ヤマト・ライフ-ルイーズ・ブルジョワと10月の作品まとめ-
日に日に風も冷たくなり冬の到来を実感する今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
10月も本日で終わりということで訪れた場所や描いた作品と共に今月を振り返ろうと思います。
先日六本木の森美術館で開催さえているルイーズ・ブルジョワ展へ。
53階のビル窓から覗く都内ビル群の夜景を背景に吊るされた弧を描くように反り返る頭部の無い男性のブロンズ。
作品はもちろんライトの光で床に映し出される影までもがアートでした。
この作品はフランスの精神科医、シャルコー(パーキンソン病の命名をしたことでも有名な人、フロイトの師匠)によるヒステリーの研究を題材とされているそうで、ヒステリーが女性特有という固定概念を覆し、男性にも存在することを「不自然な体制で宙に吊るされた頭の無い男性像」によって表現した作品。
なんせ53階ですからね、夜景は綺麗だったけどちょっと高すぎて怖かった笑。
今回の展示のタイトルにもなっている一節。
ルイーズ・ブルジョワって作品もそうですが言葉が鋭く研がれたナイフの如く切れ味でかっこいいんですよね。
個人的にこちらの詩がとても好きでした。
自分の恐怖と真正面から向き合うのはそれはそれは恐ろしいことですが、
そうすることでしか自らの心の壁は越えられないものだと思います。
ある小説で
「残酷さとそれを恥じる心どちらがより人類を人類たらしめる特徴だとおもう?」
という問いに対し
「私たちが人間たりうるのは赦すことができるから」
という答えが出されていました。私もそう思います。
「過去というのは、私たちの真の姿に死ぬまでずっとつきまとうおしゃべりな影」です。
ブルジョワが子供の頃高圧的に家庭を治める父を憎むあまりパンを父の体をイメージして固めて形どりそれを嬉々として切断しながら食べたように人間は残酷さを備えた生き物です。
残酷さが生む過去のトラウマとそこから生まれる彼女を取り巻く憎悪。彼女にとって作品を創るとい行為はそういった過去という憎しみのサイクルを脱す「赦す」というプロセスなのではないかなと思いました。
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