観劇記録『カジノ・ロワイヤル〜我が名はボンド』〜退団の白は美しい〜
先日、宙組トップスター真風涼帆さんの退団公演である『カジノ・ロワイヤル〜我が名はボンド〜』
を観てきました。
退団らしい演出やハプニングもありながら楽しめましたので、
気になる方は当日券でも是非！
公演概要
本作は宙組トップスター真風涼帆さん、トップ娘役潤花さんの退団公演となっています。
いつかは訪れる退団というタイミングですが、非常に寂しくなりますね…
時は1968年、世界はアメリカとソ連を中心とする冷戦の最中にあった。パリでは学生や労働者たちを中心に「5月革命」と呼ばれる反体制デモが起き、鎮圧後過激派たちは「赤軍同盟」を名乗る地下組織に吸収されて行った。
イギリスが誇る秘密情報部「MI6」では、コードネーム「007」を持つ秘密情報部員ジェームズ・ボンドに、ル・シッフルと呼ばれるソ連のスパイを倒すよう指令が下される。ル・シッフルは5月革命の際、ソ連の組織から赤軍同盟に送る資金を使い込んで窮地に追い込まれたため、カジノで一攫千金を狙っていた。ボンドのミッションは、ギャンブルの腕を生かして彼に勝って資金源を断つことと、彼を生け捕りにして情報を吐かせること。ボンドはジャマイカの大金持ちになりすまし、フランス大西洋岸ロワイヤル・レゾーにあるホテル内の「カジノ・ロワイヤル」に乗り込む。折しも、ホテルではロマノフ家の遺族たちが集まり、次代の家長後継者を巡って争っていた。末裔の1人、ソルボンヌ大学の院生であるデルフィーヌは、赤軍同盟に逃れた過激派学生ミシェルの恋人であった。ギャンブルでボンドに負けたル・シッフルは、デルフィーヌが相続した財産を狙い、ボンドはデルフィーヌと関わりを持ち始める。
華麗なるカジノを舞台に、密かにめぐらされる陰謀と策略。CIAやフランスの情報局員、ソ連側の工作員も加わり、ボンドの行く手には次々と危機が襲いかかる…
「007」を元にした1本もののミュージカル作品です。
個人的な感想
ここからはネタバレ注意です！
体格が活かされたスーツモノ
宙組といえば高身長なイメージも強いのでは？
その体格を活かしたスーツが何よりかっこいい。
正直、1番最初のスーツナンバーだけでもチケット代に相当するのではないかというくらいの満足度です。
個人的に宝塚の作品で『オーシャンズ11』がかなり好きなので、
同じ香りを感じました笑
そしてスーツの着こなしというのもまた絶品。
強いて言えば、スーツの色味やスタイルを役ごとに特徴付けてもらえると、
物語も追いやすくなるのではないかなと。
似たようなスーツを着た役が多いので、
あれ？これは誰だっけ？になりがちかも…
時代背景の複雑さ
冷戦時代の情報戦を扱ってますので、
いろんな情報組織の名前や国名が入り乱れます。
予習するとより楽しめるタイプの作品かと。
とはいえ、予習なしでも十分に楽しめる作品です。
単純にボンドとル・シッフルの対決ものとして楽しめます。
トップコンビ、見納め
退団が惜しいくらい輝いているのが退団公演。
今回の作品もお二人にピッタリでした。
真風さんの大人な雰囲気が潤さんの純粋さを包み込む雰囲気が、お役そのものだなと。
個人的なことを言えば、潤さんのイメージは『デリシュー』の挑発的で魅惑的なダンスのシーンが強くて…
今回の自分の理想に素直でまっすぐな純粋さがとってもいいなと。
いいギャップを魅せていただきました。
そして、デュエットダンスの白いお衣装。
今度、宝塚の色にまつわる話ができたらと思うのですが、
やっぱり退団の白は特別ですね。
次期トップスターと組長
男役のダンスシーンで泣きました。
真風さんの男役最後の姿というのもありますが、
芹香さんと寿さんのやりとりに心奪われてしまいました。
次期トップスターである芹香さんは
星→花→宙と組替えしており宙組歴が特別長いわけではありません。
一方、寿さんは宙組創設時から宙組に在籍され
組長として何人もの組子を見てきました。
そんな寿さんがまるで芹香さんに宙組を託すような振り付けだったのです。
トップスターから次期トップスターへという演出が多い中で、
組長さんがこれだけフィーチャーされているというのが
寿さんの宙組での役割の大きさを物語っているようでした。
そして組替えからこれまでの期間で芹香さんが「宙組の芹香さん」として活躍してきたからこそでしょう。
これからの宙組も楽しみになります。
ハプニングとオマージュ
今回観た公演では桜木さんに痛いハプニングが…
バルコニーを跨いで潤さんのもとへ行くという演出です。
このシーンで桜木がバルコニーに向かって足を上げたその時！
鈍い音が！
バルコニーに足を強打！
痛そうです…
思わず潤さんもアドリブのセリフで大丈夫か声をかけていました。
そして、小池先生…やりますなぁと思ったのが
『エリザベート』の♪闇が広がる をオマージュした歌です。
なるほどなぁ…と思いました。
しかも、ルドルフと同じように担ぎ上げられるのに皇帝の座にはつけないという…
巧みなやり方で面白かったです！
ご覧いただきありがとうございました！
退団される皆さんの第二の人生でもご活躍されることをお祈りしております。
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