念願の利尻悠遊覧人Gを走った件
利尻島一周、53キロ。これを走るウルトラマラソンの存在を知ってから数年。やっと走る気になりエントリー。そして多分これを国内のレースの最後にするだろう・・・
利尻は曽祖父が富山の魚津から商いで往復した地。曽祖父は利尻に定住しかかった人たちを対岸の天塩に連れていき、そこを開拓したという天塩町からすると偉人、利尻からすると迷惑な商人だったようだ。
エントリーは2月だったが、練習の再開は1月、年始にスポーツクラブに入会したところから始まった。トレッドミルで走って2キロで疲れた。距離を延ばし7キロ程度まで走れるようになったが、まだまだ先は長かった。
雪が解け、道路を走れるようになっても、たいして距離は延ばせず、サハリンで旅ランをしたのはいいが、やっと10キロ程度をゆっくり走るくらいだった。5月10日頃に30キロ走ることにしたが、25キロ以降は歩いていた。そのため、作戦としては、「最後は歩く」、腹は決まった。
もう一つの作戦は、完走ができる大会であることを前提に「身体に良い物だけで走ろう」ということだった。
各ポイントでは必ず水を取ることとして、
補給食は
純はちみつ
ぬちまーす入り黒糖
良い梅干
ぬちまーす
至福あん
それと有機バナナを購入。
をユレニクイの大きめポーチに入れた。
途中、ウニが食べられることを知った。目標が一つ加わった。
気になる天気は、晴れ。気温は15℃。去年の荒天を思えばなんというラッキーだろうか。
6月1日(土)快晴
CTS→RIS
空港に降りるとみんなが一斉に利尻岳の写真を撮る。以前行ったときにはこの山が全く見えなかったのだ。この山が突きだし、周りにわずかに残る土地に町があることがわかる。
ホテルの方が待っていてくれ、車に乗って、同じくマラソンを走るお客と一緒にチェックインした。
受付のりぷらはホテルからすぐ。受付終了し、利尻クエストをDL。
散歩に出た。ただし、岬に上るのは、足の点から自重。セイコーマートで土産を買って、早めに帰宅。夕日が美しい。対岸の稚内の灯台から光が見える。おいしい食事にビール控えめ、明日の朝のおにぎり弁当の確認後、就寝。時間がゆっくり流れる。
6月2日(日)
起床は4時前。すでに稚内方面からの朝日がまぶしい。おにぎり弁当をいただき、有機バナナをほおばり、利尻の美味しい水を飲む。りぷらに向かう。5時20分集合と言われても特に点呼なし。荷物は更衣室の隅っこに適当に置く。優里ちゃんにやっと会える。寒がりな彼女は上着とか手袋を必須というのでポーチに丸めて入れた(実際は不要)。ポイントは3千円ほどの小銭。道中の買い食い用である。
大会主催者のご挨拶。この大会の歴史上、3本の指に入る好天だそうだ。本当にラッキーである。かなり前方からスタート。昔の癖が抜けないようである。さらに序盤をキロ6分台で入ってしまい、パチンコ屋の前で優里ちゃんに先に行ってもらった。
本泊に運上屋跡があった。やっぱり曽祖父が活躍したのは本泊であっている。先に港があるようだが寄らず先へ。
礼文を見ながら早朝の海岸線を走る。島猫りしりさんが沿道にいたらと思ったけど、見えなかったので先に急ぐ。目標は第3ポイントの150名先着の特製スープだった。沓形に入り、利尻高校が見えてきた。
スープ、あった!
