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素直になったら初対面の店員さんと心が通じ合った
物心ついた頃から、レストランなどのお店の人に「ごちそうさまでした」などと挨拶するのが苦手だった。どんなに料理が美味しくても、親切にしてもらえて嬉しくても、何度も通っていても、素直に挨拶できなかった。
なんでだろうな……。幼い頃、素直な気持ちを表現して傷ついた体験があったのかもしれない。知らない人は敵だと思うような出来事もあったのかもしれない。家で陽気におしゃべりすると「うるさい!」とよく怒られていたから、陰気に生きなきゃいけないと思い込んでいたとも思う。ひと言で言うと、すねてたんだな。
離婚した元夫は私と正反対で、外食をすると、いつだってニコニコと店員さんに挨拶をしていた。「全部とても美味しかったです! また来ます!」などとポジティブな感想もちゃんと添えていて、私は毎回「なんて素晴らしい人なんだ」と感動した。店員さんもとても嬉しそうで、元夫はどのお店でも好かれていたものだ。私もそんな彼が大好きだった。
私はといえば、元夫の陰に隠れて、店員さんと目を合わせないようにペコペコお辞儀をするか、ぼそぼそ挨拶するのが精一杯だった。いい年になってもほんっっっとうに素直になれなかった。陰気で挨拶もまともにできない自分が好きじゃなかったのだけれど、変わる勇気がなかった。とことんすねてたんだねぇ……。
そんな自分に大きな変化が起きたのは約一年前。
心からやりたいことをやれば人生は必ずうまくいくと、「青に生きる」友だち(青ちゃん)が教えてくれたのがきっかけだった。
素直に生きても人に拒絶されないし、怖いことは起きないらしい。それどころか奇跡がたくさん起きるらしい。青ちゃんの生き方からそう学び、私も勇気を出してお店の人に声に出して挨拶するようになった。心の奥ではずっと挨拶したかったから。
挨拶くらいで大げさだと思われるかもしれないけれど、私にとっては特大のブロックだったんだなぁ。
挨拶できるようになって本当に良かった。やっぱり怖いことは何も起きなかったし、一緒に遊ぶほどの仲になった出会いもあった。
ただ、お店の人に挨拶できるようになっても、まだちょびっとモヤモヤが残っていた。初めてのお店や行き慣れていないお店だと、店員さんの目を見るのが怖いのだ。それに「ごちそうさまでした」や「美味しかったです」といった、よくある挨拶以外の言葉がなかなか伝えられず、飲み込んでしまう。
でも、つい最近、ようやくそのモヤモヤも吹き飛ばして、本当の本当に素直にコミュニケーションできるようになりました!! 私はいい加減「素直レベル」をマックスにしたかったのです。それに、自分の内側に生まれたポジティブな想いを伝えないと、もったいないと思ったのです。だって、その想いを受け取ったお店の人は、絶対に幸せな気持ちになるもん。せっかく生まれた尊い感情を、私が独り占めするのではなく、まっすぐ表現して分かち合いたいなと思ったのです。
今日は初めて行ったカフェでパンケーキを食べました。前日の夜から楽しみにしていたのだけれど、想像の10倍くらい美味しくて!!ふわもちっとしたパンケーキにベーコンとメープルシロップをトッピングした甘じょっぱ系で、「あと5枚は食べたい!!」と本気で思ったんです。だから、お会計のときにそのまま伝えました。ちょっと照れたけれど、ちゃんと目を見て。
「めっちゃ美味しくて、あと5枚は食べられそうでした!!」
そしたらね、それまでクールビューティーなお澄まし顔だった店員さんの顔がぱぁぁぁっと明るくなって、「5枚も!? ありがとうございます!!」とにっこり笑ってくださったのです!! その笑顔が本当にとびきり可愛くて……!! まるでずっと友だち同士で、一緒にパンケーキを食べて「幸せだねぇ〜」と言い合ってるかのような笑顔で!!
「ちょっと待って、こんなご褒美がもらえるの?!」と、私は動揺してしまった。心のままに伝えただけで、一瞬でバチッと通じ合ったみたいだった。怖がらず、ちゃんと目を見て伝えられて良かった。花が咲いたようなあの笑顔を見逃さなくて良かった。素直になる喜びに気づけて良かった。
素直レベルをマックスにして良かった出来事は、実は他にもあるのです。そのことも今度書きたいな。
一方で「ここはまだ素直じゃなかったね〜! 素直になるの怖いんだね〜!」と気づいたこともありました。それもまたいつか。でも、気づいただけで、もう100歩くらい前進してるはずっっ。
▼文中の青ちゃんのお話