私と仙台⑤~毎年恒例のイベント
秋から冬にかけて行われる一大イベントといえば。
仙台と山形の派閥争いが未だに収束しない、あのイベントです。
毎年9月後半頃、なぜかコンビニやスーパーで薪が売られるようになる。
皮をむいた里芋「さとまるくん」の需要がこの時期だけ一気に高まる。
東北各地で行われる季節行事、「芋煮会」の存在を最初に知ったときは
なぜわざわざ寒い時期に河原で芋を食さなければいけないのか、心底謎だった。
しかし仙台に6年間住んでみて、私は芋煮会が大好きになった。
このイベントの魅力を思いつくまま上げてみる。
とにかく美味しい
芋煮は味がとにかく美味しいのだ。
豚汁のようでいて全く別物の「仙台風」は、味噌味でゴボウや大根といった根菜とよく合う。
牛肉のうまみたっぷりの「山形風」は醬油ベース、甘辛い味付けでご飯や麺とも合わせたくなる味。
地域によって同じ「芋煮」とは思えない、遠い親戚の集まりのような個性を出してくるが、どの芋煮も総じて美味しいのだ。とりあえず「芋煮会」
人間生きていると、嫌でも社会のコミュニティに属すことになる。
学生時代はサークルやゼミ、大人になると会社の部やママ友会…
対して仲良くはないが、今後の付き合いもあるしある程度の親睦は深めておきたい。
そんなときに「芋煮会」はもってこい。
目的もなく、ただ「芋煮会」という名目だけでこうしてわざわざ寒い時期にみんなで料理して鍋を囲んで外でご飯を食べる。
目的がない分みんなの意識は「芋煮」だけに向き、結果としてなんか一体感のようなものを感じられる気がする。老若男女楽しめる
仙台に住んでいたときは、毎年芋煮をした。
シーズンの土日の河川敷はたくさんの芋煮団体であふれるのだが、面白いのがありとあらゆる年齢層のコミュニティが集まってくるのだ。
子供連れ、学生、老人の集まり…
共通しているのはみんなそれぞれ同じような鍋を囲み、同じような材料で同じような料理を作っていること。
関東の人に「芋煮会」を説明するととても不思議がられる。
なぜ冬に河原で集まるのか。
なぜ食べ物が「芋煮」に限定されているのか。
こういう地方特有の季節行事って、意外とほかにない。
でも断言する。
一度東北に住み、「芋煮会」を経験したことがある人なら必ず、あの時期になるとうずうずするはずだ。
あの寒さ。あの鍋を囲む雰囲気。
芋煮とともによみがえる、鍋を共に囲んだ人たちの顔。
家で同じようなものを作って食べるのとはわけが違う。
また、その時期にふらっと観光しても決して体験できない。
芋煮の思い出は東北地方に住んでいたことの証。
そこに住む人々とのつながりがあったことの証なのだ。
いつかまた、あの牛越橋の河原でみんなで鍋を囲みたいな。
(To be Continued…)