SNSで出逢った見ず知らずの女子大生が、娘のサンタさんになってくれた話【クリスマスの奇跡】
※この記事を青い鳥ちゃん(仮)に捧げます。
メリークリスマス。
私も人の親になり4年目。
つまりサンタクロースから「クリスマスイブの夜中に子供の枕元にプレゼントを置く」という重大な仕事を委託されて4回目のホリデーシーズンを迎えた。
4歳の娘にとって、サンタさんの存在を正式に認識して2度目のクリスマスを迎える。
もちろん、どの家庭もそうであるように、サンタ代行としてプレゼントを何を望むのかヒアリングに余念がない。
クリスマスプレゼントは11月までに入手するようにと、私たちはサンタから厳しく言い聞かされている。
なぜなら、12月になると人気商品は価格が高騰し、容赦なく売り切れるからだ。
そんなわけで我が家でも娘に早めに聞き出すことにした。
私「サンタさんから何をプレゼントしてもらうのとにしたの?」
娘「シェリー・メイか、ステラ・ルー!」
…え??
シェリー・メイ??ステラ・ルーだと?
私は頭を抱えた。
彼女たちの名前をご存じだろうか。
あの、ディズニーシーパーク内でしか手に入れることができないダッフィーというクマのぬいぐるみ、およびその仲間たちのメンバーだ。
娘はおませな女の子で、普段ほしがるおもちゃもメイクセットだったり、ヘアアレンジセットだったり、先日の4歳の誕生日は、なんと腕時計をリクエストされた。
え。ここにきて…ぬいぐるみとは…。
しかも、繰り返すが彼女たちは、ディズニーシー内でしか買えない。
娘は何事も、決断のスピードがものすごく早く、そして初志貫徹するタイプだ。
一度決めたことを絶対に変えない。
ファーストフードでメニュー一つ延々と決められない私と大違いである。
「もう購入済みなのにサンタさんへのリクエストが途中で変わった(涙)」と嘆くサンタ代行も多いが、それに関しては娘の場合は起こり得ない。
そののちシェリー・メイが脱落し、「ステラ・ルー」一択に絞られた。
わかった。もうこうなったら、ステラ・ルーを手に入れるしかない。
腹を括ったものの…
入手するには、
◯1 ディズニーシーに行って、パーク内の店舗で購入する。
◯2 ネットで出回っている転売品を買う。
◯3 ディズニーシーに行く人を見つけて買ってきてくださいと頼む。
の三択しかない。
1はなかなか現実的ではない。
家族で行くの?この年の瀬の忙しい中、いつ行くの?娘に内緒でこっそりステラ・ルー買えるの?バレない?
だいたい、家族3人チケット代だけで2万5千円近い。交通費や飲食費家族で終日遊び、さらにステラ・ルーを購入したらぬいぐるみひとつ買うのにトータル5万円コースだ。そりゃわたしもディズニー好きだし、行きたいけど、てか、私、忙しいのだ、本当に…。
いや、それどころじゃない。だいたい、コロナ禍でチケットが取れないのだ。
時間指定のチケット、1枚とかなら取れる?私、1人で行くの?繰り返すが入場だけで1万円弱…
◯2
転売品。
もうこれに関しては、すんごい抵抗がある。限定品の転売は社会問題だ。ディズニーシーパーク内でしか購入できない、ダッフィーおよびステラ・ルーなどの仲間たちの転売は横行し、たびたびやり玉に上がる。
しかも、サンタさんからのクリスマスプレゼントに転売品というのがモヤる。
あと、なにしろ偽物をつかまされる可能性だってある。
受け取る娘にとっては転売品だろうが、(精巧なら)偽物だろうが、まったく関係ない話だが、私は気持ち悪い。モヤモヤするし、罪悪感がはんぱない。
◯3
誰かに頼むというのも、不可能に近い。
だいたい身の回りの誰かがこの時期にディズニーシーに行くかなどわからないし、知ったとしても壮絶に図々しいお願いだ。
コロナ禍で空いているとはいえ、パーク内ではみんなが最大限楽しめるためのスケジューリングをし、子供がいればその子の機嫌に合わせて臨機応変に対応し、ディズニーサバイブをしている。
