「死にたくないと泣く娘」
冬ごろに突然に娘(4才8ヶ月)が
「娘ちゃん死にたくない」
と、顔をクチャクチャにして泣くようになりました。私に向かって訴えます。
「どうしたら死ななくなるの?
娘ちゃん死にたくない。」
補足すると娘は至って元気な健康優良児です。特に今のところおおきな問題はありません。
おそらく「死」というものに何処かで触れたのでょう。家では何も教えておりません。
どこで死を知ったのか。
保育園?
それともドラえもん?
先に生まれた息子の死に対する反応と違いすぎてアタフタしてしまい、対処療法的に
・そう簡単には娘ちゃんは死なない。
・簡単に死なないためには好き嫌いなく食べて寝て遊んで体を動かす。
ごまかしと誘導以外何ものでもない説明をしていたら、やはり納得しきれていなかったらしく、
2ヶ月後に再び
「娘ちゃん死にたくない」
うえーーんと泣く。
私は馬鹿の一つ覚えみたいに、前回の「そう簡単に死なない話」をしたら、眼をきっとして此方を見上げて強く叫びます。
「娘ちゃんは死にたくないの!!」
私の説明は欺瞞に満ちたものだと看破し、長生きと不死は別物だと気づいていたようでした。
そして、とんでもないことを言い出した。
「ママ、ドラゴンの血をとってきて!」
、、、
、、、
はい?!
「ドラゴンの血をのむの!
だ・か・ら、取ってきて!」
ドラゴンの血が、不老不死の妙薬やと何処でそんなこと知ったねん。
ドラえもんか?
ドラえもんのせいか?
その時は「春休み 映画ドラえもん!」の宣伝をかねてAmazon Primeで昔の映画が見放題となっており、そこで見た「のび太の夢幻三剣士」にでてくるドラゴンの血を飲むと不老不死になるって言ってたアレのせいか?
この世界にドラゴンは居ないと思うし、よしんば居たとしてもドラゴンを倒すのは勇者だと相場が決まっていますやん。
ママはまあまあ根性はあるけど勇者の素質はないのでちょっと倒せる気がしないし、そもそも自分が死にたくないために何の悪さもしていないドラゴンを傷つけるのは心情的に無理なんですがと物申してみたけど、
「とってきて!!!」
死におびえる娘は、すっげえ理不尽極まりないワルの王様のようなセリフで強要してくる。
困惑し説得におうじない娘に手を焼き、そもそも理不尽な要求の源泉にだんだん腹がたってきました。娘の知識のもとになったドラえもんのドラゴン伝説は誰が言いだしのか。
そもそも西洋の不老不死って野蛮すぎやん。ここは東洋なんやから他にあるやろ。
だれか徐福を連れてこい!
主語大きめの文句を頭の中で言って現実逃避していたら、娘がさらに声を大きくして
「もってきて!!!」
無茶振りすぎる要求に困り果てていると、息子(7才)がす~と側にやってきて娘に訳知り顔で語りだした。
「娘ちゃん。
今飲むと体が小さいままになっちゃうよ。
それでいいの?」
不老不死の妙薬は飲むとその年齢で成長がとまります。娘は突然の息子の登場と新しい知識に戸惑いながらも
「えっ、、、
でも娘ちゃん死にたくないの」
精一杯自分の気持ちで反論。
すると重ねて息子は
「ドラゴンの血は今飲むと小さいままで背が伸びないんだよ。
それでいいの?
小さいままになっちゃうよ。
それより体が大きくなってから飲んだほうが良いよ。
18才ぐらいで飲んだら良いよ。そうしよっ」
ドラゴンの血の作用を伝えて、今飲むと困るデメリット。
先に伸ばすことのメリット。
はっきりとした時期を指定し
最後にひと押し。
見事な話の構成です。
神妙に話を聞いていた娘は
「、、、わかった。
娘ちゃん、18才になったら飲む」
娘なっとく!!
助かったぜ!息子!
子供のときに不老不死になるデメリットを理解し、かつ人間の肉体の最盛期が18才ってよくしってたね!
(私なんて小学校高学年で聖闘士星矢の天秤座の童虎が前教皇シオンと戦った時に知ったのに)
以後、娘は不老不死については何も言わなくなりました。
いや〜良かった良かった。
なんの根本的解決もしてないけどね。
オーシーマイ。