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一伊那尓栖-【MECONOPSIS】をクトゥルフ神話の観点から考察した結果

これは一伊那尓栖の新曲【MECONOPSIS】の歌詞を読み解き、
独自の解釈で考察をしたノートである。
私が考える考察は、あくまで私の中の考察であり、この考察は公式のものではない事を念の為お伝えしておく。
あくまで暇つぶしの一つとして、私の考察を楽しんで頂ければ嬉しい。
またクトゥルフ神話の事前知識が無いと意味がわからないと思うので、クトゥルフ神話を全く知らない場合は事前にクトゥルフ神話を調べてから考察を読むことを強く推奨する。

さて、この考察をするにあたって、いくつもの難解なメッセージを考える必要があった。
当然答えのない中で、答えを出すのであれば、それは些か大胆であっても筋を通す必要がある。
そして私がまず最初に考察に至ったテーマは
一伊那尓栖」という存在の定義である

公式の紹介文を引用する
「こう見えても古き神の司祭である。ある日「変な本」を拾ってから触手を操れるようになった。
彼女にとって触手は日常生活の一部であり、とくに何も思わない。でも、おしゃれはしてあげたい乙女心。
力を得て以来、古き声から囁きや天啓を受け、無垢でごく普通な彼女はVTuber活動を通して人々のSAN値を削っている模様。」

出典:ホロライブプロダクション オフィシャルサイト

そして彼女が拾った変な本とは、大魔術書ネクロノミコンである。
ネクロノミコン、そこに記されるは忌まわしき古代の邪神に関する知識であり、
それらを用いることにより、邪神の召喚、あるいは退去させるための術を使用することが出来る。
それ故に、このネクロノミコン単体に強い力が込められており
本来通常の人間はそれを手にするだけで正気を失う。

【MECONOPSIS】にて描かれる彼女は普段我々が見ている一伊那尓栖の姿は異なる

この事で一つの仮説が生まれた。
全てはネクロノミコンを拾ったその瞬間に遡る。
本来、ただの人間がネクロノミコンを拾った時に生ずる結果はほぼ全てが
「正気を失う」ことにある。
では、普段我々が見ている一伊那尓栖という存在はどうだろうか。
もちろん正気を失っていない。
クトゥルフの触手すらもファッションの一部として、自らの一部として使役し、使いこなすことが出来ている。
つまり、オリジナルの一伊那尓栖という存在はどういう存在なのか。
ネクロノミコンの効力による正気喪失を全て跳ね返し、
その魔力ごと手中に収めた特別な存在ということだ。

そして、もし彼女が違う存在なのだとしたら。
私の考察の中でたどり着いた結論は・・・

ネクロノミコンを手に入れたその時に、
正気の殆どを失い
クトゥルフの囁きに操られるままに祈りを捧げる司祭にさせられた少女である


そう、ここで歌う一伊那尓栖という少女はオリジナルとは別の存在であり、
正気を失ってしまった世界線の一伊那尓栖が主人公である。
パラレルワールド、別世界、別次元、様々な言い方があるが、そのようなものだ。
まずはこの前提条件を基に歌詞を読み解いていったときに、物語が少しずつ見えてきたのだった。

Sapphire petals fall through infinite black sea
Misty whispers that call, drown in endless dreams
-サファイアの花びらが底なしの黒海に落ちて
  霧の囁きに導かれ覚めない夢に溺れるの

眠りと忘却をもたらす青いケシが枯れ果ててしまう状況にあった。
ルルイエが浮上するその時が近づいているから。
ルルイエという言葉は、この後の歌詞に出てくるがクトゥルフ神話において重要な言葉・場所である。
石造都市ルルイエ、クトゥルフはこのルルイエにて眠っており現在は深い海の底に沈んでいる。
しかし、もしこのルルイエが地上に浮上してしまったのであれば、

それはクトゥルフの目覚めを意味し、地上はクトゥルフにより支配される。


出典:ピクシブ百科事典

天井の妖精が最後の花びらを落とす
心は貴方の嘘を全て暴く


天井の妖精とは、青いケシの通称であり、
海外ではpopyと呼ばれ、ギリシャ神話によれば眠りの神ソムヌスが、
実りの女神の疲労を取り除き豊作をもたらすために、このケシを作り出した。
そして、それは同時に古き神であるクトゥルフを眠りに堕とし、
神々はクトゥルフを石像都市ルルイエと共に海の奥底に封印した。
しかしたった一人の祈りにより、この眠りは覚まされようとしていた。

