駐在妻が知っておくべき「アイデンティ・クライシス」という言葉
「アイデンティ・クライシス(Identity Crisis)」という言葉をご存知ですか?
駐在妻にはぜひ知っておいていただきたい言葉の1つです。
直訳すると「自己喪失」という意味なのですが、
「自分は何なのか」
「自分にはこの社会で生きていく価値があるのか」
というような疑問・不安にぶつかり、心理的な危機状況に陥ることです。
多くの場合、最初のアイデンティティ・クライシスは、渡航後3か月程度で起きます。
Lysgaard氏が1995年に提唱した「異文化適応のUカーブ曲線」によると、異文化に適応するまでには
①ハネムーン期
②カルチャーショック期
③回復期
④適応期
の4期間を経ると言われています。
海外に来て、最初は見るものすべてが新しく、感動するけど、次第に文化の違いなどに悩み、心理的に落ち込む時期に突入。
その後、回復期を経て異文化に適応していく、という流れです。
このカルチャーショック期と同時に来るのが、アイデンティティ・クライシスです。
例えば、カルチャーショックを受けて
「言葉が通じない」
「治安が悪くて不安、日本のように1人で出かけられない」
「仕事をしていたのに、退職して海外に来て、喪失感」
「なんでも話せる友人が見つからない」
「狭い日本人コミュニティが辛い」
「食事が合わなくて体調が悪い」
などなど、
「なぜ自分はここにいるの?こんなはずじゃなかった」
と思い悩むことが増えていきます。
ちなみに、私の最初の悩みは、海外に来て数か月目頃でした。
「田舎なので、思ったより英語が通じない」
「仕事を辞めてきたので、喪失感が大きい」
「住宅トラブル・虫トラブルが多くてゲンナリ」
さて、前回の記事で「駐妻と語学とアイデンティティ・クライシス」の話題を出した理由は、「語学ができないことでアイデンティティ・クライシス」に陥ることもあるからです。
慣れない海外生活、もし自分が英語あるいはその土地の現地語を話せない場合、ご主人に通訳をしてもらうしか方法がなく、ご主人経由ですべての話を進めることになるパターンが多いです。
しかし、ご主人も仕事が忙しく、生活サポートまで手が回らない。
それがゆえに夫婦でもめることも多く、険悪に…
「日本だったら、言葉が通じるし、自分の力でどうにでもできることが多かったのに、海外で言葉が通じないと、夫経由でしか物事が進められないという状況そものもがストレスになる」
というケースも耳にします。
とにかく、異国で「自分の思っていることを相手にすぐ伝えられない」という状況は、想像以上に過酷です。
この点だけは、ぜひ心に留めておいてください。
語学は、自分の力で学べるものです。
何も、ビジネスレベルを目指す必要はありません。
英語であれば、「中学3年までの文法+発音方法」を身に付ければ十分です。
もし、海外生活を少しでも快適に過ごしたいと思う場合は、現地生活をスムーズに進められる程度で構わないので、基礎的な語学力の習得を強くお勧めします。