の方への紹介にならないように思えたからです。
もっとも私のアカウントは影響力がないので、実のところ全然拡散にはなりません。それどころか、ご本人ですらシェアされていることをご存じなくて、流れていってしまっている気がします。一方、作者さんからしたら、見知らぬ人が知らないうちに自分の作品をXで上げていたと言うのは、理由がわからなければやや不気味に思える気もします。
そこで、折角拝読させて頂いたので、勝手ながら記事にまとめさせて頂くことにしました。もちろん私がそんなことをしなくても、どの作品も既に多くの方に読まれていらっしゃいます。けれども、noteの海は想像以上に広くて、お互い未だ出遭っていない作品が、たくさん存在している気がします。
それに、こんな事が出来るのも、初めての創作大賞応募期間を体験して、皆さんの熱気に浮かされてハイになっている今年だけだろうなーというのもあります。(元々遅読で読解力も理解力も乏しいのであまり読めないのです)
ただ、伺って探しても創作大賞のタグがついている作品が見つけられないこともあったので、抜けてしまった方がいらしたら、どうぞ失礼をお許し下さい。尚、作品の順番は順不同ですので、そちらもご了承ください。(だいたい読了させて頂いた順です)
また、拝読中、連載物をまとめて読ませて頂いて、通知が連続してしまったり、コメントを書くのは気が引けると言いながら、自分が気になったことは、的外れなことにもかかわらず勢いで書き込みしてしまったりして、大変申し訳ございませんでした。
もし、この記事を目にしてくださったどなたかお一人でも、自分と同じように「そう、この作品面白いんだよね」や「あっ、こんな面白い作品あったんだ。知らなかった」と思って頂ければ嬉しいです。
早いものでもう9月になります。皆さんの応募作を拝読させて頂くのはこれで終わりにして、今後は結果発表を静かに楽しみに待つことに致します。


野やぎさん「みんなの#創作大賞2024 note読んだまとめ100作」&「ショートショート『ヨシダは死にました』ほか」


まず、最初はこちらから 

多分既に皆さんご存知だと思いますが、どんな応募作があるか知ることが出来るガイド的な作品。早くから上げて頂いていたので、期間中にまずこれを拝読させて頂けば良かったと思いました。
100作に目を通すのは物理的に凄いと思いますが、既に3年目とのこと。野やぎさんの創作大賞愛をひしひしと感じます。

そんな野やぎさんのご自身の作品の中から

どこか繋がっていく七つの物語。まず、表題作のショッキングなタイトルに目を惹かれました。そして、ラスト一行の秀逸さに驚きました。また、ラストまで読むと、このタイトルのフレーズの温かさが伝わってきます。さらに、物語は次の誰かに続いていきます。どこか切なくて、でも温かい何かを感じさせてくれて、時にはやられたーと思いながら拝読させて頂きました。ところで、この作品を読んだ誰かが、絶対どこかで、「○○は死にました」のフレーズを使っているような気がするのは私だけでしょうか。

ハタモトさん「星を渡る舟と水晶の予言」

AIを使ってお書きになったというファンタジー小説。内容は、お子さんでも楽しめるという冒険物語で、各章にイメージ音楽と綺麗なイラストが添えられています。どの部分にどのくらいAIを使って創作されたのか、そういう技術に疎い自分には分からないのですが、こういう時代が、もう身近に来ているのだなと思いました。未だ、電子書籍すら読んでいない自分には、新しい未来の姿を垣間見させて頂けて興味深かったです。内容的には、優しい主人公達が活躍する物語で、そこら辺もAIという機械的な物との良い意味でのギャップを感じました。お話は完結していますが、続きがありそうなので、またどこかで拝見させて頂けるのかもしれません。

