エア係長 職場に雑談が必要か考えてみた

古い記事だが『増える「シカト部下」職場に雑談は必要なのか?』を読んだ。

「そもそも雑談は、仕事とは直接関係ないものです。雑談しなくても、仕事がきちんとできればよいと考えることもできます。はたして、雑談は必要なのでしょうか。」

雑談しなくても、仕事がきちんとできれば…よい。

必要ないでしょう。って話終わってしまった。

いやいやいやいや


記事は「(上司の)部下への不満」と「(部下の)上司への不満」と各々への提案という形をとってある。

この中で共感できるのは「上司への不満」だ。私に部下がいないからかもしれないが、こういう上司だったら嫌だなと思う。今の私の上司は雑談しないし、別に雑談を重視していないので、ラッキーだったのかもしれない。(この中で最もよくわからなかったのが部下への提案だが、それについては後にまわす)

過去の上司でゴルフ自慢をする人や野球の話をする人もいたが、変な言い方だが、仕事に直接関係ない以上もっと謙虚だった。朝一にちょっととか、お昼休憩、自販機や給茶機の所に行った時などこちらも手が空いている時で仕事に集中している時ではなかったし、「ゴルフの自慢話を聞くのも人間関係作りに重要」などと言う人はいなかった。恵まれていたのかもしれない。


そもそも「私が若い頃は、上司の雑談によくつきあった」とあるが、その記憶は正しいのだろうか?

「若い頃」というのが、本当に現在雑談をしない若い人と同じ年の事を言っているのだろうか?

中高年の部長クラスの人から見たら、5年目以下の20台はみんな若い人かもしれないが、社会人の1年目、2~3年目、4年目以降は全然違う。そして個人差もかなりある。(5年目くらいから良くも悪くもその会社や業界に染まってしまったりする。「よく、『銀行員らしくない』って言われるんですよ~(笑)」と言う人が外部の人が見たら銀行員にしか見えなかったりするくらいには染まってしまう)

ちょっと話が脱線した。戻す。

全くの新入社員の場合、まずは自分の仕事に集中してしっかりと取り組まないと、最初の1年くらいはまあできない。当たり前だが。

車の運転を最初に習った時、誰もが運転しながら音楽を聴いたり、助手席の人と談笑できるようになるとは思えなかったと思うが、1年したら最初はそうだった事すら忘れてしまう。

自分の新入社員の頃はどうだったか忘れてしまっているだけで、本当は雑談を振られても自分の手元の仕事に集中していてシカトしてしまったり、自分に話しかけられたとは思っていなかったことはあったのではないの?と思う。

気が付いていないだけで。

2年目や3年目でも仕事に慣れるのも人にもよるが習得に時間がかかる人もいるし(そのぶんそういう人は慎重な事が多いので、時間がかかるから悪いわけでもない)、慣れてきたら慣れてきたでグッと業務量を増やされる事もある。というか概ね増やされる(新入社員と一緒なわけがない)。

勤務時間中は仕事に集中していたい人もいるだろう。

4年目以降くらいからまあまあ落ち着く。少なくとも対前年比で倍くらい仕事を増やされるということもなくなる事が多いし、段取りもうまくなる。やろうと思えば仕事中に雑談をする余裕も出てくる。

自分の4~5年目と相手の1~3年目を比較していないか?と思う。

それに誰かの事を「出来ない」と評価するとき、

「自分の得意な事」と「相手の苦手な事」を比較していないかよくよく注意する必要がある。

また、上司の年齢がわからないので断定はできないが、Windows95が世に出てきたのは当たり前だが1995年。ということはPCが会社で1人1台体制になったのはそれ以降ということになる。

1990年に20歳、1992年に22歳で大卒で入社した場合1997年27歳で入社5年目…このへんまで書類は手書きだ。又はワープロだったかもしれないが、メールはなくてFAX。(今の朝ドラが1990年をやっているが、PC出てこない)

この記事が出たのが2016年で46歳になる。だいたい「上司」として想定されている年齢くらいにならないか?どうだろう?

何が言いたいかというと、2016年時点で40台後半以上だった人とそれより後に入社した人とでは新人時代の仕事の環境と一度にこなせる業務量が全然違うということだ。

先ほど車の運転に例えたが、それで言うなら原付と大型車両くらい違う。

いや、原付は原付で難しくないとは言わないが。


「【部下に求めること】

*職場の雑談に参加してほしい

*雑談で話を振ったら、少しは答えてほしい

*雑談を通じた対人関係作りの重要性を理解してほしい」

とあるが、それは本当に求める事なのだろうか?雑談は目的ではなく、手段ではないのか?

では目的は何かというと、上司が部下に期待しているのは以下の事ではないだろうか?

1.チームでの連携を高め業務をスムーズに行う。また、トラブルがあった時にすぐに相談しやすくし、一人で囲い込んで手遅れにならないようにする。

2.お客様と信頼関係を積極的に築いていけるようになってほしい。

3.同じく他部署の人との関係も築いける対人関係作ができるようになってほしい。

4.将来は後輩を指導、育成できるようになってほしい。

5.誰かが急に1週間休むようなことがあっても即座にフォローできる体制がとれるようにしたい。

ざっくり分けると1と5がチームワークに関するもの、2~4は初対面の人に自分からアプローチして人間関係を築く技術と言えるが、手段は雑談だけに限らないし、雑談が本当に効率が良い手段なのかは今一度考えなおしてみてもいいかもしれない。

少なくとも部下の不満を読む限り、あまりうまい手とも思えない。

 

上司は評価する人、部下はされる人。

何を超当たり前の事をと思われるかもしれないが、どうも上司がこの事実をちゃんと理解しているように思えない。

部下は理解している。

その証拠に「人事考課のコミュニケーション系のところは、いつも結構低くついています。雑談をしないことが原因かもしれません。だとしたらおかしいと思います。」という不満が出ている。

コンサルタントは「上司の皆さんは、そんな考課をしていないと思いますが」と書いているが、そうだろうか?

