結婚して出産して離婚した話①
私は比較的若い頃に結婚し離婚した。
いわゆるデキ婚というやつで、元旦那は今で言うところのモラハラ男だった。
当時はDVという言葉すらなかったから、お前はアレもできないコレもできない、ダメな奴だと言われ続けるとだんだん洗脳されるというか
もともと自己肯定感が低かったのも手伝って、「ああ私は本当にダメな人間だ」と思いこむようになった。
そのころはネット環境というものもなく(パソコン通信ガーとか話題になりつつあった時代)、
今のように他の人の生活を覗き見たりすることもなかったし
友達や身内の前では明るく振る舞い、相談しようと思う気すら起きなかったし思いつきもしなかった。
とにかく自分は価値のない人間だ、と思うようになり
食事をしても味を感じなくなった。
空腹感はあるものの「自分のような者が食べ物を食べることすら勿体ない」と思ってしまう。
そのころは離乳食を作っていたので、良くてその残りを食べるくらい(捨てるくらいなら食べさせていただこう、という気持ち)だった。
赤さんを泣かせていると「また泣かせて」と怒られるので
旦那が帰ってくると、近所を散歩したり、歩き疲れると公園とかで休んだりしていて
実家が徒歩圏内だったけど、追い出されてると言うのはみっともないと思ったし、夜外出していることを叱られるので、行けなかった。
(あとでわかったことだが、旦那は私の悪口をあれこれ家族に言っていたらしく
よく、というかほぼ毎日、母が料理を作って持ってきてくれていたりした。
何もできない娘を嫁にやってしまった、と母も申し訳ない気持ちだったのだろう。)
それからたまに記憶が途切れるようになり、
ある時は気づくと飛行機に乗っていたことがあった。
さすがにまずい、と思い青ざめて帰宅。母と旦那にこっぴどく叱られたが、黙って俯いていた。
追い出される日は続き、寒い季節になってきた。
私は子どもを抱いて、近所のゲーセンなどで暖を取るようになった。