そんな中、「他人の娘のためにステラ・ルーを買ってくる」なんてとんでもない重荷だし、金銭の授受は負担だし、プレッシャーだし、面倒くさいし、持ち歩くのも持ち帰るのもぬいぐるみは邪魔だろう。
同行者に子供がいれば、絶対に「私もステラルーちゃん欲しい!」になる。言い切ってもいいが、絶対にだ。
楽しい家族イベントの平和を揺るがす事態になりかねないことが、容易に想像がつく。
その後受け取りの段取りだって面倒だ。
ああ、、想像するだけで目眩がする。
というわけで、私は1人で頭を抱えていた。
(ちなみに夫は楽天的かつノーテンキなので、「チケット取って買いに行こう〜。転売もあるなら手に入るんだね〜」的なことをニコニコしながら言ってはいたw おめでたいやつめ)
私は「参ったなぁ…」と言う思いで、いつも通りTwitterに心境を吐露した。
なんとなく同情のリプなどが寄せられた。
その数日後、私のTwitterに、見ず知らずのアカウントからDMが届いた。
クリスマスの奇跡のはじまりである。
DMをくれたのは、見ず知らずの女子大生だった。
突然のDMに、本当に驚いた。
Twitter上でフォロワー同士でもない、ネット上でも見ず知らずの人から、こんなメッセージが届いた。
パークで遊んでいる最中の女の子が「ディズニーシー」とtweet検索をして、私のつぶやきを発見。
それを読み、全然知らない私と我が子のために、「私が代わりにステラルーを買いましょうか?」と名乗り出てくれたのだ。
嬉しいと同時に驚いた私は、「どうすば良いのか」で大混乱に陥った。
紛れもなく見ず知らずの人だ。
ネット上での出会いなんて怖いし、信用してはならないというのが世の習わしだ。
でもでも、なんらかの詐欺の可能性はあるけど、私は「たぶん、騙そうとしてないし、騙されてもいいや」と単純に直感的に思った。
DM主のアカウトを遡ると、ゲームやアニメ、キャラのガチャやグッズ集めの推し活に勤しむことと、新作コスメを収集しファッションを楽しみ、スタバの新作やディズニーを愛するリア充暮らしを両立する、本当にありとあらゆる意味で今どきの女子大生だった。
(それにしても最前線のオタ活と、最前線のリア充生活を当たり前のように両立している令和の若者は眩しい)
捨て垢ではない、長年稼働中のアカウントで、フォロワー数やtweet内容も極めて健全な常識的な女の子というのが、一目瞭然だ。
だいたい「ぬいぐるみを代わりに買ってきましょうか?」という提案に、詐欺につながる道筋がない。お金の要求もされていないので、もはや「立て替えておきますよ」という心意気すら感じる。
詐欺をするとすれば、ぬいぐるみ代金を踏み倒す私の方だろう。
アカウント主は確実に女性だし、私も子持ちの女性だ。出逢い云々の展開も考えられない。
私は、「よし」と心を決めた。
娘のためにステラ・ルーが手に入る喜びはもとより、見ず知らずの若い女の子が勇気を振り絞って親切な提案をしてくれたことが嬉しかった。
電車の中でおばあさんに席を譲るだけでもすごく勇気が必要で「どうぞ」の一言すらなかなか絞り出せない。
それなのに、ディズニーシーにいるという一大イベントの中で、見知らぬ子供の夢叶えたい一心で丁寧な長文を送ってくれたこと。
親切心で起こした行動なのに、無視されたり、断られたり、不快な目を向けられて自分が傷つくリスクがあるのに、一歩踏み出してくれたその思いに、心を委ねたかった。
そして、「その思いをないがしろにするのは、あなたらしくないよ」と、自分自身に後押しされ、返信をすることした。
私は、この女子大生を不安にさせてはならぬという一心で、身柄を明確にし、なにはなくともとにかくすぐにお金を払うと伝えることしにた。
だって、頼まれて買ったものの…お金もらえないというのが1番恐怖でしょう。
私は、彼女(仮に青い鳥ちゃん)の善意にとにかく真摯にお応えすることに全力を尽くすと心を決める。
そこから、青い鳥ちゃんの神対応が始まる。