このあとはスピードダウンで良いのだ。沓形で4分の1終了。次に南の仙法志を目指す。
荒々しい海岸線、岩、神社、おいしい水。スタンプも捗る。、かつては海岸の公園に行った気がするが横目に走る。このあたりでは登りは歩き、下りは走るというパターンとなった。アップダウンのあるコースは飽きない。仙法志を過ぎ、島を北上する。そしてついに30キロ地点を過ぎ、オタトマリ沼に到着。予定通り亀一さんにピットインし、昨日解禁されたばかりのウニの軍艦巻きとビールを食して休憩。ウニは1800円。このあとも走ったり歩いたりして白い恋人のパッケージのモデルとなったあたりを過ぎれば35キロ。足はそろそろいっぱい。鬼脇の集落からはほぼ歩きとなったが、まだまだパワーウォークが出来た。鬼脇の川一食堂と資料館への道を通り、前の旅行を思い出した。何人かは抜かした。でも足腰がバラバラになってきたので無理せずゴールを目指す作戦となった。
鬼脇の子どもたちの太鼓の音が風を伝って10キロ先まで流れてきた。風が元気だ。そして空気が澄んでいるのだ。こんな場所を走る(実際は歩く)なんて、本当に贅沢。走れるなら気持ちの良い道がずーっと続いている。エゾハルゼミと郭公の声が響く。
42.195キロ、フルの距離を越えた。ここからは全くの未知の世界であるが、もう歩くしかない。気持ちの良い下りの坂道、涼しい覆道、ただ歩くなんて本当にもったいない。
フェリーターミナルを過ぎると、帰路につくランナー数人とすれ違う。みんな口々にあと少しだよと励ましてくれる。53キロは、長い。
ホテルそば、左に折れてホテルを過ぎてすぐ、りぷらの前にゴールテープが張ってあった。ひとりひとりのランナーにおもてなしである。「最後くらい走ります!」といったものの足が動かない・・・しかしゴール。優里ちゃんはご飯食べて風呂入って、待ってくれていたらしい。
軽食に豚汁とご飯といろいろ漬物。そして送迎のバスで温泉へ。気持ちよく、機能的かつ親切に設計されたおもてなしである。
りぷらに戻って優里ちゃんに挨拶してホテルへ。
たくさんのお客さんがすでにチェックアウトしてしまっているようで、ホテルの夕食会場は閑散としていた。美しい夕焼け、おいしい食事と中ジョッキの生ビール。もう一度温泉に入って就寝。明日は早朝ハイキングだから、足腰に湿布を貼った。
6月3日(月)
早朝の姫沼ハイキングツアーは5時10分集合。マラソンを走ったご主人を置いて参加した女性一人、ご夫婦1組、ご家族1組。8人満席で2500円。
姫沼の水鏡を味わい、珍しい植物たちと出会い、爽やかな朝。まだまだ足が元気で驚いた。ダメージが驚くほど少なかったのは、歩いたせいなのか補給食が身体に良かったのか。
朝食後、早めのチェックアウト(荷物預かり)でペシ岬に登る。昨日の走路を目で追う。サハリンは見えなかった。ペシ岬を下り、コーヒー屋に寄ってから島猫りしりに電話をしたらつながった!
ウニ漁が始まり、ウニ剥きをしていて、10時過ぎに戻るとのことなので、9時半のバスに乗った。運転手さんに「びやころ荘」といえば、降ろしてくれるとのこと。
新湊のあたりで降ろされた場所は、違った。近くに人に聞いたところ「口で言うより早いから送るわ!」とのこと。安達さんの猫を通じた知り合いだという。ラッキーだった。
びやころ荘は新湊第2のバス停のそばにあった。親切なその女性(野村さん)のおかげでやっと島猫りしりに到着。猫と遊んで猫に寄付をしてカレーをごちそうになり様々な猫談義とグッズや絵の販売のお話などをして、お嫁さんのあやちゃんの車でホテルに送り届けてもらった。
14:05発の飛行機に対し、ホテルの車は13:30発。電線が映らない絶景ポイントに寄ってから空港へ。以前はビルなどない草地が空港だったそう。
離陸してまもなく、ホテルが、りぷらが、港が、ペシ岬が見えた。
空路は留萌上空から陸地へ。札幌は遠く霞み(空気が悪いということね)、エスコンが見えたら到着である。
利尻は、思いのほか天候に恵まれ、楽しく、余裕で完走(歩)が出来、食べ物は美味しく、最後に安達さんと親交をあたため、最高のマラソン旅となった。
辞めるつもりが、ゴール後のホッケを食べられなかったとか、前日の礼文のマラソンを参加し損ねたとかもあり、やはり来年をどうしようかと考えるのであった。