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網走への旅(2024年10月)

 私がいちばん好きなビールはクラフトビールの先駆け、北見のオホーツクビアファクトリーの無濾過エールである。せっかくだから、10月下旬まで網走の北方民族博物館で展示中の刺繍展「アークティック・ステッチ~北方民族の刺繍」まで足を延ばすことにした。網走の目的はもう一つあった。少数民族ウィルタの人形「セワ」をお迎えすることだった。


 刺繍展では刺繍をするウィルタの北川アイ子さんの映像が流れていた。今はその技術を受け継いだ人たちが時折市民向けの講座をしているようだった。博物館には「セワ」やアイ子さんが遺したウィルタの人形が展示されていた。

ウィルタのお守り、セワ
アイ子さんの人形


 博物館には小さな蔵書コーナーがあり、北方諸民族の人たちがいかに戦争に巻き込まれていったか、そして苦難を生きたか、という歴史を知った。私は樺太に暮らした伯母から「ヲタス」のことは聞かされていた。現在では使われない蔑称で彼らが呼ばれていたことも。

 無濾過エールを味わって帰った私がしたこと。
それはウィルタの人たちについての本を集めることだった。多くは絶版であった。アイ子さんの兄、ゲンダーヌさんはウィルタを名乗り、その権利や文化を残すために強く戦った人である。戦争は、全く終わってなどなかったのだ。これも知らなければならない歴史だと思う。今も世界中で愚かな紛争が起こり、無垢の民が血と涙を流している。
歴史は一面から眺めてはいけない。

絶版の本も多い。



 ヲタスがあるポロナイスク(敷香)やその先の基地があった町レオニードヴォ(旧上敷香)も伯父伯母のゆかりの町である。いつか行ってみようと思う。
「セワ」は我が家の守り神として鎮座している。

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