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ミュージックケアについて考える~NO.3 ママにこそ必要なミュージックケアの時間~

前回に引き続き、ミュージックケアの研究をされている、西島千尋先生の著書を読んで考えたことをまとめました。ちょっと長くなるので、1つずつお話をアップしています。

全てのお話*****************************

■ NO.1 「一人前なこども」との時間 *アップ済み

■ NO.2 「共有する」から楽しい *アップ済み

■ NO.3 ママにこそ必要なミュージックケアの時間 ←今回のお話

■ NO.4 立場の概念がなくなるって気持ちがいい!

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今回のお話
■ママにこそ必要なミュージックケアの時間

著書にはある自治体で開催されている親子向けセッションに参加されていた、美鈴ちゃんと母美歩さんのエピソードが紹介されています

美鈴ちゃんは、生後5か月からミュージックケアのセッションを受け始めた。自閉傾向があり1歳2か月頃からは物の配置への強いこだわりが見られるようになり、外出するまでに家中の者の配置をチェックする、いわゆるチェック行動に一時間半かかることもあった。

保育園の年中になった美鈴ちゃんは、「リズムダンスやおうたはお耳が痛くなったりお鼻がむずむずしたり、つらい。お教室の絵が替わったりするのもすごくドキドキしたり、こわい。保育園に行かない。お母さんとずっといる」「もうがんばれない」と母美歩さんに話した。

美鈴ちゃんは、日常生活に困難を抱えていたものの「自閉症」など特定の診断のつかない、いわゆる「グレー」の状態。「行政の支援の枠(美歩さん談)にはまらない、周囲にも理解されない状態だった。そんな中、ミュージックケアのセッションがセーフティーネットになっていた。

美歩さんは著書の中で、「私自身が子どもと向き合うためには音楽療法(ミュージックケア)が必要だった。(・・・)そこに行くことで親になれる。」「ゆっくりだけどちゃんと育ってきている」と実感をもつことができ、毎回の「(美鈴ちゃんの)手が前に伸びるようになってきたね」などの言葉かけに、「勇気がもてたし、明るい先もみれた」と話しています。

これは、どのママにも当てはまる気持ちではないでしょうか。

「おっぱいをうまく飲んでくれない」「泣き止まない」「夜寝てくれない」「だっこするのがつらい」少し大きくなっても、「なかなか言葉が出ない」「癇癪がひどい」「ごはんを食べてくれない」「トイレトレーニングがすすまない」

ママたちはみんな、なにかしらの悩みを抱えて子育てをしています。特に第一子の子育て中は、「このやり方でいいのか」「ちゃんと育っているのか」分からず、迷ったり悩んだりしているママが多いのではないでしょうか。

いつも怒ってばかり。なかなかじっくり向き合ってあげられない。でも、ミュージックケアに参加しているときは、一緒にリズムに乗って体を動かしたり、楽器を鳴らすことで「親になれる」。「できたね!」「上手だね!」とわが子に対して言葉をかけてもらえることで、「ゆっくりだけどちゃんと育ってきている」と実感できる。

「子どものため」と思って参加するミュージックケア。もちろんお子さんのためにもなりますが、そこはママが「親になれる」と実感できる場所、「わが子はちゃんと育っている」と実感できる場所になる。

まだまだ未熟な私のミュージックケアですが、ママたちがそんな気持ちになれるような、ママたちのセーフティーネットになれるような、ミュージックケアにしていきたいです。

西島先生の著書
「音楽の未明からの思考~ミュージッキングを超えて~」
第一章 なぜ人は音楽療法をするのか~福祉現場のフィールドワークから~

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