あまざき葉さん「短編小説 あなたに食べさせる肉がない(残酷描写あり)」

ホラーあまり得意でないので、残酷描写というのに緊張して読み始めたのですが、洗練された文章で、自然に作品の世界に溶け込めました。確かにじんわり怖いけれど、ああこのくらいならと思いながら読み進めてラスト、えっ?これって…?実際描かれていない分、怖さが増しました。うん、すごく怖い。さらに主人公の置かれた立場から罪悪感を感じなくて済むように設定されているので、後味も悪くない分、純粋に怖かったです。

いっしゅさん「トイレ代行サービス ーショートショートー」

野やぎさんの100作で面白そうと思って拝読させて頂きました。自分でも面倒だったりTVの続きが気になったりして、誰か代わりに行ってくれればーと思う事が度々あるので同じような方がいるんだーと嬉しくなって読み始めました。けれども、そんな横着者の話ではありませんでした。確かに、あったら助かるサービスかもですが、ちょっと怖いです。ショートショート的なオチもちゃんとあって、個人的には、こう来るか!的な発想が面白かったです。

紡ちひろさん「春、ふたりのソナタ」

恋愛もの苦手なので、普段あまり読まないのですが、抵抗なく読み進められました。確かに恋愛も物語の重要な軸なのですが、主人公達が成長していく過程で、自分自身と向き合って行くことにおいて直面する感情の一つという感じだったからだと思います。それ以外にも、校内文芸コンクールの結果や音楽室の謎とか、気になる出来事がたくさんあって、読み終わってからそう言えば恋愛だったのねという感じでした。音楽室の謎は、まさかの人物が絡んでいて、えっ!そうだったの!と驚きました。ご職業が脚本家さんということで、会話している場面は、その情景が浮かんでくるように感じられて、さすがだなと思いました。

現在、続編を執筆中されているそうで、こちらも楽しみです。

青乃屋さん「【フォト小説】たどりついたら猫の島」

四十前という若さで亡くなってしまった夫の面影を求めて夫の本籍地である島を訪ねる妻の物語。旅行記の形で実際の舞台になった島の風景や猫の写真が添えられています。物語としては、物凄くしんみりとした内容だと思うのですが、海のある風景やたくさんのお猫様達の写真で、なんとなくほっとした気持ちにもなれました。作者さんは新作落語の台本をお書きになっている方だそうですが、笑うオチがあるわけではありません。それでも、確かに旅は残された妻の気持ちを癒やし、これからの彼女の人生の新たな入り口になったのを感じられました。大人になっても、時には何かを飛び越す事が、必要なのかも知れません。

蒼樹唯恭さん「かぐや姫の憂うつ (短編小説)」

誰でも知っている超有名な物語をアレンジした作品。かぐや姫の性格や感情が想像以上に宇宙人的に描かれていて、その近未来的なアレンジの仕方が面白いと思いました。帝も、今まで読んだ物語とは、また違うイメージで、こちらも印象に残りました。ラスト、短絡的な自分は、えーこれで終わってしまうの?と一抹の淋しさを感じましたが、読んだ人がいろいろと考えられるところが、余韻に浸れて元の物語にも相応しいのだろうなと思いました。また、作中、その当時の物の名前(御殿や打ち掛け等)をカタカナ表記にするという工夫にも目を惹かれました。

オーウェンちゃんさん「なんてったってアイドル!~秘密の文化祭大作戦~」

どなたかのところでお勧めに出てきて、タイトルとイラストに惹かれて拝読させて頂いた作品です。自分は、漫画の原作をどういう風に書くのか知らないのですが、脚本風に描かれていて読みやすかったです。気象変動を食い止めるために総理大臣を目指す少女が主人公なのですが、内容もお説教臭くなくて、主人公の暴走ぶりを楽しめました。また、主人公のアイドル化を推進するオタクくんの「気象変動に興味ない人にもアイドルだったら主張に注目して貰えるという」考えも無理なく入ってきました。3話で終わっているのですが、漫画原作の規定が3話なので、多分この後も続きがあるのだと思います。ラストがどうなるのか気になるので、またどこかで拝読できたら嬉しいです。

