アップルパイへのこだわり
気が付けば10月ももう下旬。すっかり秋の気配に包まれていますね。
まだまだ暑さの残る日はありますが、それでもここ数日はぐっと冷え込むことも増えてきました。私は寒さに弱い血流激悪人間なので、冬の足音に怯える日々です。
足首の冷えは身体に堪えますが、秋にしか楽しめないことがあるのもまた事実。
この季節になると、紅玉をたっぷり使ったアップルパイを作ることがマイルーティンになっています。
ただし、私自身がアップルパイを食べるわけではありません。
私は健康上の理由から、肉類・油物・乳製品が食べられません。なんなら小麦も厳しいので、普段はほぼ未加工の野菜とあっさりしたお魚、あとはちくわとかカニカマとか、そういったもので生きています。
というわけで、アップルパイなんて食べた日には、胃腸から盛大なストライキを受けることになるでしょう。
それでも毎年アップルパイを作る理由。それは、アップルパイが母の大大大好物だからです。
もっと厳密にいうと、大好物がゆえにこだわりが強すぎて、家で作るしか満足のいくアップルパイを用意できる方法がないからです。
母好みのアップルパイを見つけたくていろいろと探し回ったこともあったのですが、結局のところ、自分で作るのが一番早い、という結論に至りました。
ちなみに、母が求める「最高のアップルパイ」の条件は、以下のとおりです。
・パイ生地
折パイは歯触りが軽すぎるから嫌。でも練りパイはザクザク過ぎてパイ感が薄い。なので、間を取ってラフパフがベスト。
さらに薄力粉だけで作ると軽すぎると物足りないので、強力粉をブレンドしてほどよい歯ごたえをプラスします。
バターは発酵バターを使うことが重要なポイント。香りが全く違うので、一度食べたら戻れないそうです。
・フィリング
トロトロに煮込んだジャムも、生のままのりんごもNGです。ごろっと大ぶりにカットしたりんごを、シャキッとした食感が残るくらいの絶妙な食感に煮込みます。
スポンジ・カスタードなど、りんご以外の具が入っていると、かさましで誤魔化されてる気がするそう。
甘すぎ、酸っぱすぎになるとクレームを受けるので、酸味のある品種のりんごを甘く煮て、レモン汁で味を調えます。シナモンも入れたほうがいいけど、入れすぎるとこれまた気に入りません。
すべてにおいて、絶妙なバランス感覚が求められます。
・仕上げ
フタをするように上面を覆うタイプでも悪くはないけど、ベストは格子に編まれているスタイル。
シロップは塗らない。
パイ生地の底はひっくり返したときにいい焼き色が確認できるように、しっかり焼くことが大切です。
これらすべての条件を満たして、初めて母が求める100点満点のアップルパイが完成します。
この「母好みのアップルパイ」のレシピが完成するまで、中学生から苦節7年はかかりました。「美味しい」がほしくて作っているのに、毎回揚げ足ばかり取られて心が折れそうになったことも(笑)
でもね、つい作ってしまうんです。
最後には、きっと喜んでくれるって思うから。
いつかきっと完成させて、母から「100点」をもらおう。
今使っているのはそうやって完成させたレシピです。だからこそ、できるだけ多く日の目を浴びせたい気持ちもあって、今年もせっせと作りました(笑)
無事「100点満点!」のお声をいただけたので、ほっと胸をなでおろした次第です。
次に作るのは今シーズンか来年か。まだ検討中ではありますが、いずれにせよ、折に触れて作り続けるレシピなんだろうな、と感慨深く思っています。