なるほど部下の誤解で、何か他に「いつも結構低く」つける理由があるということだ。

じゃあなぜ、「いつも結構低く」つける理由を上司はきちんと説明していない。

理由がわからなければ、部下も直しようがない。対人関係作りが重要とかリーダーになった時にツケがとか言ってないで、さっさと指導しろ。

コミュニケーション研修を受ける必要があるのはひょっとして上司の方ではなかろうか?

コミュニケーション系の評価が低いが他に心当たりはない。何の説明もないならいくら「雑談に参加しない事は関係ない」と言われたとしても納得いかないだろう。じゃあ、何なんだと。


もともと他人の物差しで測られるのが好きという人はあまりいないと思う。

というかかなり気分の悪いものである。が、成果主義や目標管理制度で縛られていたらしょうがない面がある。(本当にしょうがないかどうかはさておき、嫌なら自分で起業してそうじゃない会社作れという話になってしまう)

自分を理解してくれようとしている人に心を開く事はあっても、評価しようとしている人というのはそもそも不快だ。同期や利害無関係な友人と同じように受け入れてもらえると思うな。

上司は「仕事と関係ない雑談を和気藹々とすることにより、相互理解を深めよう」くらいのつもりかもしれないが、同僚だけでなく「評価する人」がその中に混じっていると「理解する」とみせかけてコッソリ「評価してる(点数を付けている)」のではないか?と警戒されても仕方がないと思う。

しかもその物差しがどうもあいまいだ。

上司は「雑談は仕事とは関係ない。強制ではない。」と言うが同時に「仕事の役に立つから雑談力をつけてほしい」とも言う。

どっちやねん。

いっそ、「雑談は仕事の役に立つので、積極的に推奨する。思わぬお役立ち情報を入手したり、当社は他部署への異動もあり得るので他部署の人とでもどんどん話し、部内でも共有するように。そういう人をコミュニケーション能力が高いと評価します」と言ってもらった方がわかりやすいのではなかろうか。

評価する人がなぜその評価になったのかをきちんと説明しないのであれば、される方は混乱するばかりだ。

上司が何を考えているのかわからなくて、やりにくくて困っているのは部下のほうだろう。

しかもその上司の物差しで評価されるのだ。たまらん。


私は「雑談はできるがあえてしないという部下」である。上司もそのタイプなので特に問題はない。仕事上の問題もない。同僚がインフルエンザで1週間休んでも業務は停滞しなかった。

私は親が死んで葬式の翌日から復帰したが、それはたまたま年度末でメンバーの一人が退職する日と重なったからであまりにも間が悪すぎた。

ちなみに今の上司(部長)は新入社員の頃の先輩にあたるので、

「私の評価が悪いとしたら、部長の教育が失敗したという事です。言うなれば天に向かって唾吐くようなものです。」


「そこはほら、失敗を認め反省する事によって、次の人に生かせるってことで…」


「は?マジか?ふざけんな!!」

というような雑談をするくらい、まーまーうまくやっている。


最後に、コンサルタントの「雑談が苦手な部下」への対応がよくわからないの件だ。

コンサルタントは「雑談が苦手な人の大半は、さほど親しくない人との間に、人間関係を作っていくことが苦手です。顧客や他部署の人々との間に人間関係を作ることができなければ、仕事もうまく進みません」と言う。

本当だろうか?

仕事にも色々ある。人間関係をあまり広げない口が堅いタイプの人向きの業務もある。人事部、監査部、インサイダー情報を知り得る立場の人、情報システム部など部外秘の情報を持っている社員もけっこういる。(というか挙げてみてあらためてけっこう多いなと思う)

セミナーで隣の席に座った人と話しにくいからといって何だと言うのだろう。セミナーがコミュニケーション研修でもない限り、セミナーの内容さえしっかり吸収すればどうでも良いではないか。

リーダーになった時、若い人で打ち解けられず孤立する人がいたら困る?

いや、自分が打ち解けられない人なら打ち解けられない人の気持ちがわかるから、話しかけるタイミングやどのように話しかけてもらったら話しやすいかとか、孤立しているように見えても大丈夫かどうかがわかるのでは?

それに、今の若い人が上司になる頃には、職場の環境が激変しているかもしれない。

在宅ワークでオフィスを持たないのが一般的になっているかもしれないし、そもそも組織が上司と部下という関係で成り立っているとも限らない。

今から心配してどうする。

というか、今若い頃に「雑談力を鍛えた」はずの上司が部下とのコミュニケーションがとれず「何を考えているかわからない。やりづらい」と言っている段階で雑談力使えねーという結論が出てないか?

記事で「いろんな年代と会話できる雑談力」と言っているが実際には「中高年(のうちのほぼ男性)」しか想定していないように見える。

そうでないなら雑談力は若い部下にも通じて「おー雑談って仕事にも重要!」って思ってもらえているはずでこんな対立はない。


惜しむらくは私の仮説を確認しようにも私には若い部下も若くない部下もいない。

困ったものだ。



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