Live2Dモデルはとにかく腰を動かせ!
Live2Dユーザーのみなさん、「全身可動モデル」作ってますか?
Live2Dで人物を動かすのに慣れてくると、だんだんと全身を動かしたり可動範囲を広くしたくなってきますよね。この記事ではそんなLive2D中級者さんのための「より人間っぽい動き」を作るためのコツのひとつをお伝えします。
ちなみに今回はフェイストラッキングで操作するタイプのLive2Dモデルを題材としてお話していきますが、大部分はLive2D特有の知識ではなく立ちポーズの人物にモーションを付ける際に常に共通する考え方となっています。
高可動モデルにありがちな問題点
さて、ここにサンプルとしてある問題を抱えた高可動モデルを用意しました。いったいどんな問題なのか考えてみてください。
ん?高可動って言う割に「角度 Z」しか動いてない?
・・・今はそんな話をしているのではありません!!
えーっと、人によって言い方は変わってくると思うのですが、概ね
「なんか転びそう。」
「ポーズがつらそう。」
みたいな感想を抱いた事と思います。実際この動きを真似してみると確実に転倒するはずです。
では、なぜ転びそうに見えるのでしょうか?
その答えは「重心」にあります。
(一般的に人間が立ち姿勢の時の重心は骨盤のあたりとされていますが、この図ではデフォルメにより通常の人間より頭が大きいため重心の位置が高めになっています。)
傾きが小さい状態(図左)では、重心からまっすぐ地面へおろした線がぎりぎり左右の脚の接地面の間に収まっていますね。この傾きまでであれば体重をすべて地面に乗せることができるため安定して立つことができるのです。ちなみにこの範囲は「支持基底面」と呼ばれています。
対して傾きが大きい状態(図右)では、重心が支持基底面の外側にあるため、体重の一部が横方向への力に変わってしまいます。これが転倒です。
要は重心が支持基底面の真上に乗っていることが転ばないための条件なのです。では大きく傾いた状態でも倒れないポーズにするには、どのように修正すればよいのでしょうか?
そうです!支持基底面を大きくする、すなわち脚を開けば良いのです!
まあこれだけ上半身を動かしてるのに脚が微動だにしないのは明らかに不自然なんですけど、そこは今のところちょっと大目に見てもらって、少なくともどのタイミングで一時停止しても転ぶことはなさそうになりました。
重心をコントロールしよう!
上の例では脚を大きく開くことで激しい重心移動を受け止める事ができましたが、では高可動モデルはすべからく大股開きのポーズでなくてはならないのでしょうか?
もちろん答えは「NO」ですのでご安心ください。
脚の幅を広げるのではなく、重心の方を脚の上に乗るように移動させてしまえば同様に安定したポーズを作れるのです。そして重心を動かすにあたって重要になってくるのが腰です。先程の転びそうなポーズと同じだけ上半身を傾けても、同時に腰の位置を動かしてしまえばあら不思議、重心の動きが小さくなりました!これなら転倒することはないでしょう。
また、重心をコントロールする手段は腰の動きだけではありません、たとえば全力で腕や脚を使って重心をコントロールすると、これくらい上半身を傾けても転倒しないポーズを作ることができます。
はい、できるんですけど、これは高可動と言うよりはすごく尖ったコンセプトのモデルって感じになりますね。
あとLive2Dモデルにおいては手を使ったアニメーションを組み込みたい場合が多くあると思いますので、あんまり腕に頼った重心コントロールをするとアニメーションと干渉することになるかもしれません。たとえば腕で重心をコントロールしている状態からバンザイのアニメーションを実行すると、重心が外側に動いてしまいます。
トラッキング操作と部位ごとのアニメーションを組み合わせる使い方をする場合はこういった干渉にも注意する必要があるでしょう。
腰は口ほどにものを言う!
さて、上半身を大きく動かすときは腰で重心をコントロールすればよいという点はご理解いただけたと思うのですが、では動きが小さいモデルなら腰は動かさなくても良いのでしょうか?
否!腰の動きは重心コントロールのためだけにある物ではないのです!
これらの動きをよく見てください、重心の不自然さなんてものを忘れて比較してみても・・・
腰が動いてる方が圧倒的にかわいい!!!!
そうなんです、腰の動きはkawaiiムーブに不可欠なのです!!!!!!
(かわいさの感じ方には個人差があります。)
上の例では子供っぽい楽しげな動きでしたが、たとえば上半身の動きを控えめにして体重を片脚に振れば斜に構えた印象に!
たとえば肩と腰の傾きを互い違いにすればセクシーな魅力が!
そう、腰の動きでキャラクターの性格を示す事さえできるのです!
これは腰の動きに限ったことではないのですが、あらゆるモーションはキャラクターの性格をきちんと表してなんぼだと私は考えています。大きな動きも奇抜なアイデアもそのキャラクターに適していて初めて価値があるものだと思います。モデリングの前にじっくりとそのキャラクターについて知ること、想像することが大切です。
お手本は自分自身
はい、今日のお話はここまでです。まるで革新的なアイデアかのように重心とポージングについて話してきましたが、いかがでしたでしょうか?振り返ってみると「体を傾けるとこける」とか「腰を使ってバランスを取る」とか、意外と普通の事しか言ってなくないですか?
そうなんです、みなさんが当たり前に行っている日常の動作こそが、Live2Dモデルを自然に動かすための極意なのです!日々人間の体を使いこなして生活しているあなたは、この記事に書かれているような内容なんて既に体で覚えているのです!
あとはその知識をモデルに反映させるだけで人間的な動きは作れるはずですので、Live2Dモデルの制作を行う際はパソコンの画面とにらめっこするだけでなく、鏡の前に立って自身の動きを観察してみることで、一気にレベルアップできることでしょう。
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今回は大切な基本の部分のお話でしたが、普段はTwitterやYouTubeでわりと奇抜めなLive2Dネタを紹介しています、見てね!
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