エクストリーム7年生 (7)

  第三章・舞台を止めるな (4)

「あの事件で」
 チラシを置いた額は自分の事務机に戻り、話を続けた。
「学園祭は中止になり、“三劇”も解散に追い込まれた。それは落窪君も知っているだろう」
「ええ」
「しかし現役部員や卒業生が復活の道を模索し、昨年からは非公認サークルとして活動を再開した。そして今回、2年ぶりに戻ってきたわけだ」
「そういうことで……」
 聞き終えた三土は、再びチラシに目をやった。演目の「どうぶつの里」は草石が好んで書いたシリーズものだが、「今日もドッタンバッタン大騒ぎ」なんて作品はあっただろうかと天井近くの壁を仰ぎ見ていると、額が答えるように言った。
「それ、“原案・草石倍”って書いてあるだろう。彼の草稿が部室に残されていたそうだ」
「草稿ですか」
「そう。それをもとに三劇の関係者が脚本を書いて今回の公演に出した、と」
 OBの志を継ぐ殊勝な(あるいは無謀な)人がいるものだなとスタッフの欄を見るなり、三土は目が点になった。

「額さん、これ……」

   (続く)