「新卒採用中止」を経験した21卒が入社式を終えました。
分かっているつもりです。
どうしてこうなってしまったか。
所属する従業員の生活を守ることが第一優先。
私が社長だったら、同じ判断を下す可能性だってあるから。
こんな言葉、言いたくないことも分かります。
私が人事だったら、絶対に言いたくないから。
もし自分だったら?と考えると、心苦しくて、ごめんね、ごめんね、と謝ることしか出来ないから。
残念ながら、どんなに丁寧な言葉で謝られたところで、こちらの絶望は何も変わらなかった。
誰のせいでもないことは、
誰かが救ってくれる訳ないんですよね。
今回、21卒として4月1日を迎えた経緯を綴ろうと思います。
誰かの為には書きません。
その"誰か"は、問題集を片手に、マスクをして、こんな世の中クソッタレ、と思いながら、いま全力で就職活動をしているだろうから。
(※去年の私です。これを読んでくださってる方はこんなに心が汚くない。)
だから、私の"心の整理"の為に書きます。
誰の為でもない私の為に。
【就職活動スタート】
就職活動をする上で絶対に欠かせない業界研究と自己分析。
正直、どこまでやり込んだかと言われると、きっと私より深く深く取り組んでいる人はいる。絶対に。だから、あくまで私の話だ。
業界研究は「ヒトの心が動く瞬間を生み出す仕事」がしたいというキーワードに辿り着き、広告やサービス、マーケティング、エンタメ業界に、自分の軸となる共通項を見出した。
当時、大学2年生の終わりくらいだった記憶がある。ミュージカルに熱狂していたこともあり、思考回路がエンタメ一筋だった。
自分でも単純な思考過ぎるんじゃないかと、今では少し反省している。
自己分析にも取り組んだ。やればやるほど、自分にはできることなんて、長所なんて、何もないんじゃないかと、ダークマターのような自己分析結果を生み出す。
それでも「自分から情報を発信すること」とか「自分の熱量に、他人を巻き込めること」とか「負けず嫌い」とか。良いところも少しは見つかった。
それでも、もっと長けてる学生はいるだろうし…という思考は拭えなかった。
【エンターテインメントへの想い】
大学3年の春、衝撃が訪れる。
ある演劇を観劇した。元々作品の存在は認識していたが、無性にそれが観たくて堪らなくなった。
そこで、何故そんな風に態度変容を起こしたのか(足を運びたい!その演劇を生で見たい!という感情の変化)について、プロセスを考えた。
Twitterのアカウントが気になったり、口コミ、前作の評判をチェックしたり…それから、クリエイティブを目にしたこと。
私が最も惹かれたのは、その公演のポスターだ。
その公演を観劇したことと、クリエイティブに心を動かされたことが、私の人生の分岐点になってしまった。
そして公演の内容は期待を遥かに上回る。
それ以降、観劇が趣味になった。今でも大好き。
身が震えるほどの感動なんて、滅多に味わえるものじゃない。
だから、勝手に、演劇に感謝をしたくなった。
私に何ができるか。
何に貢献できるか。
仕事だ。
この感動の為に働きたかった。
一人でも多くの人に、劇場に足を運んで欲しくなった。
帰宅してすぐに、公演に関わっている会社を全て調べた。
制作会社に辿り着き、私にはここしかない!と、勝手に運命のように思い込み、会社説明会を今か今かと待ち侘びた。
そして、夏頃開催された説明会に参加した。
それは「もう私にはここしかない」と、再び決意を固められた会社説明会だった。
同じ頃から、いくつかインターンシップに参加した。いわゆる「滑り止め」的な会社を見つける為に活動していた。
楽しかった、と思う。
そもそもオフィスの中を見るのが初めてだった。様々な考え方を持つ人のお話を聞けた。
「こんなに山ほど、会社の中身を見れる機会はもうほとんどない」と、ある人事の方に言われた記憶がある。
その通りだと思う。
楽しんだもん勝ち、という言葉があるが、就職活動に関しては本当にその通りだと思っていた。前向きに取り組めていた。
……2020年になるまでは。
【本格的な就職活動開始と共に、感染症拡大】
感染症拡大の影響で、会社説明会や面接が延期に、実施する場合はオンラインに、というメールが届き始めたのは2月頃だった。
この段階で、得体の知れないウイルスに対して、どう怖がれば良いのか分からなかった。
