エクストリーム7年生 (10)
第三章・舞台を止めるな (7)
サブマシンガンを構えたまま、サルの着ぐるみは得意気に言った。
「助けを求めたところで、一体誰が……」
「「エクストリイィィィィィィィィィィィィム!!」」
1000人収容可能の大教室に、あの大音声が響いた。ハッとした二階浪が周囲を見渡すと──教室の上手側を壁沿いに走る影が見えた。その影は教壇脇の階段を駆け上がると、ウサギの着ぐるみを前方宙返りで飛び越して二人組のサルに対峙した。僕を飛び越えた!? ──二階浪が驚くのをよそに、エクストリーム7年生は二人組のサルを見据えて言い放った。
「里の平和を乱す悪党ども、許さん!!」
助けに来てくれたうえ口上を作品に合わせてくれた点は二階浪にとってありがたがったが、どうにもエクストリームの見た目が異様だった。袖を切り落とした黒帯の空手着の下にはボディビルダーを思わせる肉襦袢、そして頭部は──虎に似た、黄色の地に茶色の斑が入った動物の被り物だった。
どこかで見たような……と二階浪が思うまもなく、風紀委員の怒声が飛んだ。
「何者だ、チーターマンもどきが!」
「あれと一緒にするな、この里の“豹頭王”と呼んでもらおう!」
「本家に怒られるぞ!!」
客席は大ウケだった。異常過ぎる事態を理解しかねていたのかもしれなかったが、「ドッタンバッタン大騒ぎ」の演目に偽りのない展開が面白く映ったようだった。
(続く)