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見えないってそういうこと

ご覧いただき、ありがとうございます。

先日の話。

ブラインドテニスの練習に行くため
駅で人と待ち合わせをしていました。

すると、ピアノの音色が聞こえてきました。
「春よ、来い」、心に沁みました。

とても上手だったので自動で流れているのかと思ったのですが
待ち合わせをしていた晴眼の友人(見える人)によると
ストリートピアノがあって、女性が弾いているとのこと。

さらに、そのストリートピアノは
1年以上前から、そこにあるとのこと。

えぇぇぇ!!!!

知らなかった!!!!

少なくとも月に1回は利用する駅なのですが
ピアノの存在にはまったく気がつきませんでした。

見えないってそういうことなんだなと、改めて感じた出来事でした。

ピアノの音色が聞こえてきたら
そこにピアノがあることは分かりますし
誰かが、ピアノがあるよ、と教えてくれたら
それを知ることができます。

でも、ただ、静かに、そこにあるだけでは
私たち視覚障害者には届かないんですよね。

見える人は
興味があろうがなかろうが
たくさんの情報が自然と入ってくるのだと思います。

情報は、8割が視覚から入ってくると言われています。

そういう意味で、視覚障害者は情報障害者と言えます。

たとえば、道で知り合いとすれ違っても
相手が声をかけてくれなければ、こちらは気づけません。
学生時代、友人に遠くから手を振られて
気づけなくて、無視されたと思わせてしまった痛い経験があります。
弱視あるあるですね。
会釈やアイコンタクトも私たちには届きません。

また、学校や職場やマンションなどで
大事なお知らせの貼り紙がしてあっても
気づけないこともあります。
貼り紙があることが分かれば
誰かに内容を尋ねることもできますが
そもそもその「存在」に気づけなければ
存在しないのと同じなんですよね。

年末にヘルパーさんが来てくださった時に
年末年始のゴミの回収日のお知らせが貼ってあるよと
教えてくれたことがありましたが
そういう情報が本当にありがたいんです。

ちょっとしたことでもそうですね。
例えば学校や職場で
髪を切った知り合いがいても
私たち視覚障害者は気づけません。
「髪、切ったんだよね~」と言ってもらえれば
見えないとしても、そこから会話は広がります。

視覚障害者はウィンドーショッピングが難しいです。
見える人なら、街を歩きながら
新しいお店ができてるな~とか
春物が入ってきてるな~とか
SALEになってるな~とか
情報が入ってくると思うのですが
視覚障害者にはそれが難しいです。

今は、ネットが便利な時代なので
調べれば情報は入ってくるのですが
スマホやパソコンを使いこなせる人ばかりではありません。
もちろん、視覚障害者の中にも
情報通で、流行に詳しい人もいます。
人それぞれではあるのですが
情報が届かないことも多いのかなと感じています。

見える人用に作られた社会で生きていくのは
なかなかハードですが
見えない分、音や香りなど他の感覚をフル活用しながら
日々、暮らしています。

もし街で視覚障害のある人と出会う機会がありましたら
何かお手伝いしましょうか?と
声をかけていただけると大変ありがたいのですが
余裕がありましたら
周囲の様子など、目に見える情報も伝えていただけるととても嬉しいです。

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