それよりも何よりも「21卒」という肩書きを持って就職活動が出来るのは、今年しかない。心を占める焦燥感が凄かった。
1月、2月、3月と、オフィスに足を運んだ。
その間も、あの会社はいいな、この会社はいいな、と思考を揺さぶられつつ、第一志望としていた会社への憧れや、自分が社員となって働く日のことを想像せずには居られなかった。
時を同じくして、エンターテインメント業界は大打撃を負うことになる。
ありとあらゆるコンサートや舞台が中止になった。
私が観劇するはずだったミュージカルも、中止が決定。
エンターテインメントが"普通"じゃなくなることを、想像もしていなかった。
演者と観客という双方向の関係、人間を介さないと成立しないエンターテインメントを救いたい。
より一層エンターテインメントについて深く考え始めるようになったのもこの頃からだった。
今は何も出来ない学生かもしれない。
でも、この熱量と愛だけは誰にも負けない自信があった。
【2020年4月、新卒採用中止のメールが届く】
緊急事態宣言の最中、第一志望だった会社から「新卒採用中止」という旨のメールが届いた。
履歴書を出した後だった。
この会社で私が出来ることを脳内で沢山考えた。
そんな日々が突然終わりを迎えた。
先程述べた通り、数々の演劇作品が公演中止になり、関連会社は大ダメージを受けていたからだ。
――じゃあ、私がもし、去年、就活生だったら?
どうしようもない「たられば」を幾つも頭の中で考えて、喪失感でいっぱいになった。
暫く、何も出来なかった。
何が悔しいって、何も出来なかったことだ。
「志望理由は?」とか「あなたの長所を教えてください」とか、聞いて欲しいことが沢山あった。
きっと、他の業界でもこのような経験をした学生は沢山いる。私だけじゃないと思う。
緊急事態宣言下、人に会うことが難しかったこともあり、気持ちは滅入る一方だった。
「あー、もうどうでもいいや」と、一度全ての就活サイトやサービスから来るメールをゴミ箱に突っ込んだりもした。
「新卒はゴールでなくスタートだ」
「幾らでも転職はできる」
誰が何を言っても、その当時は何も聞き入れられなかった。
大学一年生の頃から続けていたアルバイトが楽しかったので「もし就職が出来なくても、このまま働き続けるのもアリだな」くらいのことを思っていた記憶がある。
それでも、就職活動を辞めなかったし、どうにか自分の納得の行く方法で活動を終えたかったのは、得体の知れないウイルスになんか負けてたまるかという執念のようなもの、どうすることも出来ず足掻けなかった悔しさ、採用中止の決断をした会社への反骨精神のようなものだったのかもしれない。
【内定承諾】
幾つかの会社から内定を頂いた。
正直に言って、就職活動を始めた直後に想定していた未来と、違った未来に辿り着いた、という感想を抱いている。
でも、その中から"納得して"ココに決めた!と、就職先を決めることが出来た。
私は会社の「人」に惚れ込んで、内定を承諾した。
(その経緯については、また今度。書くかもしれないです🤭)
【暗黒の4月から一年、私から言えること】
そんな私も、2021年の4月1日に入社式を迎えることが出来た。
これを書いている今、絶賛研修中だ。毎日、膨大な量の知識やマインドを叩き込んでいる。
私は自分のことを熱い人間だと思っていた。好きなものへの熱量なら、負けない。人に伝染させることも出来る自負があった。
でも、そんな私の熱量なんてまだまだ温い!と言わんばかりの、熱い人達に囲まれている。火傷しそう。
いま私、すごく楽しくて、幸せなんだと思う。
「就職活動はご縁」
その言葉が、本当の意味で分かるような気がする。そんな4月を送っています。
――「新卒採用中止」のメールを受け取ってから、明日でちょうど一年になります。
その会社に憎しみみたいな負の感情は抱いていません。未練もない。
このnoteを書くまで、思い出すこともなかった。
むしろ、入社した会社に出逢わせてくれて、感謝しなきゃいけないかも。
あ、でも「いつか一緒に仕事が出来たらいいな」くらいは思っています。
夢や目標はおっきくでっかく、図太く。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
最後に私から言えること。
どんな状況でも、きっと。
出来ることが、素敵な出会いが、あるはずだ。
絶対、ある。