物事の本質① 首相を狙うテロリズム
現職の総理大臣が暗殺される、あるいは暗殺されかける事件は歴史上、多くありました。
テロリズムとは
皆さんは「テロリズム」をどのように解釈していますでしょうか?
テロリズムは以下のように定義されます。
テロルは、特定の政治的・宗教的・社会的主張を達成するために、国家や民衆に対して暴力的、破壊的活動を通じて恐怖や不安を与えるものであることがわかりますね。
例えば、ISISが行おうとしているのは宗教的・政治的主張の達成のために、民衆を殺害することを目的として暴力活動を行っておりますので、テロリズムといえます。
例えば、地下鉄サリン事件を実行したオウム真理教は宗教的主張の達成のために、サリンを散布し、ソフトターゲット(民衆)の殺害を狙ったわけであります。
コストが安いテロリズム
いま、「ソフトターゲット」という言葉を使いましたが、これはテロリストの標的のことを意味します。
テロ活動は資金や人的資源が多くかかります。要するに「コスト」の問題があります。
これは一般企業や国、皆さんの生活にも言えることですね。
さて、テロを行う上で、最も安上がりなのは何でしょうか?
要人は警護されていますので、むしろコストはかかるでしょう。特に要人の行動から行く場所、そこまでにかかる交通費、暗殺に用いるものの費用などを考えれば、時間もお金も多くかかることでしょう。
しかし、民衆はどうでしょうか?
あなたが街を歩いていて、不意に爆弾テロが発生します。
これを理不尽と考える人の方がほとんどなのですが、テロリストにとっては最も安上がりな戦術なのです。
皆さんは、今日、外に出かけていってテロ事件に巻き込まれるなんて微塵にも思いませんよね?
つまり、要人と比較すると、護衛はついていませんし、パブリックスペースでは密集するので、狙いやすいのです。
9.11やボストンの爆弾テロなんかは、そんな安上がりな計算の下に発生した最大のテロ事件でした。9.11はいわば無警戒の民衆(ソフトターゲット)を狙うのが良いとするデモンストレーションだったわけです。
2000年代から2010年代はまさしくソフトターゲットのテロリズムブームと言っても差し支えないでしょう。
コストが安い首相暗殺
しかし、岸田首相暗殺未遂、安倍晋三元首相殺害事件。
これらは、日本の要人を狙った方がコストが安いことを宣伝してしまったわけであります。
警察や政治家は「選挙演説での警護が難しい」と言い訳をしていますが、そもそも警察や政治は国民の税金で活動しています。
ですので、「警護が難しい」という言い訳はむしろ行政活動の不履行であり、国民に対する義務や責務を全く果たさないと言っているようなものなんです。
国民が選挙で選んだ代表の命を守ってもらわなければ、民主主義は終わります。
そんなときに、活躍してもらわなければならないにもかかわらず、動かない警察に何の意味があるのでしょうか?
岸田首相襲撃事件、三つの幸運
ある意味で、木村容疑者の腕の悪さという幸運に助けられて、岸田首相の死は回避することができました。
① 爆発物が即座に爆発しなかった幸運
画面でもわかりますし、映像を見てもわかるのですが、爆弾は実際に岸田首相の足元に落ちました。
それをSPの一人が避けて、岸田首相を庇い、逃げます。
爆発までに50秒の間があったということが、岸田首相が助かった第一の要因です。
そもそも、足元で爆発すれば間違いなく岸田首相は即死であったと予測できます。
② 爆発物の威力が足りなかった幸運
素人の手製爆弾ですので、時間差と威力に助けられました。
威力はさほどなく、軽症で済んだ人の方が多かったと思います。
しかし、これがボストン爆破テロ事件のような威力であればどうだったでしょうか?
今、画像の中に映りこんでいる有権者と警察関係者は、亡くなっていたと思います。
恐らく、この撮影者も亡くなっていた可能性が高いです。
50秒の差があったとはいえ、すぐに爆発物から避難しない有権者も危機管理能力がありませんし、それをただ民衆を抑えるだけの警察関係者も職務怠慢なのです。
これは、日本のテロ対策が未だに遅れているという証拠映像になっているんです。
③ 犯人が他の凶器を持っていたなかった幸運
「漁港のおっさん/おじさん」で一躍有名になった一般市民の男性ですが、これはまさしく警察のテロ対策の失敗の証拠写真です。
私はこの映像を見た時、とてもハラハラしました。おっさん逃げろと叫びたかったです。
なぜなら、犯人がナイフや包丁、山上容疑者のような銃を持っていれば、この「漁港のおっさん」は間違いなく殺害されていたからです。
あるいは容疑者が「捕まりかけたら自爆しよう」と考えていたら、この私人逮捕は、周囲の人々を巻き込んだ大惨事になっていたでしょう。
この映像に映りこんでいた人は間違いなく亡くなっていました。
警察が群衆の中で、監視の目を光らせていなかったという問題が浮き彫りになっています。
会場の群衆に紛れ込めば、日本のテロリストは間違いなく、目的を達成できるでしょう。
以上の三つの幸運によって、岸田首相やその支持者は守られていたのです。
しかし、「次はない」と思った方が良いでしょう。
テロ対策の提案
では、どのようなテロ対策を行えばよいのでしょうか?
第一に、警察と皆さんの意識改革をしなければなりません。
「岸田首相助かったんだ、良かったね」、「漁港のおっさんすごいね!かっこいい!」、「警察の皆さん、お疲れ様」という意識は、はっきり言ってしまえば、テロリストの共犯者の発言です。
テロ活動をしやすい意識を作ってしまうことは、テロを助長することに繋がります。
「今回、そんな非難されなかったし、この程度で良いか」と警察組織は考えてしまいますし、「これなら俺もやれそうだな」「ここまでやっても誰も逃げないなら、大量に殺せるな」と日本にいるテロリストは考えるでしょう。
皆さんの、テロに対する意識を変えなければなりません。
何かあればすぐに「逃げる」
これがテロリストに対抗する唯一の手段です。
「捕まえようとする」ことはかえってテロリストに「犠牲」という名の成果を与えるだけなのです。
第二に、警察のテロ対策を強化しなければなりません。
アメリカでは、パブリックスペースにおける活動において、「透明バッグ」の持ち込みを義務付けています。
手荷物検査の簡素化を図るために、銃や爆発物の持ち込みを行っていないかが一目でわかります。
プライバシーの侵害と言われるかもしれませんが、困るものを入れてるのですか?と逆に伺いたいものです。
それがだめなら、屋内外の会場入り口にチェックポイントを設置し、金属探知機と手荷物検査場を作る必要があります。
実際に原爆追悼演説などでは行っていたはずです。
これを首相演説会場では「必ず」やらなければならないと警護要則に明記することが必要です。
負担がどうだとかという話ではありません。負担と人命・民主主義、どちらを守ることが警察の使命なのかを今一度考えるべきでしょう。
テロ対策は、テロリストを目的地に入れてしまった時点で、失敗なのです。
群衆の中、特に群衆の中央部分に私服警察官を配置することも手です。
「漁港のおっさん」が出ないようにしなければならないことを肝に銘じておくべきでしょう。
最後に
我々は民主主義国家の中で生活しています。
そして、様々な思想がぶつかり合って、一つの政策が達成されます。
しかし、暴力を肯定すること、そして暴力を肯定する素地を作るあらゆる現象に批判的である必要があります。
「警察」という組織は、民主主義の根幹を崩さないように、民衆と民衆の代表者を守ることが使命であるはずです。
今一度、自らの使命を顧みてもらいたいと思っております。
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