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この1年の振り返りと、今後nanaが目指す方向性について(後半)
前回書いた「サウンドのハイクオリティ化」の背景について、今回はお話しします。なぜここにフォーカスしていくことになったのか。
そのためにはまずはビジョンのアップデートについて。
そもそもnanaのはじまりは、『We are the world』を世界中の人たちと歌いたい、という自分の想いからでした。
「音楽で人と人を、そして世界を繋ぎたい」
もちろんこの気持ちは今も変わりません。
でも、繋がった先にどうなりたい、どうしたいのか?
これは2014年頃かな。音楽で世界をつなげる、世界中の人たちと『We are the world』を歌いたい、という大きなテーマがあり、これに関しては当時のメンターの人にずっとフィードバックもらっていました。それらは素晴らしい現象だし実際に起こせたらワクワクする事ではあるけど、この世の中にどういう価値を生み出すのか?どう社会がより良くなるのか?まではイメージできない。もっと具体的にイメージが湧くような言葉にすることが、自分たちの向いている方向を明確にするためにも必要だと。
この必要性を得心しつつも、当時の自分では明確な解を出せず、それからの数年間もずっと考えてきました。音楽で人々・世界をつないだ先にあるワクワクとか楽しさは一体何なのか。
ある程度自分の中で見えてきたのは一昨年頃かな。
単純に国境や言語、人種を超えて一緒に歌えるという、その楽しさはもちろん。それだけでなく人と人の創造力がつながって、誰かのイマジネーションが誰かのインスピレーションになる。そんな創造の連鎖(Co-Creation)が当たり前になった世界で、今よりどんなワクワクする、感動する作品が生み出されるのかを見てみたい。
もちろんすでにインターネットの普及で自分の作品・表現が簡単に発信できるようになり、モバイルの普及で発信側になれる人たちがどんどん増えています。でもまだ足りない。同じ文化圏(≒言語圏)の中でのCo-Creationは加速しているけども、もっとシームレスにしたい。そして文化圏を超えたCo-Creationを当たり前にしたい。異なる文化が今よりももっと簡単に混じり合うようになれば、見たこともない音楽作品が生まれるのではないか。そういう創造の連鎖から生まれた作品は、きっとより多くの人々を感動させることができる。そして、人々の創造力を更に前進させることにつながるはず。
これがnanaであり、nana musicが創りたい世界です。
「つながる」から「創る」へ
リリース当初のnanaの強みは「スマートフォン1つで手軽に歌って誰かとつながれる」という体験でした。でも現在では音楽でつながる体験”のみ”を考えればコモディティ化しています。手軽に歌ってつながれる、ということを考えればカラオケアプリのほうが簡単だし楽しいとも思っています。
じゃあnanaももっとカラオケとしての楽しさを向上していけばいいのでは?と言われたりもしますが、それは違います。nanaはそもそもカラオケアプリではありません。もちろんカラオケにはカラオケの楽しさがある。僕も大好きだしカラオケの楽しさを否定しているわけではありません。
nanaは、自分の創造力を簡単に具体化できて、Co-Creationでひとりでは創造できなかったものが生み出される場所でありたい。新しい作品が生み出されるための自由度や余白を大切にしたい。これらを大切にしつつ、今のnanaに足りないことはなんだろうを考えた結果が、より良い「創る」体験の実現でした。
「創る」ことをもっと簡単に
ハイクオリティな音楽作品を作ろうと思ったら現状だと、PC、オーディオ・インターフェースにマイク等の機材を揃えた上で、DAWを使いこなし、音に対する各種パラメーターへの専門知識が必要になってきます。
それをnanaだけで完結できるように。マイクに関してはハードウェアとしての限界があるためこだわるのであれば外付けデバイスが必要にはなりますが、簡単な操作でハイクオリティな作品を作れるようにしたい。
知識やスキルがなくても、ワンタップで音のクオリティが上がったり、より魅力的になる。「えっ!?スマホでここまでできるの?」という体験をユーザーの皆さんに提供していきたい。自分の作品がより魅力的になったら、歌うことが、音を奏でることが今よりもっともっと楽しくなると思うんです。この体験を実現させて、誰もが歌うことを心から楽しめる、そんな場所を僕らは目指していきます。
そして最後3つ目。これが一番大きな発表なのですが、録音機能を大幅リニューアルします。手軽さは失わずに、でも作品創りにはよりこだわれるように。最も大切な”音”を扱う機能をパワーアップさせます。(※画面は開発中のものです) pic.twitter.com/LNqJrhFeKA
— nana (@nanamusicinc) August 16, 2021
実はTwitterでプロトタイプを発表済みだったり。今後も進捗は発信していくので、よかったらTwitterもフォローしてくださいな。
ではでは。