毒親は自分を毒親とは思っていない

これはセンシティブな内容なので、書くかどうか迷った。でも、毒親のDNAを持っている私は、普通の親御さんに育られた方より、どこか悪魔的な感情を持っているんじゃないかと感じ、書いてみることにする。

私の父は、真面目で優しく、自分より家族やペットや他人のことばかり気にかけるような性格で、こんな父親は世界中のどこかに他にもいるのか？と思うほど素晴らしい人だ。
酒も飲まないし、私の記憶では、私が独立するまで、仕事を1日も休まず夜の7時には帰って、家で食事をするような人だった。

かたや母親は、一度も働いたことのない専業主婦。私が小学校の時から私を東大に入れたがり、家庭教師をつけられたり、友達とも遊びに行かせてくれず、夏休みも午前はピアノの練習、午後は勉強の予定を勝手に入れられた。
母親は私の全てを支配した。私の意思などは関係ない。
学校の成績が悪いと叱られ、誰々ちゃんはあんなに勉強がよくできるのに、なぜあんたはダメなのか？と詰め寄る。
次第に私は勉強への意欲をなくしていく。進学なんかどうでもいい。
しかし、母親はそんな私を許さない。
毎日暴言を吐かれる。ヒステリックになり発狂する。優しい言葉など一度もかけられたことがない。
高校に入ると、私は遅い反抗期に入った。今まで我慢していたけど、もう言いなりにはならない。
部活を始め、帰りも遅くなり、家で母親のご飯が食べたくないので友達とマックで食べて帰ったりした。一度家に帰り制服から私服に着替えて、出かけるようにもなった。後ろに何か視線を感じる。母親が私をストーカーしていた。慌てて巻く。その頃から、母親と全く会話をしなくなった。
もう母親の言いなりにはならない。私は学校の規則を破りまくり、ついには母親が学校に呼ばれた。家に帰るとまた激怒しているが、私は黙ったまま部屋に篭った。
専業主婦で友達もいない母親は、私に執着し、まだ支配したがる。家にいると、私に対してありとあらゆる文句を言ってきた。
母親とは友達のように好きな人のことを相談したり、何でも話せると言っていた友達が心底羨ましかった。私も、何でも話せなくてもいいから、せめて毎日怒っていない母親が欲しかった。

何であんな優しい父がこんな女と結婚したのだろう。私はずっと気になっていたことを、大人になってから、父に聞いてみた。
その理由は、知り合いに、誰にも嫁にもらってもらえない(私の)母親を嫁にしてもらえないかと頼まれたという。
「お父さん、それ断れたでしょう？」なんでなの？
「そうだよなぁ。」とにかく優しい父のことだ。愛情はないが同情したのだろう。

母親は、父に対しても文句ばかり言っていた。父は何も悪いことをしていない。父のおかげで、ご飯が食べられたり、寝る場所があり生きていけるのに、感謝の気持ちすらないのか。
私は、こんな母親から生まれてきた。
私がたまに癇癪を起こしたり、他人に対して優しくなれなかったりすることがあるのは、母親のDNAのせいなのか。

私が独立してから、父と2人で会うようになった。
お父さん離婚したら？と言った。もう私は大人になったし、今度はお父さん自身が自由に好きなことをすればいいんだよ？
「そうだよな。金があればね。」
やはり父は離婚したいのだ。私は、これを全面バックアップしようと、家裁や弁護士事務所に出向き相談した。
まとまったお金なんかなくても、父は浮気したわけでもないし離婚できるはずだ。
離婚届を父に渡し、協議離婚になったとしても私が保証人になって援護する、向こうは擁護する人がいないから勝てるよ、と言った。
そうだな、考えてみる。とだけ言って帰っていった。

結局、父は未だに離婚していない。
一時期は、私と父で2人で住む家まで探したというのに。
エクセルシオールカフェで私が理由を聞くと、「(私の母親)は奈々みたいに1人じゃ生きていけないし、離婚しても年金を半分取られるんだよ。その半分を奈々に使いたいからしない。」と言った。
そんな…
もう言葉が見つからない。2人して、カフェで目頭を押さえた。
わかったよ、お父さんが決めたことなら尊重する。これ以上もう何も言わない。

私のせいかもしれない。私が何かで成功し、お父さんに家を買ってあげられたら、お父さんは自由の身になれたかもしれない。お父さん、本当にごめんなさい。
自分を責めた。

世の中には、私より大変な毒親をお持ちの方もいることと思います。
しかし私は、あんな優しい父を幸せにしなかった母親の罪の大きさを一生許すことができないだろう。

#毒親 #離婚できない #優しい父