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勝手に1日1推し 147日目 「エゴン・シーレ展」

「エゴン・シーレ展」東京都美術館     芸術

エゴン・シーレ展、日本では30年ぶりの大規模展なんですって。嬉しい!

ウィーンって宗教と芸術の街、又はザッハトルテってイメージしかなくて、お堅くて、他に惹かれるところもなく(ごめんなさい!)、今まで旅行先の候補にしたことってなかった。でもクリムトとシーレだけは別で、絶対実物を見たい!って思ってて、念願叶って、4年前のクリムト展、今回のシーレ展!!見れた、見れた!嬉しい!!
この度、師弟揃って東京都美術館での開催。いいですねえ。

ってか、東京都美術館が、また素敵ですよねえ。レンガ造りで窓が大きく、ロビーが広々、モダンで大好きです。前庭(?)の球体のオブジェを横目に、地下に下りてエントランスへ続くアプローチは、中庭感があってヨーロッパっぽくて、たまらないです!建築家の前川國男さんの手によるもので、非常に素晴らしい建築ですよね。ちなみに、こちらも師匠のル・コルビュジエさんとの師弟揃っての上野で美術館。どちらも共通する四角いブロック感と自然光を取り入れる作りが素敵です。

何やら勝手に、上野de師弟物語×2を妄想してしまいますね。ぐふふ。

話は現実に戻ります。
今回、エゴン・シーレの作品の他にも彼と志を同じくした同時代を生きた”ウィーン分離派”の作家の作品も見ることが出来て貴重な体験が出来ました。全然知らん人ばっかりでした!

クリムトを中心に結成した若手の芸術家集団が”ウィーン分離派”で、シーレもメンバーでした。実際、分離派メンバー入りにあたり、
Q<シーレ:ぼくに才能がありますか?
A<クリムト:あり過ぎるくらいだよ!
の問答。才能があり過ぎる16歳問題!!恐るべし。

さて、そんな分離派の展覧会のポスターは、とてもグラフィカルでモダンでした。
アールヌーボー的曲線で描かれ、ミュシャっぽくもあり、フォントのデザインで魅せるタイプはバウハウス味を感じました。
なぁんか、ヨーロッパって繋がってるよなあって思いました。かっこいいです、ほんと。

そんな中で、展示デザイナーやグラフィックデザイナーなどの多岐にわたって活躍していたというコロマン・モーザーの作品が良かったです!油絵だっていうのにファンシーなの。マシュマロみたいな色彩?リトルツインスターズ(キキララ)みたいな色彩?つまり、パステル!!べたべたの重ね塗りの油絵なのに、軽くて不思議でした。感覚と印象のズレが新鮮で気に入りました!実験的で挑戦的で感性の豊かさと思考の柔軟さを感じました。

それに引き換え、シーレよ・・・頑なかよ・・・。でも、そこがいいぃぃぃ!!!!好きぃぃぃ!!!!
猟奇的でがちがちの自己中心的解釈を表現する、痛々しくて素晴らしかった!
その全く朗らかじゃないところが好き。その陰鬱なところが好き。思い込みが激しい中二病的なところがたまらなく愛しいんだよなあ。うっとり。
内に内に思考が向かってって筆を走らているっていうね、THE表現主義!最高。厚塗り、重ね塗り、構図が最高!

だから、自画像が大好きなんですが、この度「ほおずきの実のある自画像」の実物が見れて嬉しかったです。ギョロっとした目とゾンビのような肌でむきだす自我、こちらの内面も見すかされているような気がしてゾクゾクしました!

と言いつつ、アカデミー時代の花の作品とグワッシュと鉛筆やチョークで書かれた裸体の作品が印象的で気に入りました。
若さ溢れる大胆なタッチの花の絵、良かったです。
裸体は不思議な体勢を切り取っており、それをあえて崩した細い鉛筆の線で描き水彩絵の具を乗せていて、シンプルだからこそ画力がないと成立しないんだろうなあって思ったし、デッサンっぽいのに確実に作品として成り立っているのがむきだしの画家、シーレらしいなあって思いました。

人物画のイメージがあるけれど、風景画も描いているし、”新芸術家集団”を立ち上げたり、画家としていろいろ活動してたんだけど、やっぱりあまりに前衛が過ぎると万人受けはしないのかもしれないですね。猥褻画で取り締まられたりさ。でも良きパトロンに恵まれて描き続けられたのは本当に良かった。世の為人の為・・・。
後年の丸くなったシーレもまぁ、いいんだけど、やっぱり中二病のままでいてってなりました!
これからって時にスペイン風邪で28歳の若さで逝去。ってまだまだ中二病を患っていてもおかしくない年齢よ?!若過ぎたよ。涙。

関係ないけど、シーレって太宰治と被るんだよな、なぜか。根暗で、自己探求が過ぎて、愛に貪欲でっていう感じが。なんか、マジカルバナナ(なぜ?)だとしたら、「シーレと言ったら太宰!」「太宰と言ったらシーレ!」って変換されるのよ。きっと同意してくれる人がいる気がする・・・。

完全日時指定制度ってパンデミックにおける功績の1つだと思ってる。休日鑑賞でもストレスになり過ぎない程度に人数が抑えられてていいよな。
4月まで開催しております。上野公園の桜も咲く頃合いですので、お散歩も兼ねて是非!予約をお忘れなく。

ということで、推します。


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