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愛のまなざし

とても美しい瞳の男性に出会った。

とあるトークイベントで、固定概念でガチガチの私の頭を叩き割るような話をしてくれた方だった。しかも、その姿がとてもマイペースで全く力みがなく、とにかく楽しそうで、話を聞いているだけで私までニコニコしてしまう。

自分の常識をひっくり返して大きな希望を与えてくれたお礼を一言でも伝えたくて、イベントが終わったらすぐに彼の元へ駆け寄った。

「お話すっごく面白かったです!!」と興奮気味に彼の横顔に伝える。彼が「おぉ〜!ありがとうございます!」と私の正面を向き、目が合った、その瞬間。

「ええええええ!?」

私は心の中で絶叫した。薄いブルーグレーのような、透き通る瞳に吸い込まれそうになったのだ。あまりの美しさに驚きすぎて、私は細い目を思いっきり見開いていたと思う。

その日はたった数十秒ほど話しただけで終わったのだけれど「私にとって、この人はとても特別な人なのでは?」という気がした。見当はずれかもしれない。彼のほうはどう思っていたのかも全く分からない。でも、この直感は心の奥に大切にしまっておこうと思った。

その後、幸運にもふたりでお話する機会をもらえた。吸い込まれるような瞳にまた出会えるだろうかとワクワクしていたのだけれど、不思議なことに、あの瞳とは違った。もちろん美しいことに変わりない。でも、瞳の色が濃く、奥に入り込めない感覚がしたのだ。

そして、彼と話せば話すほど、私は「怖い」という気持ちが強くなった。自分に対して抱いている惨めな感情がどんどん炙り出されてゆく感じなのだ。その恐怖から逃げるように、大して話したくもない瑣末な内容ばかり発してしまう。「私、もっとうまく喋れるはずなのに!いつもはもっと面白い人間のはずなのに!」と焦るけれど、しまいには声もうまく出せなくなる。ミミズが這うような、か細い声になってしまう。

もうひとつ苦しいことがあった。自分に対してどんどん惨めになると同時に、彼の持ち物やちょっとした仕草など、細かいところに、いちいちものすごく抵抗が生まれたのだ。「嫌い」だとか「生理的に受け付けない」というわけではなく、ただただ怖くて直視できない。「やめて!」と叫びたくなる。こんなに素晴らしい人にネガティブな感情を抱く自分を許せなかった。

彼は目の前の相手がどんな状態であってもブレず、どっしり構えられる人だ。だから、ふたりで話しているあいだ、私がひとりであたふたし続けているだけだった。彼と別れた後、自分への失望で全身に力が入らなくなり、歩くこともままならなかった。「何が特別な人だ。私の勘違いだったのではないか」と、自分の直感も信じられなくなった。

でも、やっぱり、どうしても、自分の直感を捨てきれなかった。できれば彼との仲を深めたいと思い、無理に深めようとするメッセージも送った(彼は全く動じなかったが)。その一方で「私は彼を心から愛せないのではないか」という恐怖も生まれた。40年生きてきて数人の男性に本気で恋をして、そのたびに「あなたを愛したい」と思ってきた。そして、強弱はあれど誰に対しても「あなたを愛してる」とも思ってきた。でも「愛せないのではないか」と恐れるのは初めてだった。

ところで、私には、愛について教えてくれる師匠のような友だちがいる。彼女はよくこう話してくれた。

「自分を100%愛せるようになったら、七恵さんを100%愛してくれるパートナーに出会えます。七恵さんもその人を100%愛せます。でも、自分で自分を100%愛せていないと、『愛をくれくれ』という状態になり、相手のエネルギーを奪ってしまいます。相手もそうなので、お互いにエネルギーを奪い合い、しまいにはふたりとも疲弊してしまいます」
「七恵さん、何者にもなろうとしなくていいんです。もっと頑張らなきゃと思わなくていい。七恵さんのあるがままを受け入れるだけでいいんです」

彼女は愛について教えてくれるだけでなく、「人がその人の本当の役目に生きられるように導く人」でもあった。彼女はこんなことも伝えてくれた。

「七恵さん、自分の本当の役目に他者は関係ありません。『誰かと一緒にいるために』とか『誰かに愛されるために』と考えると、本来の役目とズレてしまいます」
「でも不思議なもので、本来の役目にまっすぐ生きるようになれば、七恵さんにぴったりなパートナーが現れるんです」

私は夏に離婚した後、いつかまた素敵なパートナーと出会い、心から愛し合いたいと願ってきた。でもそれよりも何よりも、自分の役目を知り、自分の役目に命を賭けたい。自分の才能を少しも無駄遣いせず、1ミリも妥協せず、役目を全うしたい。そう強く思っていた。だから、美しい瞳の彼との仲を無理に深めようとするのはやめようと決めた。パートナーシップよりもまず、自分に向き合うべきだと心に誓った。

自分の役目に生きるには、自分を100%愛し、自分を受け入れる必要がある。なぜなら、自分を丸ごと受け入れていなければ、自分の役目も受け入れられないから。誰に何を言われても、何があっても、自分の役目を信じて進む強さが必要だ。

でも、自分を愛し、受け入れることは想像以上に難しかった。生まれてからずっと自分にバッテンをつけて生きてきたのだもの。「私は私を愛してる」と口先で言うだけでは、自己否定で固まりきった心の氷を溶かせないことがよく分かった。

