島民、はとバスに乗る。〜少し長めの体験談
20代に入ってからというもの、東京は仕事の出張で行くものか
または街中に買い物をしに行くか
果ては東京大神宮にお参りするかのいずれかでしか行っていなかったことに気がついた。
あとは東京ディズニーランド
・・・は東京ではないんだっけ。
子どもができてからは、上野動物園や東京駅には行ったけど・・。
観光をメインにしても楽しいんだろうか。
だって人多いし(人ごみ苦手。致命的)今行ったら外国の人の方が多いんでしょ?それに夫の実家から東京って場所によっては電車で一時間以上かかるじゃん・・・。やだよ、子供達連れて東京まで出るの・・
などなど東京観光に関してはあまり乗り気ではなかった私が、
はとバスに乗りました。
ガチな観光じゃん!!!!!笑
ことの発端は、トミカとプラレールが大好きなうちの次男の発言。
『ぼくねー、いつかはとバスに乗りたいの』
それを聞いた祖母(=私の義母)
『そうなの!じゃあ次におばあちゃん家にきた時は一緒にはとバスに乗ろう♪』
そう。うちの夫の実家は首都近郊県のため空の玄関口は羽田だし東京にも出ようと思えば出られる。それに年に2回は帰省をしているので『はとバス乗ろう!』と行動すれば乗れてしまうのである。
当初私は子供達を連れて東京に出るのがめんどくさ否億劫で『次はこの怪獣どもをはとバスに乗せなくちゃいけないのか・・・』と顔が死んだのだが、よくよく考えたら自分もはとバスには乗ったことないし、近年すごく人気だと聞いたのでもしかすると楽しいのかもしれない、といい方に考えることができ、無事乗車に漕ぎ着けたのであった。
はとバスに乗る、と実母に告げたところ『いいなあー!おばあちゃんも乗りたい!!』と言われたためせっかくだから一緒に行くことになった。
まさかの義実家帰省に実母がついてくる。
なかなか無いパターンなんでは無いだろうか。
あれよあれよという間にはとバスを予約した日はやって来た。
奇しくも木枯らし1号が都心に吹いたとされる翌日だったため、島の真冬のように寒かった。そして夫が予約してくれたのはまさかのオープントップバス。
(二階建てバスの屋根ないやつ)
寒い。大丈夫だろうか。子供達にユニクロのダウン買ってて正解だった。
寒そうとは思ったけれど、幸い太陽が出ていたため思ったよりは大丈夫であった。太陽ありがたい。
そして私たちが予約していた便は満席であったが、そのほとんどは日本人のように思えた。日本の人もはとバス好きなんだなと思ってなんだかホッとする。
少し年配の方達や、お父さんと大学生くらいの男の子。
新婚さん?夫婦旅行チックのような二人。平日だったからか私たちの他に子連れはいなかった。色んな人を乗せてはとバスは走り出す。
2階建てバスの2階部分も、オープントップバスにも初めて乗ったため
慣れない高さにおおお、とやや興奮する。気持ち良いくらいの風が正面から吹いてくる。
頭の中であの有名な歌が流れた。
東京ブギウギ〜 リズムウキウキ〜
心ズキズキワクワク〜〜♪♪
(笠置シヅ子 東京ブギウギ)
確かに・・・!と頭の中でブギを踊りつつ一番乗りたがっていた次男はどうだろう、と隣の次男に目をやると
スン・・・とおとなしく乗っていた。
え・・・予想外すぎる。もっとはしゃぐものだと思っていた。
なんなら私の方が静かにはしゃいでいる。
少しだけがっかりじゃ無いけど、肩透かしを食らった気分だ。
東京駅丸の内南口乗り場から走り始めてまもなく皇居が見えた。
おおー!ニュースとかで見るやつー!広い道の周りにお堀、ビル群の中に突然ひらけた清浄なお庭が現れた。
実は私、東京は何回か行ったことがあるけれど皇居は行ったことがなかったようでなんだかとてもテンションが上がった。
お堀周辺を見ると走っている人がいて、『これがあの皇居ランナーか・・!』と無駄にウキウキした。
少しバスが進むと桜田門にて警視庁が見えてこれまた
『ああ・・!相棒でもケイゾクでもSPECでも見た警察ドラマでお馴染みの警視庁・・・!』とワクワクする。完全に【おのぼりさん】である。
でも正直自分がこんなにはとバスでテンションが上がるとは思わなかった。
楽しい。冷たい風が心地よい。
ふと隣の次男を見ると、バスの揺れが心地よかったらしく寝てしまった。
おい3歳!!!君が乗りたいと言ったのよ!!!笑
と、突っ込みたくも家族は前の方にしかいないし話したとて届く距離では無いから面白いのを自分一人で味わうこととなった。少し残念だ。
(のちに様子を聞かれて寝たと答えたら大人は皆笑ってくれた)
それからバスは東京タワーを見せてくれた。
東京タワーには20代最初の方に親友と登った。スカイツリーができても変わらず東京のシンボルであることには変わりない。赤みの強いオレンジ色(逆?)の鉄塔。外国人観光客もいっぱいいた。
芝公園までの道、このあたりは案外街路樹が多いのだなと思った。