サミュエル・L・シュウイチさん「ダークエルフの骨董屋(アンティーク)」

3つのエピソードからなる物語。異世界物にあまり馴染みのない自分にも、物語の設定がわかりやすく読みやすかったです。それぞれの希望を叶えるための道具を手に入れるために、ダークエルフのマレーネの店を訪ねる人々。ここまでは、まあ普通のファンタジーですよね。ただ、どのお話もその後の展開がなるほどな~と思えました。自分の性格ゆえかもしれませんが、登場人物達に同情するというよりも、思わずふっふっふと笑いたくなるようなお話でした。1話から3話まで読んでいくにつれ、だんだんそのダークさが増していくのも面白かったです。特に最後の物語のダークっぷりは、なかなかでした。

しゅう独白さん「ねずみの中には人がいる」

この酷暑の中、全国の中の方達は、物凄く大変な状況なのだろうなと思いながら読み始めました。が、ジャンルの通り、酷暑の件など(過酷なことにも触れてはありますが)吹っ飛ぶホラーな内容でした。また、自分はテーマパーク自体に思い入れがないので、抵抗感なく面白く読めましたが、夢や憧れを持っている方には結構ショッキングな内容かもしれません。最初は、中の人の日常があまりにも詳しく描かれているので、これリアなお話?こんな暴露して大丈夫?とやや心配になりましたが、途中で控え室での怪し気なゲームや女王様(トランプのクイーンではないわよ)が出てきたりしたので、やっぱり創作よねと安心して読み続けました。いや、別に中の人がプライベートで女王様との時間を楽しんでいても別に構わないのですが。中の人達の日々もホラー、パレードの惨劇もホラー、ラストもホラーとなかなかブラックさが極まっていて面白かったです。

自活屋徳々さんの「母・子おる」

エッジの効いた物語が続き、ラストの仕掛けに驚きました。作者さんも後書きの記事で書かれているように、絶対最後から読んではいけない作品です。実際、最後だけ読んでも意味は分からないだろうし、どんでん返しの面白さもわからなくなっています。4つのパートを掛け持ちして家族を支える母親に、行方不明になった父親を探すよう頼まれた中三の「僕」は、父親のインスタを手がかりに小田原に向かいます。ジャンルはミステリとなっていますが、最初は、そのジャンルに疑問を覚えながらも、「僕」の心情や登場人物達の行動に圧倒されながら、読み進めました。そして、えっ?と思うラストを迎え、所々で感じた違和感の理由が溶けていく、不思議な構成に驚かされました。個人的には「僕」の部分が好きだったので、謎が解けてしまった後、ちょっと寂しい気持ちにもなりました。ただ、「僕」で終わったらミステリでなくて俗に言うブンガクになるような気がしました。

さちさん「おはよう、私」

優しい音色のピアノ曲から生まれた三つの物語。各話、違う主人公の物語が綴られています。一つ一つは短いお話ですが、それぞれの人生の深さが描かれていて、生きるということは難しいなと思いました。人は皆それぞれ、自分の状況を受け止めていくしかないのでしょう。ある人はあることを、ない人はないことを、そして自分は自分だと。それは、ある意味残酷なことでもあり、自分自身に向き合い自分という存在を認めると言うことは、思いのほか辛い事もあります。けれども、どんな人生が良いと言うのではなく、人はそれぞれの人生を精一杯生きていくしかない。そんなことを感じました。ピアノ曲から物語が出来て、今度は元々曲についていた詩を歌う方が出て来てという過程も、noteらしい広がりだなと思いました。

