見出し画像

「お金がほしくて来たわけじゃないんだ。」ランカウイの旅で、ひょんな出会いから学んだこと

旅を一言で表現するなら?

私は、旅=「出会い」だと思っています。
あらたな人との出会い、見たことのない景色との出会い、はじめての食事との出会い。

人から刺激をうけたり、美しい景色に心揺さぶられたり、ナンジャコレ!と思った食べ物がめちゃくちゃおいしくて驚いたり。

ここでは、私の心を温かく包みこんでくた 、ランカウイ島での「ステキな出会い」について紹介します!

あなたが大切にしたい価値観はどんなことですか?ちょっと思い浮かべながら読んでいただけたら嬉しいです。

ランカウイについて

ランカウイは、マレー半島西海岸のアンダマン海に浮かぶ島です。

アジアのリゾート地の中でも有名なバリ島などと比べると、よい意味で観光地化がそこまで進んでいない印象で、島全体にのんびりとした空気が流れていました。

2017年の秋、家族旅行で訪れて、島の南西部に位置するチェナンビーチ沿いのホテルに滞在しました。

真っ白な砂浜が見渡すかぎり続いていました


ビーチ沿いでの、ひょんな出会い

旅の2日目。夕方からツアーを予約していたので、それまではビーチでのんびりと過ごしていました。

ここで!運命的な出会いがありました。

海を眺めながら、食事をしていたときのこと。
翌日の予定を決めていなかった私たちは、ウェイターの青年に、周辺のオススメ情報をたずねてみたのです。

彼はナイトマーケットを教えてくれました。

そして少しの間があいて、「よかったら、僕の車で連れていってあげるよ!」と。「タクシーは高いし、僕の車ならタダだぜ!しかもオリジナルガイド付きだよっ!」と。

えーーー!そんなことあるのーー!!

すぐさま、ミニ家族会議を開催。

「個人の車でしょ??それ危なくない?」
「でも地元民に案内してもらえるなんて最高じゃん!!」
「支払うお金はあるし、Wi-Fiもあるし、きっと大丈夫だよ。」

行ってみたい派の私と姉、ちょっとワクワクしている父の後押しあって、心配性の母も合意し、「YES!」と回答。

彼は嬉しそうでした。
「じゃあ明日の18時ごろ、ホテルでて左側で待ち合わせね!」

この時点では、連絡先も交換していなかったので、完全な口約束でした。

ドキドキな翌日の行程ができた後、部屋に戻り、予約していたマングローブカヤック体験ツアーへと向かいました。

大自然に圧倒された、マングローブカヤック体験


到着してびっくり。想像よりずっとずっとスケールが大きくて、まるでジャングルのようでした。

生い茂るマングローブの根をほぼ水平の角度から見ることができます

これはガチでやらないと帰れないやつだ!!!
はじめてのカヤックここでやるの?生きて帰れる?みたいな。
だいぶビビっていました。

ガイドさんから簡単なレクチャーをうけて、少し練習をしたら、いざ出発です!

360度見渡すかぎり自然に囲まれて、自らの手で漕ぎなら壮大な川をくだっていく。なかなかに貴重な体験でした。

目に見えるものは、川と森。聞こえるのは、鳥のさえずりと水の流れる音のみ。ふと見上げるとすかんとした大空が広がっていました。
神秘的という言葉がまさにぴったりで。

だんだんと、心が浄化されていくような、そんな感覚でした。

最初は苦戦していたカヤックも、コツをつかむとスイスイ進めるようになります。臆病な心はどこへいったのか、気がつけばただ楽しんでいる自分がいました。

野生の猿がガイドさんのところに降りてきた!


やればできるじゃん!
ゴール地点につく頃には、雑念を忘れて晴ればれした気持ちでした。

自然ってほんとうに偉大ですよね。

壮大な自然と比べたら、自分の悩みなんてちっぽけに思えてきます。心の中がスッと軽くなって、新鮮な視点でまわりを見られるようになりました。


そして、ビビっても、トライするが吉!
私のカヤック体験のように、難しく思えても、やってみると案外すぐに慣れたり、楽しめたことってありませんか?