パーク内で買えるあらゆるステラ・ルーグッズのスクショを送ってくれて、かわいい顔の子を選んでくれた。
ご縁なので、ステラ・ルーの服も青い鳥ちゃんに選んで欲しいなと思い、お任せすることに。
私は、商品合計金額+数千円(合計15,000円)を急いで振り込んだ。
青い鳥ちゃんは、京都からお友達と旅行で来ているのだという。
本人だけでなくお友達にも大切な時間を割いていただき、感謝と恐縮の気持ちでいっぱいだったので、多めに振り込んでパーク内での夕飯代の足しに少しでもなれば…と思ったのだ。
(物価的に足りないのは承知…)
この時点で、ネットで出会った見ず知らずの人に、そこそこの金額を渡したことになる。疑いはないものの、色々と想像を巡らすと、全てのやり取りの中で1番緊張した瞬間だ。
ここから先は、私の手元にステラ・ルーが届くまで信じて待つしかない。
それにしても、振込後も、青い鳥ちゃんは、神対応を連発し続けた。
まず、パーク内でステラ・ルーが楽しんでいる姿の撮影をしてくれた。
これは娘が喜ぶことまちがいない。
そして、青い鳥ちゃんは、わざわざ丁寧に梱包するためにスーツケースに入れて京都の自宅に持ち帰ってくれた。
現地からぱっと送ってくれるのでもよかったのによかかわらず…。
それには理由がある。
ぬいぐるみなので、壊れることもなく、袋にポイっとするだけでもいいのに…。
こんなに丁寧に梱包し、動かないようにガムテープで固定して、大きな段ボールで送ってくれた。
送料も余裕を持って送金したつもりだけど、サイズ的にもかなり高くついただろう…
しかも…。
青い鳥ちゃんはとんでもないことを言い出した。
「サンタのふりをして、娘さんのために手紙を書きます」
…!!!
いやもう、この時点で天使だとは思ってたけど、なんなんですかね。控えめに言って神さまでしょうか。
いや、なんていうかもう、サンタさんって本当にいるんだと、私は確信した。
すてきなアイディアと、わざわざ買ってくれたであろう、かわいいポストカード。文面を英語で考えて、書き上げてくれたこと。
なんで見ず知らずの私の娘のためにここまでしてくれるのか不思議だけど、もう私は幸せいっぱいだった。
※ちなみに、まだこの時点で手元にステラルーは届いていないので、ただ性善説に基づいて15,000円払っただけの人ではあるけど、そんなことはもはやどうでも良くなっている。
ほんとうにありがとう。
娘の希望するステラ・ルーが手に入ったことはもちろんだけど、こんな風に人の温かさに触れたことが何より嬉しかった。
娘にとっても、私にとっても、特別なプレゼントになった。
大げさだけど、この出来事をクリスマスの奇跡と言いたい。
そして、今朝…。
徹底した初志貫徹人間である娘は、一度たりともブレることなく、毎日「サンタさんにステラ・ルーをもらう」と言い続けて、手紙を書き、いよいよクリスマスの朝を迎えた。
狂喜乱舞したのは言うまでもない。
あのステラ・ルーが今、こうして娘の手の中にあると思うと、胸がいっぱい。
ただでさえコロナ禍で、人と人との繋がりが希薄にならざるを得ない世の中だ。
ネットの出会いが怖いという気持ち自体も、なんら変わりはない。
でも、人生に何度か、こんなすてきなサプライズがあっても良い。
私は、善人ではないのだけど、だからこそ「人に親切であろう」とすごい意気込みで心がけている。
ろくな人間ではないので、人に優しくしよう、親切にしようと、がんばって意識していないと非道すぎる生き様になっていまう。
だから、その常に撒き散らしている種が、クリスマスにこうしてぴかっと一輪の花が咲いたのかなと思うと、なんだか単純にとても嬉しい。
青い鳥ちゃんとの出会い、本当に嬉しかった。ありがとう。
彼女に感謝を伝えたくて、そして世の中にはこんな素敵な人がいると知って欲しくて、この場に記しました。
私からのクリスマスプレゼントだと思って、受け取ってくれたら嬉しい。
メリークリスマス。
みなさまの元に、たくさんの幸せが降り注ぎますように。