伊藤鞠さん「Station boys」

戦後の混乱期の戦災孤児達の物語。やっと生き残ったものの悲惨な状況に置かれた彼らは、なんとかして命を繋ごうとしますが、その先にはさらなる闇が広がっていきます。内容は凄惨な話ですが、読みやすく物語としても面白かったです。自分も大変な境遇なのに子供達の面倒を何かと見てくれる人情厚いお姐さんや主人公達の未来も気になりましたが、最後に音楽の話が出てきて少し明るさがあったのが救いでした。あらすじにはかなり先のことまで書かれていますが、こちらも漫画原作部門への応募なので、とりあえず3話まででした。個人的には、このまま小説でも良いのではと思いましたが、確かに、漫画という媒体を通した方が、より多くの方に伝わる気はします。あらすじを拝読すると驚きの展開になっているので、またどこかで機会があったらと思います。

カノウマコトさん「マザーレスチルドレン」

こちらも漫画原作部門の応募作。ディストピアの近未来が舞台。厳格な管理体制の中で生活する人々。一見、社会には秩序があって、人々の最低限の生活は守られているように見えるが、そこには恐ろしい裏が…という物語。主人公のハルが真面目で穏やかな青年なので、最初はそんな中でも人間らしさを忘れない人々の物語かなと思ったのですが、やっぱりそんな甘い話しではありませんでした。あらすじにも残酷・暴力・性描写有りになっているので、それなりにダークな部分を覚悟していましたが、とりあえず今のところは自分でもついていける範囲でした。漫画原作部門応募作ですが、物語として描かれているので読みやすかったです。ラスト、一応結末がついて終わっていますが、解明されていない謎もあるので、続いているというか、多分、壮大な物語の冒頭なのだろうと思いました。個人的には、ヤマサキ先生が某所で何をしていたのか知りたいです。

杉菜カズアキさん「ツイスト・イン・ライフ」

それぞれ挫折した過去を持つ4人をとりまく物語。個人ごとに独立した話が続いていくので、それで終わるのかなと思ったら、あらすじにもあるように途中から人生が交差していき、その交わり方がなかなかの鳥肌物でした。音楽が重要な題材になっていますが、それよりも各々の夢をどこでどうやって叶えていくかということが重要なように思えました。諦められない人、すっかり諦めて他の仕事に就いている人、そんなことも考えずに純粋に好きで向き合っている人、夢を叶えてプロになったもののまだ本当の自分と向き合えていない人。そんな人達の周りを家族や友人や大切な人達が、支え励ましていきますが、大人になれば生活もあるし、夢を叶えるのはそう簡単ではない現状も丁寧に描かれています。ラストでタイトルの「ツイスト・イン・ライフ」の意味がわかって、物語の最後のピースがはまった気がしました。

しゃんしゃんさん「詩小説『引越物語』」

ゆったりとした大河の流れを眺めているような物語でした。出てくる人々は、皆おおらかで優しく、力強く生きています。最初は、その自由さに、頭が固くて心が狭い自分は戸惑いながら、拝読させて頂いていました。ただ、登場人物達の行く末に心を奪われていくうちに、少しずつその柔らかさに馴染めていった気がします。実際、読み終わって、小説はもっと自由でいいのかもしれないと思いました。日頃から囚われている既成概念を取り払ったら、この世界はもっと違って見えるのでしょう。息苦しさや閉塞感を感じているとしたら、もしかしたら、それは、自分が勝手に作りだしてしまったものかもしれません。とうとうと流れていくような物語を拝読させて頂いて、そんなことを思いました。

西藍希さん「甘い匂い たどって見つけた 八重くちなし」

俳句をタイトルにして、その句の情景を書いてくださっているので、歌が全般が全然だめな自分でも、わかりやすくて有り難いです。
仕事帰りにふと漂ってきた甘い匂いの元を辿って、美しい白い花を見つけた作者さん。その情景が闇の中に浮かぶ綺麗な白い花の写真と共に、綴られています。拝読して、くちなしの花に八重があったのを初めて知りました。考えて見ると、自分がくちなしの花を見たことがあるかどうかも疑問です。その証拠に、くちなしというと、まず、料理に色をつける花というのを思い出すので、なんとなく黄色っぽい花だと思っていました。こんな綺麗な白い花だったのだなと思いながら、もう一度タイトルを読み返し、その情景に浸りました。

