北海道で佐々木丸美を読んだときのこと
本が好きなら、季節が巡るたびに思い出す本をいくつか持っていると思う。私の場合、中でも一番強く思い出すのは、冬の本だ。風にしんと冷たさが薫るようになると、慕わしさが肌の内側いっぱいにひたひたと満ちる本。
冬を連れてくるのは、きまって佐々木丸美の本だった。
私の世界に冬が訪れるとき、くり返し読んできた本の横顔とともに、大学の夏休みが明けた頃のことを思い出す。そのとき、私はいつもの教室ではなく、北海道にいた。もう授業は始まっていたし、グループ発表だって控えていたけれど、ずっ