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【父が不倫した】選択肢(vol.4)
もし、婚姻関係にあるパートナーが不倫しているとわかったら、自分にはどんな選択肢があるだろうか。
例えば私なら、彼に「私はあなたが不倫していることを知っている」と伝える前に、まずは徹底的に証拠を集めるだろう。私に限らず、大多数は、
①わかった時点で相手を問い詰める
②まずは徹底的に証拠を集める
③知らなかったことにする
の3択ではないだろうか。中には、「不倫相手に抗議しに行く」という人もいるかもしれない。私は自分の性格上、間違いなく②を選択する。
③を選ぶ人は、相手がたとえ不倫していても、表向きには何事もなく婚姻関係を続けるほうがメリットだと感じている人。それ以外を選ぶ人は、そこからさらに、
A.離婚する
B.相手とは別れさせて関係を修復する
という、最終的な「目的」の選択を迫られる。
私は、この選択肢も絶対にA。行動の選択肢として②を選ぶ前に、目的は決まっている。
うちの母は、父の不倫が発覚した時、まずは私と同じ②を選んだ。父の携帯、財布、日記、父の書斎のデスク周りと、チャンスがあれば証拠ばかりを探しを続けた。そのために眠らなくなっていった母を見て、こちらが「もう十分だよ。携帯チェックやめなよ」と何度も止めに入ったほどだ。
ただ、母の場合、私と違ったのは「目的を定めるためにまず、証拠が必要だった」ということ。
しかも、「父の裏切り(不倫)の証拠」を探しているというより、「父は悪くないという証拠」を探してるようだった。裏を返せば、「不倫はあくまで相手の女のせいである証拠」が欲しかったのだと思う。目的Aを選択したくはなかったのだ。
離婚は幸せか?
34歳にもなると、結婚の酸いも甘いも経験してきた人たちが周囲に少なくない。
もちろん、離婚した人たち全員が「不倫」を原因にしているわけではないけど、30代では離婚理由の多くがそれになるのは想像に難くないだろう。
ただ、夫側の不貞行為で離婚する場合、まだまだ妻側の「不利益」が大きいと捉える人は多く、「白黒ハッキリ」とはいかないのも現実のようだ。
聞こえてくるのは、
*離婚後の生活費は大丈夫か
*子供の養育費は払ってくれるのか
*シングルマザーで働くのは大変
などなど、経済面での不安が大半。「旦那のことがまだ好きだから別れたくない」なんて話は、大抵はきれいごとだと思っている。個人的な意見かもしれないが、女性はパートナーが自分以外の女性に走った時、愛情を憎しみに変えるのが早い。
それでも、その憎しみをはるかに上回るのが、母のような老後への不安だったり、子どもへの愛情だったりして、故に別れないという選択肢を取るのは理解できなくもない。
実際、数年前に夫の不倫が発覚した友人は、まだ子どもが幼く専業主婦をしていたこともあって、離婚を断念した。彼女は「時間が癒してくれるって本当だよ」とみんなの前では笑い、2人になってから「自分に稼ぎがないってつらい」とつぶやいた。
騒動から2年が経ち、先日久しぶりにその旦那とも会ったが、傍目には決して“修復できた”ようには見えなかった。
一方で、東京に住むある友人は、子供が生まれて間もなく夫の不倫が発覚し、すぐに離婚を決め、ひとりで証拠を集めた。夫からも不倫相手からも慰謝料をもらい、養育費もちゃんと支払ってもらっている。子どもが小学生になる頃には希望していた会社に転職し、新たな彼氏もゲット。彼女は会うといつも、「離婚してよかった」と笑う。
前者の友人のほうが、「世帯収入」で見れば余裕があり、今も豪華な生活をしていることは間違いない。それでも、スパッと不倫した夫を切り捨てた後者の友人のほうが、私には幸せに見える。
何より、私自身が「離婚してよかった」と、心から感じていた。
私の場合、離婚理由は「不倫」ではなかった。「生き方の違い」というと大げさだけど、働き方や休日の過ごし方、お金の使い方や人との付き合い方、そのすべてにおいて“我慢する”ということに我慢できなくなって離婚した。子どもがいなかったというのも大きいけれど、離婚後の経済的不安より、あの嫌な空気に耐え続けることに限界を感じていた(これについてはまた詳しく書いてみたいと思う)。
結局、私は離婚後のほうが稼げているし、生活も自由になって楽しく暮らしている。だからこそ、父の不倫が発覚し、「母もそうに決まっている」と思い込んでいたところがあった。友達の人生までは責任が持てないから、先の友人には「離婚しなよ」とは言えなかった。でも、母なら、何かあれば助けられる。
そう私なりに、私たちなりに覚悟を決めたからこそ、母の煮え切らない態度は日に日に私と妹に大きなストレスを与えていった。
父の不倫相手の正体がわかると、母の怒りはさらに、父よりも相手の女性へと向いていった。