宮澤重夫さん「現場の自衛官が見た福島第1原発事故(加筆Ver.)」

元となっていらっしゃるので、今はもう現役の方ではないのかも知れませんが、現役だったときにまさにあの現場にいらしたとのこと。拝読させて頂いて、もう、ただただありがとうございますと申し上げるしかない気持ちです。あのときニュースで、その後、特集番組等で見ていたあのTVの画面の向こうの現実は、こうだったのだなと改めて思いました。あれから、止める事の出来ない力も怖いし、自然エネルギーといいながら山の一面を覆うような方法もどうかと思いながらも、今もこうやって電気があるのが当たり前の生活を送っています。社会も車にしても生活に便利なアイテムにしても、ますます電気を使うように進んでいます。そう考えると、まだまだ、「あの日」が続いていることを忘れてはいけないのだと思いました。

空川億里@ミステリ、SF,ショートショートさん「地球に優しい? 侵略者」

タイトルから、宇宙人が地球を侵略したら思いのほか住みやすくなった地球人に喜ばれて「あれ?」と思ってしまった話しなのかなと思ったのですが、そんな甘くはなかったです。実は、全66話というのを見て、最初ちょっと引いてしまったのですが、読み始めたら面白くて読みやすいし、一話ごとの長さもちょうど良く、無理なく拝読させて頂くことが出来ました。ストーリーだけでなく、人物や戦闘シーン、近未来の装置なども細かく描かれていて、そのクオリティの高さに驚きながら拝読しました。読了後、Xでシェアした際、作者さんから何年もかけて執筆したと伺って納得しました。個人的に面白いと思ったのは、侵略者がクマ型宇宙人なので、そのもふもふした体毛が良く抜け落ちるため掃除用ロボやアイテムが行き届いているというところでした。そんな風に結構ほんわかした設定もありますが、大部分は敵や味方が入り交じり、スリルのある内容です。ちゃんと結末もついていて、読後感も良いお話でした。

兄弟航路さん「【小説】家族の存在証明」

登場人物達のいろいろな感情が渦巻いて、なんともいえない染みのようなものが心に広がっていくような気がしました。重い内容ですが、読み応えがある物語でした。両親に溺愛され幸せな生活をしていた少年、ただその家庭には微かな亀裂が存在していました。やがて、幸せな生活はある日突然終わりを告げてしまうのですが、その原因は元から有った亀裂ではなく、全く別の事で驚きました。ただ、一番驚いたのは、拝読させて頂いた後に、恋愛小説というタグを拝見したときでした。確かにこれは、恋愛なのかもしれません。ただ、その形は、やや歪で通常では恋愛に見えないようなものです。そして、同時に物凄く純粋に思えました。それは、それを織りなした人々の不器用さゆえなのだろうと思います。一度崩壊した家族が、また再び家族になっていく。けれども、それはもう元の家族とは全く違う形になっていくのでしょう。その姿に微かな明るさと存在を感じました。

とーとさん「【連作短編】はざまの街で」

優しい優しい物語です。最初は画像のイメージもあって、お料理小説なのかなと思ったのですが、全然違いました。もちろん、お料理も大切な軸ですが、それよりもそれを親しい人や心温かい人々と一緒に作り食べていくということが、重要なのだろうと思いました。どこか謎のある主人公達、そこに訪れる心に重荷を抱えている人々との交流が、優しく穏やかな文章で描かれています。どの章も心安らぐような素敵な物語でした。そして、読み進めていくうちに、主人公達がなぜここに居るのかも明らかになっていきます。同時に、この夏の暑さで疲れた私の体と心も癒やされていく気がしました。この物語を拝読していると、どこかにこの街があるような気がしてきます。いえ、あってほしいなと思いました。でも、この「はざまの街」はどこかにあるのでなくて、私達みんながそれぞれに周りの人々と創り出していくべき場所なのかもしれないと思いました。

