2021年の出会い・花と色
今年は東京のほか関西・九州にも青いうつわが旅をして、うつわを通じた人との出逢いに恵まれた年になりました。
はじめた頃に「このうつわを見て故郷の海を思い出しました」というお言葉をいただいたことで、大好きな旅で見た景色や色を思い起こしながら表現していく今のカタチが出来上がりました。
食器棚から取り出ししたプレートから海を懐かしんだり空が恋しくなったり。人それぞれの青にまつわるストーリーに繋がれたらとても嬉しく思います。
「ブルー」の覚悟
今年は展示の際に添えるカードを新しくしました。その際思いきって名前を「Nana Blue Ceramic」に変更。カードはロイヤルブルーに少し個性的な文字を選びました。
青好きにとっては偉大なる「ブルー」を名前に入れるなんておこがましい!けれど、これがナナブルーと言えるような作品をつくっていけたら。小さなカードに思いを詰め込んで心機一転。
出会った色 in 2021
ここからは出展作品から今年のうつわの色を振り返ってみます。
◉ Bijou(ビジュー)
海からの送りものの意を込め”bijou・ビジュー”と名づけました。
青い石、黄緑色のシーグラス、光が差し込んだ時に現れる水辺のキラキラ。透き通る水をちりばめた海のイメージのうつわ。
春の海、冬の海と表情の異なる海のように、一枚一枚の色の変化が楽しい色。神戸での展示が3月で何か記念になるよう色がいいなぁといくつかは誕生石「アクアマリン」のような柔らかい水の色を挿しました。
3月は自分の誕生日でもあったからわたしも神戸に行く気満々だったのに。。。六甲山のホテルや美味しそうなお菓子屋さんも探していたのに残念ながら断念。
◉ Azzurro(アズーロ)
イタリアやチュニジアの空、ギリシャの島の街並みなど、突き抜けるような真っ青な空をイメージ。地中海のお料理やスパイシーなもの、パスタをどさっとのせたり。大鉢は大根と手羽の煮物、和洋気にせず使ってます。食卓の差し色としても。
◉ Sahara(サハラ)
結晶まじりのベージュを見て金色に輝くサハラ砂漠が浮かんできました。
青空と目の前に広がる地中海を眺めながら、木陰のテラスでしゅわしゅわするようなものを飲んでる光景。
初夏の個展ではアフリカから地中海を越えヨーロッパ南部に吹く南風・Sirocco(シロッコ)をテーマにしました。
この日に合わせて友人が箱にいっぱい!育てている紫陽花を送ってくれました。
黙食ならぬ「黙ショッピング」時代での開催。こんな状況だからか明るめな色を出したい気持ちがありました。そして、大切に育てられたガーデンフラワーの繊細ながら力強いエネルギーに包まれた思い出に残るイベントとなりました。
◉ Terracotta(テラコッタ)
秋が近づくに連れて、気持ちも深みのある色に惹かれていきます。
大地のようなオレンジにビビットなブルーを合わせた色合いは、いつか行ってみたいドブロブニクのオレンジの屋根とアドレア海のコントラストが浮かびました。
◉ Lapis(ラピス・ブルー)
大好きなラピスラズリからラピスの名前をいただいてしまった!そこにグレーと青の結晶を埋め込みました。
秋の展示の際「ラピスラズリが好き」といってお迎えくださったお客様と会いめちゃくちゃ嬉しくて、嬉しすぎて多分無表情だったと思う。
水のようなブルーの色彩にも時折吸い込まれそう。。と感じるのですが、これは水の色よりもっとずっと奥深い場所にいくような世界がありました。部屋の空気が変わる青の群を見たのは初めて。静かなのに重みのある色はパワフル。
暮らしに花を
もともとひとりで黙々作業の生活ではあるのですが、なかなか人と会えない期間が続く中に元気をもらった季節のお花。
「お花を飾る暮らし」が徐々にわたしの生活に浸透し、今年は念願の花瓶展を開催できました。
花瓶展に向けては幾度となく打ち合わせをして、口径と高さにだいぶ苦戦しながらギリギリ完成。
毎回きらさずお花を飾ろうと思うとハードルが高くなってしまう。お花がない時でもインテリアとして、気になった花を数本さして無理なく生活に取り入れられたらと作ったデザインです。
イメージは「月の夜」
「Lapis - ラピスブルー」の色を前提にくびれと膨らみの曲線をデザイン。お花を束ねたときの茎部分の膨らみもイメージしながらつくりました。
移りゆく秋空の中、数々の風のようなスタイリングをしてもらって夢のような今年ラストの展示となりました。
今年最後の展示を終え、花瓶をつくる上でもきっと勉強になると聞いてブーケ体験レッスンに参加しました。お花の選び方や扱い方の基礎を教えてもらって初めて束ねてみたらとても楽しかった。
「一本一本のお花の流れを見る」家で飾る数本でも束ねる時の意識が変わりました!
素敵な1年をありがとうございました!
来年も出合いを楽しみに精進して参ります。
どうぞ、良い年末年始をお過ごしください。