アホになれ

この世界は怖い場所で、本当の自分を見せたら攻撃されて生きていけなくなると思っていた。だからできる限り自分を隠して生きてきた。
人に話を合わせて、相手が何を言っているのか分からないときは愛想笑いでやり過ごして。家に帰ったらヘトヘト。体がずどんと重くなって、しばらく動けなかった。

でも、もう自分を隠さないでいいんだねぇ。愛想笑いしなくていいんだねぇ。穏やかな愛の海にぷかぷか浮かびながら、自分のお腹から「ほわわん」と湧き出る温かなイメージを、そのまま表すことに集中する。そういう人生がようやくスタートした。

私、教養が全然ないんです。受験のために暗記したものは全て飛んでいってしまった。抜き打ちでテストされたら0点だろうなぁ。世界のニュースも全然知らない。「知らなきゃ」という焦りはあったけれど、どうしても関心をもてなかった。

だけれども、今目の前にある美しさを見つけ、愛でる才能はある。今目の前にあらわれた美しさを通して、大いなる存在と繋がることができる。
遠くの世界の複雑な事情に思いを馳せるのは苦手だけれど、それは得意な人にお任せしてしまおう。まだ後ろめたさはあるけれど、やっとそう思えるようになった。

今最も憧れているある人が「アホになれ」と笑っていた。「エンジョーイ！」と言っていた。私もアホになって、この世界の素晴らしさを表現するよ。