見出し画像

私と私のお話④ Nより『殺』



「死んだ」


あ、また。
あ、また。
ああ、まただ。


私は数えきれないほど死に、生きてきた。

私は、殺されたのだ。

いつも突然殺される。

その方法は分からない。

気づいたら大量の血が流れている。

お腹を触ってみると手は真っ赤に染まる。

時々、違う方法もある。

でもそれがどんな方法なのかも、思い出せない。

私は顔の見えない何者かに殺されたのだ。

気づいたら出血多量、危険な状態で、数分後には死んでいる。


何度も泣き、何度も殺され、何度も死んだ。

私は幾度となく死んでいる。

言葉は見えない刃物である。

見えないからこそ怖い。そして、いつの間にか殺されている。

言葉が私を殺してゆく。

守ることは、死に追いやることだった。

言葉に殺されるくらいなら、自分から死を望む。


死にたくない。
生きたい。


生きたいのだ。生きてゆきたいのだ。涙を流しながら私は言う。
「生きたい」と。


「頑張れ」という言葉はこの世で残酷な言葉だと思う。


Nは『言葉』によって殺された。『言葉』で死んでいった。そして生きてきた。

N(私)の見てきた世界


いいなと思ったら応援しよう!