一伊那尓栖

古き神の司祭であり
ある日、大魔導書であるネクロノミコンを拾ったその時に
正気と引き換えにその強大な魔力を受け継いだ
その日から、彼女はクトゥルフを呼び覚ます司祭として
古き神クトゥルフの囁きに導かれるまま日々祈りを捧げていた

その祈りは何のために?
-クトゥルフを目覚めさせるため、石造都市ルルイエを浮上させるためである

気が遠くなるほど長い時間、彼女は祈りを捧げてきた
一方で気が遠くなるほどの時間の中で人間との交流も少なからずあった
彼女を崇拝するもの、畏怖するもの、憎むもの、愛するべき友人と呼ぶもの
それらは全て彼女にとって無意味だった。
全ての目的はクトゥルフを呼び覚ますための祈り。

ところが彼女が正気を失う前の記憶がこのところフラッシュバックする
そしてある日、彼女は正気を取り戻す
そして彼女が何を成し遂げようとしているのか気付いたとき、
既にルルイエの浮上は始まっていたのだった

天井の妖精が最後の花びらを落とすというのは、
地上に残された青いケシが全て彼女の祈りという名の呪いにより消滅した事を意味する。
これをきっかけに、ルルイエは浮上を始めクトゥルフの願いは叶えられようとしていた。

これが意味するのは
人類の世界はもうすぐ消滅する

心は貴方の嘘を全て暴く

正気を取り戻したそのとき、彼女は混乱していた
今まで信仰していた囁きが、自らを含めた人類を虐殺し地上を支配するためのものだと気づくと同時に、それらが全て自らの祈りによってもたらされた結果だからだ。

自らの手によって世界が破滅に向かっている。
自らの行いによって罪なき人々が大勢死ぬことになる。
小さい体の少女が受け入れるにはあまりに大きすぎる事実に倒れそうになりながらも、彼女は自問自答する。

Is my sanity clinging from my mem'ry?
Is humanity a long forgotten friend?
-私の正気は記憶から離れないのだろうか
人類は長い間忘れ去られていた友人なのだろうか?

このまま正気を失ってしまいたいという逃避の思考と裏腹に
彼女は人類を救う方法ばかりに思考を巡らせた。
そして・・・

Enough!!
No, I won't keep praying endlessly 
A world without love is not the world that I want to see
If sentiment withers aoikeshi
Tell me how do I reconcile the joy in my memory?
-
もういい!!
いいえ、永遠に祈り続けるつもりはないわ
私が見たいのは愛のない世界じゃない 青いケシのように感情(こころ)が枯れ果ててしまうなら
私の中に残された喜びをどうやって調和させればいいのか教えて

彼女にも友人が居た、家族が居た、愛するべき人々との記憶がそこにあった
そして

今が皆を救う最後のチャンス


血の誓い、愛の誓い
Though death may die
Love is Now And For Forever
-たとえ死が訪れるとしても、愛は今、そして永遠になるの

彼女はその手に持つ大魔導書ネクロノミコンを開き、
ありとあらゆる誓いを立て、その血と肉を削り強大な力を手に入れる
そして彼女は選んだ

人類のためにこの身を賭して死ぬことを

大切な人々を愛しているから。

古代人はルルイエの家で夢を見ながら待つ
When death, rebirth, time and oceans align,
eternity's hope will power through
-死と再生、時と海が交わるとき永遠の希望が力をもたらす

クトゥルフの復活の日は近い、しかし彼女は自らの命と引き換えに
皆既日食のその日、空に光が消え海が黒海へと姿を変えたその時、
彼女の魔力は最大出力を手に入れ、人類は最後の希望を人知れず手に入れる

天井の妖精が最後の花びらを落とす 心は貴方の嘘を全て暴く

彼女自身が人類にとって、そしてクトゥルフにとって最後の青いケシの花の一輪となり再び彼女はクトゥルフを封印するため海に落ちていく

クトゥルフにとって、これほどの誤算は無かったはずだ。
精神を支配し、囁きのままに自らのために祈りを捧げていたた少女が
自らにとって最大の敵となることを。

Faith and dreams belong in the arms
-信仰も夢も愛すらもこの腕に抱いて・・・

Enough!!
No, I won't keep praying endlessly 
A world without love is not the world that I want to see
If sentiment withers aoikeshi
Tell me how do I reconcile the joy in my memory?

今が皆を救う最後のチャンス
血の誓い、愛の誓い
Though death may die
Love is Now And For Forever

やがて皆既月食は明け、人類は変わらぬ日常を続けていく
彼女の命を引き換えに人類はクトゥルフからの支配を免れたのだった。


以上、考察を終了いたします。
長文読んでいただき誠に有難うございました。


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