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エア係長 新卒採用の様子をチラ見して思う

新卒採用が大詰めを迎えていて、弊社でもディスカッションで生き残った学生が最終面接に向かうもよう。

私は採用にはかかわっていないが、アシスタントをしている社員と話した。

「今年の学生さんたちも真面目で良さそうな人多いよね。ディスカッションどうだった?」
「いやー、みんなしっかりしてますね。自分の意見持ってって。」


「その日にテーマ与えられてグループで話すんだよね。今その中に放り込まれたらロクにできない社員もいるんじゃないの?」
「ですよねー。ほとんどの人が無理なんじゃないですか?ちなみに私は絶対ムリです。係長得意そうですよね。そういうの。」
「まったく問題ないですね。会社の中でやっているディスカッションなんて所詮ママゴトのようなものです。ママゴトやったことないですけど。」
「あはは、私も嫌いでした。」


「どうしても採用される人の方が少ないから、落とされた人もあんまりがっかりしないで欲しいですね。落とされたらどうしても『自分は必要とされなかったんだ』って落ち込んでしまうだろうけど、全員採用するわけにいかないからね。ほぼほぼ偶然でしかないから。」
「優秀な人でも落とさなきゃいけないから、心痛みますよ。マジで今いるやつと差し替えてやりたくなる事あるし。」
「それは。。。Xさんか?」
「いやいやいやいや、そんなことは…ありま・すけどね。いやいや。
 学生にもたまに『こいつ大丈夫か?』っていう子がいるにはいるし。」


「?たとえば?」


「まだ最初の頃の説明会やってた時の事なんですけど、説明会の5分ほど前に会社に電話があって『駅に着いたんですけど、こっからどう行けばいいんですか?』って聞いてきた学生さんがいて、『どの駅ですか?(注:会社最寄駅は3つほどある)』って聞いてもどうも話がかみ合わない。よくよく聞いてみたら“本人の自宅の最寄り駅に着いた”という意味だったらしくて、A駅にいるらしいんですよ。」


「あ?Aからだとここまで30~40分はかかるやろ?説明会全然間に合わんやん」


「スマホ持ってるやろ?と思ったし、全然間に合わないけど一応乗換案内で調べて教えました。結局、何分後かにも一回電話あって『間に合わないから行くのやめます』って連絡ありました。」


「連絡くれただけ偉いわ。出入り自由な合同企業セミナーみたいなんと勘違いしとったんかね?」


「でしょうかね~。」


「われわれにとっては毎年見る風景だが、初めての就活でちょっとボンヤリしている子なら違いが分かってなくって間違えるかもしれん。ただ、地図読めへん場合はウチの業界はちょっと向いていないと思うが。。。まあ、B社(同業他社)の人もウチの会社来ようとして反対方向に歩いて行ったって言うし大丈夫かな。」


「でも会社説明会行くのに(形式が)合同企業セミナーのようなものと勘違いしていたとしても、自宅最寄駅からの道順って聞きます?」
「普通はせんな。でも世の中には斜め上の読解力を持つ人もいるからね。過去にエライ人のパーティーの帰りに『なるべく複数の方とお乗り合わせの上、最寄駅までお使いください』と言ってタクシーチケットを渡したら、一人で自宅最寄駅まで乗って帰った人がいて1件だけ2万円弱の請求が来たことがあった。」


「え?何ですかその話?パーティー?」
「私が新入社員の頃、会社業績が良かったからといって関係会社の役員ばっかり集めて1人3万円位のフルコース食べるパーティーするのが年1回あっったんよ。で、そこに受付とか手伝いに行っててさ。」


「食べられるんですか??フルコース。」


「いや、食べるのは偉い人だけ。私は受付終わったら廊下で待ってて、パーティー終了後タクチケ渡す。いいけどね。別にオッサンが飯食ってるとこ見ててもつまらん。」
「サイアクですね。」


「まあ、最悪かな。でももっとサイアクだったのが、最初の偉い人のあいさつだけは『いい話をするから聞け』ってことで、会場の後ろに立たされてたんだわ。なかなかシュールでしたよ。『これからは若者と女性が活躍する時代!女性と若者が活躍できない会社に未来はないっ!』っていう趣旨の話を大真面目に爺がして大真面目に爺が聞いている図は。コントかと思ったけど、誰も笑ってないんで笑わないようにするのが大変だった。」


「何ですかそれ、ホントにサイアクですね。」

 
「新年に偉い人が集まってやっている年頭あいさつなんかも概ねそんな感じですけどね。『この国には爺しかおらんのか?』と思うよ。もっともおしゃれな飲食店に行ったら『この国には女しかおらんのか?』と思うけどね。」


「ですね。そのパーティーって平日ですか?土日?」


「いや、平日。他の平民は仕事してる。会社から持たされてる携帯に先輩から電話がかかってきたから、(上層部がいない間に)会社で何か大変な事が起きたのかと思ったら、『会場の外から扉に釘打って出られなくして火点けて帰って来い。老害を一掃するチャンスだ』と。」


「でもそれ、ある意味危険ですよね。平日に偉い人が全員出払っているって。」


「うん、結局全然問題ないあたり、おらんでもいいってことかもね。
『(ホテルの)従業員が中にも居るからダメです』って言ったら『そもそも自分が爆破しに行こうとしたら、C(もう一人の先輩)が七が受付に行っているからダメだ。呼び出せと言っているから電話したんだ。なんとかならないか?』と言う。
『ムリです。先輩たちヒマなんですか?』『うるさいのがいないからいつもより速い!』とかなんとかそんなことやって廊下で遊んでたらパーティー終わったんで、タクシー乗り場まで誘導して最寄駅までってタクチケ渡した。後日、あり得ない高額請求が来たので、調べてみたら遠方まで乗って帰った人がいて、部長を通じて事情を聞いたら『最寄駅とは自宅最寄駅の事だと思った。言ってくれないからわからなかった』と逆ギレされたらしい。」


「でも、その人偉い人なんですよね。」
「です。関係会社の偉い人。逆に偉い人になるのに読解力は関係ないということでしょうか。」


「そんなパーティーもうやってないんですか?」
「やってないですね。翌年はあったようですが、その次はあったかどうか?次の年は私は異動したので、受付の仕事は先輩に引き継いだんです。『昨年のパーティーで斜め上方向に解釈される人がいらっしゃったので、最寄駅などというあいまいな表現はせず、D駅かE駅と指定した方がいいですよ』と。」


「先輩って爆破の先輩??てか、先輩に引き継ぐ?」


「ちゃいます。爆破の先輩は今F部部長です。(ちなみに呼び戻せと言ったC先輩は現在私の上司)女性の先輩でもう退職された人です。経費削減のため人が減らされている状況で異動するにあたり後輩が来ることはなく、自分の仕事は先輩に渡すことになりました。さすがにそんな状態なのに、役員だけでパーティーやるってどうよって出席している偉い人の中からも疑問視する声が出ていたようです。」


「今さらっと、F部部長が爆弾魔って言いませんでした?そんな風な人には見えませんが。」


「人は見かけによりません。現在部長の仮面をかぶっていますが、中身過激派です。まあ、こんななんで学生さんたちはウチの会社落ちても『人格を否定された』とか『自分は社会に必要とされていないんだ』なんて思い悩まないようにしていただきたい。在籍している人もたいした人格していませんし、まあまあヤバい人います。必要とされているかどうかもあんまり関係ありません。」
「ですね。。。」

みなさま強く生き抜いていただきたく存じます。

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