見出し画像

あなたアンテナ、表現電波塔

昔からアーティストのMVが好きだ。

言葉の意味から「音楽を視覚的に表現するもの」と捉えがちだが、個人的にはそれだけじゃないと感じている。

音楽やダンス、それに合わせた衣装やビデオの中で繰り広げられるストーリー、映像のモーションやフィルタリング。これらは一つも欠けてはいけない。
アーティストの本分が「表現すること」だとしたら、MVは、それらを駆使して表現された一つの成果だと思う。

『So picky』は、OWVの1st Single『UBA UBA』のカップリング曲である。
ラテン調なベースリズムと、ディスコティックなメロディ、特徴的な落ちサビが癖に刺さって抜けない、私がOWVの中で一番好きな楽曲。
そして、このMVも一番好きなMVだ(…正確にはImage Videoだが)。

さすがに計算してるでしょ、え、してないの?

これまでどんなMVでも、最初は音の印象が感想になることが多かった。MVのインパクトにもよるが、先に楽曲だけを聴き込んでいることもあるし、個人的にはそれが当たり前だと思ってた。

ただ『So PIcky』の最初の感想は、音でもインパクトでもなく「こりゃ成るべくして成ったな」だった

“成るべくして”といったのは、このMVがもつ完成度に圧倒されたからである。

ラテン的なリズムで柔らかく始まるイントロ。映し出されるのは、夜の街で肩を組む4人。
ストリートスタイルの衣装に身を包み、まるで地元のツレとだらっと話すような雰囲気で、東京の街並みを進んでいく。今でこそ仲が良すぎるとファンに言われているOWVだが、このMVではその片鱗を余すところなく見せてくれている。またこの衣装が、前回のカウントダウンでも書いたNYLON監修というから憎い。

特徴的な落ちサビでは、リーダーの本田くんが振り付けた足捌きと各人の抜きのあるダンスが繰り広げられるが、それも鮮明に見せてはくれない。ざらついた画面と薄暗いピンクカラーのスタジオ。まるで光を通さない暗室のような場所で、もの怪しく訴えかけてくる。

君もわかってるんだろう
俺を探してたんだろう

Bメロのこの歌詞がやけにリフレインする。
淀む日常の中で見つけた、推しという存在。その出会いをMVで体感したようだった。

(ちなみに、当時「うん、探してた!!!!」ってクソデカボイスを放った記憶がある)

音、映像、ダンス……各人の表情から身振り手振りまで、とにかくこだわりがすごい。というか『So picky』と言うタイトルなのだから、こだわらないわけがない。(「picky」は英語で「こだわる」の意、どちらかと言うと「えり好みする」と言う意味で、それもなんだか彼ららしい気もする)
ただこんなに雑味なく、一つ一つの構成要素が絡み合っていることに圧倒されてしまった。
そこに大人の計算がなく、本当に彼らのこだわりなのだから、もう頭が上がらない。降参です。


さて、ここまで楽曲の魅力を存分に語ってしまったが、この日記の本来の目的は、佐野文哉くんへの思いを綴ること。もちろんこの『So picky』でも、魅力を存分に発揮している。ぜひ以下を読んだあとに、もう一度佐野くんのが映るパートを見ていただきたい。

君、表現力の化身か?

『So picky』の中での佐野くんの魅力を表すなら「表現」の話は切っても切れない気がする。ここでの表現は、ダンスを含む、作品全体での振る舞いを指す。

冒頭、4人で並んで歩くシーン。
画面手前にいる佐野くんが、少し上を見上げ、街並みに思いをはせてるっぽい顔で笑う。このときの目の輝きと口元の角度、明日への少しをの期待を感じさせるような柔和な表情でグッときた。
このあと続く歩きのシーンでも感じたが、なんだか表情の作り方にめちゃくちゃ自信がある。てかちょっと肩で風切って歩いてなかった?
まるで、仲間とのこれからを強く邁進していくような振る舞い…。

そこから暗室っぽい場所でのカットに入ると、自信を感じる表情とは打って変わって、エモーショナルな表情になる。さっきまで4人の中の佐野くんを見ていたのだとしたら、このカットでの佐野くんは「僕を見ていてよ」と語りかけてくる。
ソロカット中一瞬踊ってくれるのだが、その踊りもまたストリートとは異なっていて、バレエやフラメンコといった芸術的な舞のようなのだ。
と思えばサビに入り、ビートに乗りながらバキバキと踊りこなす。
ちょっと待って、ダンスの振り幅多すぎない…??

OWVがデビューする前、前進だったラジオコンテンツで佐野くんは「目で見てコピーできるものはできる」といっていた。
これは私の憶測だが、彼の表現の振り幅は、類まれなる観察眼がインプットしてきた物事の集約結果なのかもしれない。
“表現力の化身”は少し神格化しすぎかも…と自分でも感じるけど、それくらい彼の表現は『So picky』のMVにフィットしていたのだ。あんなにもこだわりが絡み合う複雑なMVに。

これからもアンテナを張る君でいて

佐野くんはインタビューやコンテンツ内で時折、「自分はたくさんの事柄にアンテナを張るようにしてる」と話す。
このアンテナを張りインプットに勤しむ姿勢が、私の大好きなMVに昇華されていたんだろう。

『UBA UBA』『So picky』の1stから半年以上がたち、今年の7月には4th Singleを予定するOWV。
きっとその頃には、溜まったインプットをさらに研磨した表現を見せれくてるに違いない。

佐野くん、アンテナ張るの、死んでもやめんじゃねーぞ!

いいなと思ったら応援しよう!