人生初手術が尻② ~限度額認定証とかいうめんどい申請のやつ~
※本記事では筆者実体験の痔の手術について出来る限りおもしろおかしくレポをしておりますが、経験者の方やこれから経験する方を貶める目的のものでは決してありません。また、上記のような目的としての記事の流用は決して容認致しません。
これから入院する予定の方のために、少し面倒な話をする。痔の話のエピソードだけ読みたい人はこの記事は飛ばしてくれよな。
「限度額適用認定証」の話だ。
なんで難しそうな書類って難しそうな漢字をたくさん並べてやる気をそぐんだろうね。
限度額適用認定証とは。要するに「入院する時のお金をちょっと助けてくれるよシステム」の事である。当人の収入に応じて、自分が負担しなきゃいけない医療費の限度額が決まっていて、それを超えたお金はこれを使うと払わなくてよくなる、みたいなやつ。入院って多分高額になるものなので、これを事前に申請しておくといい。
ちなみに申請が間に合わなかった場合とか、忘れちゃった場合でも、「高額療養費制度」っていうのがあって、これを申請すれば、後日「限度額認定証」と同じ分お金を戻してもらえる。ただこの場合、病院には一度お金を全額払わなきゃいけなくなる。
まあつまり、退院の時に安く済むのが「限度額認定証」(前もって申請)
退院の時には高くお金を払って、後日戻ってくるのが「高額療養費制度」(あとからくる通知に申請を返す)
ってこと。だと思う。
私もよく分かってないので、何それ?って思った人は調べてみてくれよな。
ちなみに私はこの「限度額認定証」でアホな失敗をしたので、一応ここに書いておく。
まずもって、「限度額認定証」の存在に気付いたのが、入院の五日前だった。
病院からもらった書類をろくに見ていなくて、ようやく見た時にはそんなタイミングだった。夏休みの宿題は最後の五日でやるタイプ、ドンズバである。
どうも申請をしてから発行まで10日くらいかかるらしい。アウトじゃん。
まあそうは言ってもやっぱり安く済ませたいし、という事で、ダメ元で申請をしに区役所へ赴いた。気づいたのが金曜の夜だったので、土日を跨ぎ、月曜の出勤後に区役所に行く事にした。もう三日もなくなった。
これがそもそもの過ちの始まりだったのだが、その時私はまだ知る由もない。(安直なフラグ)
職場から区役所へは電車を二本乗り継ぎ、35分程度。定時が15時だったが少し残業してしまい、15:30頃に職場を出た。17時に閉館してしまうので、ややギリギリだ。
電車を乗り継ぎ、区役所の最寄り駅に着いた。足早に区役所へ向かう。
今から申請をしても入院には間に合わないが、10日前後かかるのは郵送の場合だと書いてあった。
もしかしたら窓口なら即日発行できるのではないか、と淡い期待があったのだ。
ついでに病院にも問い合わせて、入院に間に合わなくても退院の時に書類を持ってきてくれれば入院費を引いてもらえるという返答は貰っている。
まさに完璧。
自分のミスは自分でカバーできるタイプ。
足取りは自信に満ち溢れていた。
区役所につき、入り口で要件を伝え窓口を教えてもらう。
言われた通りの窓口に向かえば、年配の方が二人、カウンターで話をしているだけだった。これはすぐ順番が来そう。
年配の方の世間話を窓口の方が張り付いたような笑顔で聞いているのを10分弱眺めていたら、順番がきた。
「棚卸さんですね、今日はどのような?」
「限度額認定証を発行したくて」
「ご本人の入院ですか?」
「はい。ちなみに即日発行って可能なんですか?」
「はい、今日はそこまで混んでいないのですぐできますよ!」
やった!!!
窓口の方は笑顔で優し気な女性だった。何もかもうまくいっちゃうなもう。
「よかった、郵送だと10日かかるって見て…」
「窓口まで来ていただいたのですぐに!保険証お借りできますか?」
「は~い」
ウキウキで保険証を出した瞬間、窓口の女性の朗らかな笑顔が固まった。
「た、棚卸さん」
「はい?」
「これ、うちじゃないです」
「え」
ナンデ。
「あの、棚卸さんは区ではなくて協会けんぽで保険に加入してらっしゃるので…窓口はけんぽさんでないと…」
エーーーーーーーーー!!!!
そう、私は国保ではなく社保に加入している。
だから窓口は区役所ではなかったのだ。
あ、そうか、この案件相談したの、父だったけど、父ももうずいぶん前から国保だった。社保の感覚なんて忘れてるに決まってるじゃん。
窓口が区じゃないなんて!!思いつきもしなかった!!!!
「あ、いやほんと、………スマセン」
キャッキャッとはしゃぎながら保険証を出した、その手を引っ込め、すごすごとその場を後にした私。
あまりにも恥ずかしい。しかも無駄な時間と道中だった…
いつもならここで周囲のうまいメシ屋など探すところだが、そんな気力も起きない。
しばらくぼーっと区役所前のベンチに座っていたら、中東系の男性が話しかけてきた。
どうでもいいが私は昔から中東系の男性からの話しかけられ率が尋常じゃない。中東でモテる顔なんかな。あんまり嬉しくない。
「コレ、ココ、アッテル??」
と言いながら、自分の持っている書類を指差してくる。そこには「●●区役所」の文字。まさしくここだ。ここがきみの探している区役所だ。
「あってるよ。ここだよ」
アリガト!と、ニカっと笑って、中東系男性は目当ての場所に入っていった。
遠い異国の地からの来訪者ですら、この区役所にたどり着くことができているのに、私ってやつは。
帰ってからめちゃくちゃ調べて結局郵送することにしたけど、けんぽのホームページ、たぶん47都道府県それぞれにページがあってめちゃくちゃ探しづらいから気をつけてくれよな。多分申請書のフォーマットは一つしかないはず。
それにしてもホームページで申請書をダウンロードして郵送で送らせるって、めちゃくちゃ非効率だよね。ネット能力と郵送能力ふたつが求められるのって年配にも若年層にも全然優しくない気がする…。
という、失敗者の愚痴だぜ。
あーめんどくさかった。