子育て×読書研究家さん「音声詩集/銀の夜 第一夜/五行詩篇」

イメージ画像が添えられたプロローグ+五つの五行詩からなる世界です。詩や歌のことはよく分からないのですが、宇宙の広がりを感じられる綺麗な言葉の中に、この世界ヘの憤りや哀しみも感じられるような気がしました。
更にその詩が音声で聴けるようになっています。今や、目で読むだけでなく、耳でも聴けるようにツールで個人の記事に埋め込むことの出来る時代になりました。作者さんは普段から子育てや本のことを配信されているそうです。こうやってSNSで文章や小説を拝読させて頂いていますが、あいかわらず紙の本派の自分には、驚くばかりです。

たおたおさん「ラスト・チャンス ~ゲームの主人公に転生したらどのルートもバッドエンドだったんですが!?~」

いくつか応募作を上げていらしたので、どれを拝読しようか悩んで、こちらをチョイスさせて頂きました。そして、読み始めてすぐに、選択成功!と心の中でガッツポースしておりました。ともかく面白かったです。主人公は、リケジョの女子大生で、ある乙ゲーにはまっています。ゲームには3つのルートありますが、どれを選択してもバッドエンドになってしまいます。そんな主人公は、不思議な案内人に導かれて、プレイしていた乙ゲーの王女に転生し、謎を解いて真エンドを目指します。登場人物達を観察しながら、リケジョの知識を生かして「魔法」と呼ばれている仕組みを解明して新しいツールを開発したり、他人の恋バナで盛り上がったりと、八面六臂の大活躍です。文章も面白くて、これでご飯三杯いける!とか元の主人公のオタクな面がところどころに顔を出して、思わず笑ってしまいました。
また、こちらの作者さんも、創作大賞応募作の紹介記事や感想をたくさん上げていらっしゃって、すごいなと思いました。

谷俊彦さん「万博の目玉」

さて、最後は、プロの先生の御作なので、自分のような者が感想を申しあげるのもおこがましい限りですが、とても面白かったので紹介させて頂きます。
「○○の目玉」というのは、良く聴きますが、それが実際に言葉でだけでなく、存在してしまうところにまず驚きました。そして、意外な展開に、また驚きました。小説の構成については、よく分かりませんが、こういう展開もあるのかと、びっくりしました。ホラーだそうですが、最初は、ほのぼのとした感じだったのが、回が進むにつれてだんだん怖さが増してきます。その進み具合にも、もちろん無理がないので、いつの間に自分はこんなところまで来てしまったのだろうという気分になりました。同時にふにゃりとした目玉の不気味な柔らかさが、実際に感じられるような気がして、ぞわりとしました。
ところでもう一つ不思議に思うのは、なぜプロの方が前回の私の記事を見つけてくださったのかということです。ただ、紹介させて頂いた作品が、もしお目にとまったらこれほど嬉しい事はありません。
拙い感想記事をお読み頂き、また面白い御作を拝読できて感謝です。ありがとうございました。

終わりに

ここまで、お付き合い頂き、誠にありがとうございました。
前回の記事で既に感想を書かせて頂いた方の別の作品もご紹介したかったのですが、とりあえず今回は初めての方々のみとさせて頂きました。
皆様の益々のご健勝とご活躍をお祈りして、ご挨拶に代えさせて頂きます。

※尚、今回ご紹介させて頂いた方で、note以外のシェア禁止の方がいらっしゃいますので、この記事をもしシェアしてくださる場合には、note内のみでお願い致します。
(こちらは変更しましたので、下記をご覧願います)


※【注意】こちらの記事の取り扱いについて※

①note以外のシェア禁止
②当該記事に掲載されたかたのみシェアOK
とさせて頂いておりますので、取り扱いにはご注意願います。

今一度
『②【注意】「8月に読ませて頂いた2024創作大賞応募作」のシェアについて』
の記事をご確認願います。