大人が嫌いになった日
小学4年のある日、私はクラスの女の子を傷付けてしまった。
事故だった。
幸いにしてケガの程度は軽く、念のため病院にも行ってもらったものの、大事には至らなかった。
とはいえ、小学4年生の私にとっては、人を傷付けてしまったというだけで、怖くてたまらなかった。
病院から戻ってきた女の子が「大丈夫だったから気にしなくていいよ」と言ってくれたときは、安堵と不安がごちゃ混ぜになった状態で、膝から崩れ落ちそうだった。
そんな私に、担任教師は「何でこんなことしたの」「人を傷付けるなんて最低の人間がやることです」「アナタみたいな児童が学校に来る資格はない」と言い放った。
勿論、傷付けた加害者である以上、私はどのように言われても仕方がない立場だったことは、当時もわかっていた。
ただ、悔しかったのは、事故が起きたそのとき、担任教師はその場にはおらず、何が起きたのかも詳しくは知らないにも関わらず、まるで私がわざと傷付けたかのように決めつけられたことだった。
その日以来、私はその担任教師と口をきくのをやめた。
その場を見てもいない大人に、勝手な思い込みで決めつけられたことへの、子供なりの抵抗だった。
これが人生最初の挫折だったかもしれない。