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【テレビドラマにおける日本語の幼稚さ「焼く」】
「お願いです!○を焼く前に!会ってやってください!」と言いながら深々と頭を下げる年配の男。その男の前には、数人の若き男女が立ちすくんでいる。
これは、とあるテレビドラマのワンシーンである。
○の中には「娘」という字が入るのだが、私はこの文章にその文字を入れるのをためらう。
ドラマのストーリーは割愛するが、その年配の男は、突然死を遂げた若き娘のために、懇願しているのである。娘とは長年絶縁しており、娘の生活や友人関係も知らなかった。だが、あることをきっかけに、娘のことを理解し、深い後悔の念を抱くにいたり、その友人たちに会いに行くという設定だ。
その年配の男は厳格な成功者であり名声もある、という役柄、いや、そうでなくとも、娘の葬儀に立ち会ってほしいと願う父親の台詞が「○を焼く」はないであろう。
正しくは、「火葬にする」「荼毘に付す」。
脚本家の責任ではないことを祈る。
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