noteを続けるモチベーションをもらった話
放浪の末にオレゴン州ポートランドにたどり着き、住み始めて3年目に突入。映画AKIRAのように荒れるアメリカの情勢の中、日々生きる希望をポートランドでコツコツ集めている。住む街のいいところを見つけることは、わたしの人生のいいところを見つけること。1988年生まれ、鎌倉育ち。
最近、ブログをもっと書きたくなって、noteを使い始めた。noteは、書くのが好きな人にはとても使いやすいサービスだと思う。他のプラットフォームとは違って、画像よりも動画よりも、ここは文章の場であるというのが、使い心地からはっきりと伝わってくる。
が、noteを使い始めてすぐ、書く人には使い勝手がよくても、読者はつくのか?と思うようになった。どれだけ書いたところで、読んでくれる人があらわれなければ、noteというサービスを使うモチベーションがいずれ下がっちゃうんじゃないか。
そんなふうに、noteってどうなの?という疑問がむくむくと膨らんでいるとき、noteのおすすめ機能で、笠原なつみさんを見つけた。「元気がなくても作りたくなるレシピ」、というテーマで、彼女のレシピや、生活に対するフィロソフィーを紹介してくれている。
なつみさんは、20代半ばで白血病をわずらったことをきっかけに、料理に目覚めて、その後料理教室を運営、今はレシピ開発と執筆に注力されているそう。旦那さんは小麦アレルギー、彼女は乳製品アレルギーということで、紹介されているレシピはどれも小麦・乳製品オフ。
副腎疲労と、甲状腺機能低下を抱えているわたし。すぐに疲れて、簡単な家事をするのもしょっちゅうしんどいと思ってしまう。そして、小麦・乳製品遅延性アレルギーも持っている。もうこれは私がまさに探していた人だと思って、彼女の記事を読み始めた。
紹介されているのは材料もそんなに多くなくて、手順も簡単なのに、体によくて見た目にもおいしそうなレシピ。なつみさんは写真も上手。夢中になって、いくつも記事をクリックしていたら、「はじめての出版体験をお話しします」という記事が出てきた。
noteでの執筆・発信活動を通じて、出版が決まったというなつみさん。そして、そのお話を個別でシェアしてくれるとのこと。
書くのが好きな人の多くは、いつか本が出せたらいいなと思っていると思う。私も、認めるのはちょっと恥ずかしいんだけど、その例にもれず。なつみさんから出版のお話を聞いてみたい。そう思って、さっそく申し込んでみた。なつみさんがなぜ出版のストーリーをシェアしようと考えたのか?気になる方はぜひこちらの記事を読んでみてね。↓
ふんわりにこやかで話しやすい雰囲気のなつみさん。本当に文章から伝わってくる雰囲気そのままの方。旅の話や私の住んでいるポートランドの話で盛り上がったあと、思い切って疑問を打ち明けてみた。
「なつみさんは、noteを通じて出版が決まったとおっしゃってましたが、noteって、たとえばアメブロやInstagramと比べても、読んでいる人があんまりいないイメージで。続けるモチベーションが難しいなって思ってます。なつみさんはどう思いますか?」
そんな私の正直な問いに、なつみさんはこう答えてくれた。
「noteはね、出版業界の人が結構読んでくれてるんですよ。noteって、他のプラットフォームとは違って、書くこと・読むことが中心になっているから、編集者さんたちも、本になるまでが想像しやすいんだって。私も実は、通っていた出版ゼミで知り合った編集者さんに、noteを使うことをすすめられたんです」
なるほど…と思わずうなってしまった。
「noteというのは、文章のポートフォリオのようなもの。更新を続けていくことでその人ならではのカラー、切り口を見せることが出来ると思う。」
なつみさんのnoteの更新を見ていると、それは明らかだ。
なつみさん自身の写真が載っていなくても、なつみさんが切り取った料理の写真、そして文章から、なつみさんの人柄と大切にしているものが伝わってくる。それが積み重なって、読んでいる私にも、彼女の個性が立ち上がってくる感覚がある。
「それに、noteが他と違うもう一つの点は、文章のコンテストがたくさん開催されていること。私も料理部門のコンテストに入賞したことがきっかけで、出版が決まったんですよ。」
なつみさんは色んなことをさらっと教えてくれたけど、私にとっては、とっても目から鱗だった。まず、ここは文章が好きな人が集まっている場所だ、ということは、出版関係の人も読みに来ている!ということだと、少し想像すれば考えられそうなことも、あまりに他のプラットフォームに慣れすぎていたせいか、頭に浮かんだことがなかった。
そして、noteでたくさんのコンテストや、公募があることは知っていたけれど、「どうせ自分が応募しても意味ないだろう」と思って、挑戦してみることすら考えていなかった。ううん、期待して、行動を起こして、何も起こらないことが怖かったから、最初からあきらめてたのかも。
私はInstagramで活動していたから、たくさんフォロワーを集めて、バズらないと、出版だろうが、ビジネスだろうが、成功はできないという固定観念を持っていた。だから、noteで更新を続けることに、不安を感じていた。
実は、なつみさんも同じようなことで、悩んだことがあったそう。
「もともと本を書きたかったのですが、まずはInstagramでフォロワーを増やしたらとアドバイスされることが多くて。でも、本を書くためにInstagramをがんばるのは本末転倒かなと思って…
本を書けば、フォロワーは自然に増えるんじゃないかと思ったんです。そこで思い切って、フォロワーの数ではなく、執筆と出版にフォーカスしたんです。」
なつみさんは、ふんわりした中に、クレバーさと芯の強さを兼ね備えた人。そうでなければ、その決断はきっとできない。
なつみさんと話して、久しぶりに、自分のまだまだ知らない可能性やルートがあるんだって思えた。もちろん、なつみさんと同じように行動したら、自分が同じ成功ができるとは思っていない。
けれど、noteで書き続けることが楽しみになったのは、間違いない。なつみさん、貴重な体験談をシェアしてくれて本当にありがとうございました。