旅で達成感を得たら、日常でもちょっと挑戦のハードルをさげることができました。だって、やってみることで見える景色がきっと広がっているのだから。

自分の先入観にハッとする

青年との待ち合わせ

カヤック体験の翌日18時。ウェイターの青年と約束していた場所へ向かいます。

「Hey!」後ろから聞き覚えのある声がしました。
振り向くと、カジュアルな格好をした、仕事のときとはちょっと雰囲気の違う青年が立っていました。

そして「もしかして僕のこと待ってる?」と聞いてきたその顔には
「この人たちほんとうに来たんだ!」って、心の声が書いてあるようでした。

私たちはホイホイついていって大丈夫かなと不安でしたが、彼もほんとうに来るのかなと、同じく半信半疑だったと思います。


はじめての地で、はじめて出会った人とドライブ

ちょっぴり古びれた車に乗ってドライブがスタート。
島のこと、マレーシアのことを色々と教えてくれました。

お互い英語はペラペラではなかったけれど
伝えようと一生懸命話せば、伝わるものです。

「ここに Water Park を建設中なんだよ」と教えてくれたときのことです。
日本語よりの発音は「ウォーターパーク」ですよね。マレーシア人の話す英語を文字にするなら「ワタパッ」。

何度も繰り返して、「Wataer Park!!!」と理解できたときは、まるで子どものように皆で大はしゃぎでした。

そんな楽しい会話をしながらも、私は疑問に思っていました。
「仕事でもないのに、わざわざ案内してくれて、この人になんのメリットがあるのだろう?なにを求めているんだろう?」

頭の中でぐるぐる考えていました。

帽子をかぶった青年とナイトマーケット

ナイトマーケットへ到着

ナイトマーケットは地元グルメの宝庫。料理の品々に加えて、魚やフルーツ等もずらりと並んでいます。

ふと周囲を見渡すと、地元の人々で賑わっていて、ちらほら観光客らしい姿もありました。

私たちは夜ご飯選びに夢中で、彼の分も一緒に買ってあげようとしたけれど、彼は大丈夫とやんわり断りました。そして「食べたいものを買ってくるからちょっと待ってて。」とその場を離れました。

「きっとお気に入りの食べ物があるんだよ。戻ってきたらお金を渡そう。」なんて私たち家族は話していました。

およそ5分後、彼はひとつ袋を手にして戻ってきました。よく見ると、私たちがこれなんだろう!と興味深々に指さした食べ物が入っていました。

これです!

「これ!!好きなんだね〜」と話しかけると、頷きながらとってもニコニコしていました。お礼に支払わせてほしいと伝えたけれど、「お金がほしくて来たわけじゃないんだ。」とここでもお断り。

そして車に戻ったとき、満面の笑みで、その袋を渡してくれました。

彼自身のご飯を買っていたのではなく、私たちのために買ってくれていたのです。

驚きを隠せずにいる私たちに、彼は一言、
「今日のお礼だよ。一緒に来てくれてありがとう!!」と。

なにも、言葉が出ませんでした。お礼を言うのは私たちのはずだから。

「この人になんの得があるんだろう。」
抱いていた疑問の答えは、もう分かっていました。
見返りを求める人じゃなかったのだと。

私はハッとしました。
自分でも気づかないうちに、メリットデメリットで判断するクセがついていて、人との関わり方も、無意識に損得を考えていたのだと気づかされました。

人の心を動かすのは、お金じゃない。

東京で日々、めいいっぱいの働く人々とビル群を見て生活していると、スピード、効率、利益、そういうものに目がいきがちになります。
けれど、そうじゃない価値観が確かにあって、それこそを大事にしたいと心から思いました。

精一杯のお礼の気持ち

帰り道、彼は「こうして誰かを自分の車で案内すること、提案したこと自体がはじめてで、実はとてもドキドキしていた。」と打ち明けてくれました。

たぶん、私たちには、なにも求めてなくて
ただ一緒にいる時間を楽しみ、自分の住むところを知ってもらえるのが嬉しかったんだろうと思います。

私は「ありがとう」の一言では伝えきれない感謝の気持ちを、どうしても形に残したくて、お金以外に何かないかバッグの中を探しました。そして一本のボールペンを彼にあげました。

日本ではコンビニでも気軽に買える、消せるボールペンです。
私がいつも使っている「消せるボールぺン」を彼はとても珍しがっていました。自分の生活に当たり前にあるものは、一歩外の世界に出れば当たり前ではないことを改めた瞬間でした。

インクは半分も残っていませんでした。
それでも、とてもとても喜んでくれました。

ほんとうに人の心を動かすのは、人の気持ち。
日々の忙しさの中で忘れかけていた、大事な本質に気づかせてくれて、ほんとうにありがとう。

旅は人を育てる

大自然に触れて、人の優しさに触れて、かけがえのない学びを得ました。
特に彼との出会いは宝物です。

日常を離れてみることで、視野が広がったり、大切な価値観に気づかせてくれたり、旅は人を成長させてくれます。

国内でも、小さな旅でもいい。ぜひ旅にでてみてください。

きっと予想もしなかったハプニングや出会いが、いつのまにかできた先入観をほどいて、心に潤いを与えてくれると思います。

あなたが大切にしたい価値観はどんなことですか?


#旅エッセイ #海外旅行  
#旅は人を育てる #HOLICCnoteコンペ #シーライクス


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?