自分が抱えるコンプレックスを否定せず「そのままの七恵でいいんだよ。私はとても可愛いんだよ」と全て認めてあげる。誰かをずっと憎み、そのことに罪悪感を覚えている自分にも「憎んでもいいんだよ。ずっと辛かったね」と声をかけてあげる。最初は「自分を認めていいわけがない!!自分をゆるしていいはずがない!!」と強い葛藤が生まれる。でも、何度も何度も自分をゆるそうとすることで、少しずつ氷が溶けてゆく。

一番受け入れがたかったのは、今の自分の状況だった。経済的に厳しく、毎秒のように過去の自分の行いに後悔し、「来月暮らしていけるだろうか」と未来への不安に襲われていた。「早くお金を手に入れないと」と悶え苦しんでいた。
でも、その苦しみも拒絶せず、受け入れる必要があった。過去から今までずっと最善を尽くしてきたのだ。そして、どんなに苦しいと思える状況にあっても、今生かされているだけで幸せなのだ。困難が大きければ大きいほど、それをひっくり返せたとき、驚くほど自分の器が広がるはずなのだ。

今の苦しい状況も受け入れ、今すでに幸せだと感じられなければ、この先どんなにお金を手に入れたとしても「まだ足りない」と不足感を味わい続けることになる。だから、何度も何度も「怖いね、とっても怖いね。でも大丈夫。今の苦しみは自分の成長にとって必要なもの。必ずひっくり返そうね。大躍進しようね」と励まし続けた。

そんな風に、ここ数ヶ月、自分の内側の恐怖をひたすら見つめ、自分を愛し、受け入れようとしてきた。
実はこの向き合いと同時に、私は美しい瞳の彼に、オンラインで数週間ごとにコンサルをしてもらっている。彼は私の愛の師匠たちと会社を立ち上げ、人々が自分の役目に生き、事業を拡大できるように支援するコンサルを共同で行っているのだ。もちろん私はコンサルで、彼に対して特別な感情を抱いていると伝えていない。

1回目のコンサルでは、彼とふたりで会ったときのように、彼を画面越しに見ているだけで苦しくなった。コンサルの合間の世間話すらもうまく喋れない。「彼を直視したくない」という心のブロックが現実に反映されるのか、彼がカメラの前から移動して映らなくなることも多々あった。

でも、「彼への抵抗がある自分」も認めようとしたら、彼との関係も少しずつ変化していった。2回目のコンサルでは1回目のコンサルよりも素直に話せるようになったのだ。そして、涙が出るほど嬉しいことも彼に言ってもらえた。

「私は自分のどろどろした面を受け入れるのが苦しいです」
「黒い部分も七恵さんなのだから、さっさと認めてください。自分の白い光だけでなく、黒い光もエネルギーにしたら、2倍の力が出せるようになるでしょ」
「そっかぁ……。どうして皆さんは私を丸ごと受け入れてくださるんですか。こんなにどろどろしてるのに」
「僕たちには七恵さんの魂源(こんげん)が見えてるから。七恵さんが何を言っても、どんなにブレても『七恵さん可愛いねー』でおしまい」

そうか、どんな私でも、私は可愛いんだ。いつも可愛いんだ。この人たちは、私の魂の美しさをちゃんと見てくれてるんだ……!

お風呂掃除をしているとき、散歩をしているとき、お布団に入ったとき。「七恵さん可愛いねー」という言葉をしょっちゅう心の宝箱から取り出しては唱えた。この魔法の言葉のおかげもあって、過去への後悔と未来への不安に襲われる時間が少しずつ減り「本当の本当に自分を愛せるようになったかも?」と手ごたえを感じられるようになった。すると、とても不思議なのだけれど、「彼を心から愛せるようになったかも?」とも思えるようになった。
彼は自分自身を100%愛している。そんな彼を見ると居心地が悪くなるから、私はずっと彼を拒絶していたのかもしれない。

先日、3回目のコンサルがあった。7時間近くぶっ通しで、私が無意識に握りしめていた固定概念やブロックを丁寧に解いてもらった。

そのコンサルの途中、ハッと息が止まる瞬間があった。画面越しの彼が、とても穏やかな表情で微笑んでくれていたのだ。何もかも包み込み慈しむような、優しさに満ちたまなざしで、彼の周りが柔らかく発光していた。嘘ではなく、白く光っていた。

なんて愛に溢れた、神々しいまなざしなのだろうか……。

私の目は画面越しの彼に釘付けになった。彼のこんな表情を見たのは初めてだった。いや、そもそもこんな神々しい表情をする人に出会ったことがなかった。

「あぁ、本当に自分を愛せるようになったのかもしれない……」

コンサルの後、じわじわと感動が込み上げて、私はひとり静かに泣いた。あの愛のまなざしが私に向けられたものかどうかは分からない。でも、少なくとも私は愛のまなざしを見つけて、感動することを自分に許可できたんだ……。自分を愛せていなかったら、絶対にあの愛に溢れる現象は起こらなかった。たとえ彼が微笑んでくれていたとしても、きっと気づくことができなかった。

この先、彼との関係がもっと深まるかどうかは分からない。

「自分を100%愛する世界にいくと、パートナーが誰とかもどうでもよくなっちゃうんですよ!だってもともと私たちはひとつの存在ですし」

かつて愛の師匠がこう言っていた。本当にそうなんだろうなと、素直に思う。私はひたすら「恋と愛を伝える」という自分の役目を果たすことに集中し続けます。

彼がこの文章を読んだとしても、彼はいつも通り動じないだろう。そして「七恵さん可愛いねー」と言ってくれるんだろうな。

▼この話の続き

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