龍の子たち
#遊び詩
#遊び詩の物語
太陽と月が重なる夜が来る。龍は虚空へ行かなければ。
龍は月を通り太陽へ向かう。月は震え地球も震え太陽を震わす。地上には風が吹き雨が降る。
「大丈夫ですよ。私が見ますから。」
と、蜥蜴が言う。龍は地上に呆れていた。しかしそれは迂闊だった。ともかく、龍は空へ向かった。
龍の子たちは蜥蜴に預けられた。
蜥蜴は地を這う虫や蛙を食らう。地の肉を喰らった龍の子たちは地に落ちた。角も髭も生えず、鱗は薄くなった。そのうち手足も失い、とうとう地を這う蛇になった。
戻ってきた龍は、蛇になった子たちを見て嘆いた。自分が愚かだったのだ。蜥蜴に龍の何が分かろうか。任せた自分がどうかしていたのだ。
龍の子は中空にいて、草木や花の氣を吸う。
地の萬物から上がる氣を吸うのだ。
龍はごうと吼えた。それは天に響き、地を震わせた。大風が吹き、そして大雨が何日も降り続いた。天と地の間に水が満ち、その境は分からなく、なった。
蛇になった龍の子たちは、その水に洗われた。そして、水の氣をたどり、中空に上がっていった。