そのせいか空気が予想よりも澄んでいると感じた。気持ち良い。
東京はもっとゴミゴミして息苦しいところだと思っていた(都民の方ごめんなさい)。
そしてさらに面白かったのが、オープントップバスで首都高速に乗ったことだ。
首都高速の入口が狭くて、え!?ここ入るの!?と思いきやぐいん、と短い坂を登りあっという間にさらに高い首都高へ躍り出た。
遊園地のアトラクションみたいで楽しいが、いかんせん風が強くちょっと寒かった。南の島ではまだまだ着られない厚めニットのカーディガンにニットロングワンピースを着ていて本当に良かった。
そしてこのタイミングで前の前の席に座っていた長男も寝た。
おい5歳!!!(以下略)
隣の次男もスヤスヤ寝ているので、私は事実上一人でオープントップバスの首都高ドライブを楽しむというとても稀有な経験ができた。遊園地のアトラクションで一人で座らざるを得なくなった気分だ。
レインボーブリッジと言えば私にとっては踊る大捜査線で閉鎖できないやつというイメージしかない。今それを渡っているのだと思うとなんだかやけに面白かった。そしてレインボーブリッジ長い。寒い。楽しいけど寒い。
首都高速の上で青空を見上げる経験は、なかなかできないだろうなと思って上を向いてみた。
風が強く吹いている。雲多め。
思っていたよりも東京の空は綺麗だった。
風の強さはバイクで走っているときみたいだなと思った。私は後ろ専門だったけれど。
バーーーーという風が、嫌なものを全部吹き飛ばしてくれそうな気がした。
首都高を降りたら有明のスポーツ施設群を抜けて豊洲市場を左に見る。
勝鬨橋を越えて、築地市場跡から場外市場へ。
すると、いかにも【市場】らしい人でごった返す店の連なり。活気があるのが遠目にもわかる。
面白かったのはめちゃくちゃ外国の人が多くてまるでそこだけ異国の地のようであったこと。日本なのに。空港の国際線みたいになってると思ってまた面白い。
【すしざんまい】の看板を見つけては『これがあの・・・!』とワクワクする。
行ったことないのに知っている。すしざんまいすごい。島には無い。
しばらく進むと右手に歌舞伎座の建物。
近代的なビル群の中にこれまたいきなりバーンと日本が全面にうち出ている。
歌舞伎は一度島で観たことがあるが、やっぱり昔から長く続いているものってすごいなあ・・と思ったものだ。迫力がある。
建物を見て心の中で『よっ!〇〇屋ーーーーー!』と叫んでみる。
銀座のリッチなブランド通りを抜けると程なく東京駅が近づいてきて、帝国劇場を右手に見る。確かその近くに東京宝塚劇場があるはずだ。
10年弱前に日帰りで宝塚を観に行ったけれど、あの時のトップスターさんは誰だっけ・・。美しくて目が潰れたかと思った。
気軽に観に行ける距離に住んでいたなら私も立派なヅカオタだったであろうなと思う。
宝塚だろうが野球だろうがなんだろうが、【推せる】対象がいるのは幸せなことだよなとしみじみ思う。
そんなこんなで確か海外の駐日大使が任命される時馬車で通れる道ってこの辺よねと思ったところを右に曲がって東京駅を正面に見る。
東京駅は去年だったか一昨年だかも来たけれど大正のレトロな香りがする赤レンガの建物はなんともお洒落だなあと思う。いつみても惚れ惚れする。
しかし中に入ったら最後迷子になる確率は高い。(経験済み)
そして到着寸前のところで次男が目を覚まし、一瞬ナニコレドユコトみたいな顔をしたが、しれっと乗車していた。面白い。
こうして一時間弱のバスの旅は終了。
乗客はみな満喫した様子でオープントップバスから降車したのであった。
降車後、乗り場近くの売店に立ち寄り義母が
『おばあちゃんが何かはとバスのグッズ買ってあげる!』と孫へ甘々発言をぶっ放してくれた。
てっきりトミカシリーズのはとバスを選ぶのかと思いきや、
息子たちはトミカはとバスの2.5倍ほどの値段の立派なはとバスのおもちゃを選んでしまった。
ライトも光って音も鳴るやつ。しかも二人揃って同じもの。
気まずい。どっちか一人はトミカにしてくれと思いつつ、同じもの一人ひとつづつあったら喧嘩しなくて良いよなあとは思った。
義母は文句も言わず同じものを買い与えてくれた。ありがとうございます義母。
(それがヘッダー画像のはとバス)
さて、私にしては長くなってしまったけれどやっとこさ降車と相成りました。
ここまで頑張ってお付き合いいただきありがとうございました。
私は今回のはとバスツアー、中々面白かったし東京をちょっと好きになることができました。(嫌いだったわけでは無いけど、好きか嫌いかと考えたことがなかった笑 都民の皆様ごめんなさい)
他のコースにも乗ってみたいし、何より皇居周辺には改めて行ってみたい。
もしあなたが東京以外にお住まいなら、機会があれば黄色いバスに乗って知らない東京を見てみるのはどうでしょうか。
私みたいに、思ったよりも東京を好きになれるかも知れません。