人生初手術が尻⑤ 〜入院3日目・鈍痛バトルと人間のメシ〜
※本記事では筆者実体験の痔の手術について出来る限りおもしろおかしくレポをしておりますが、経験者の方やこれから経験する方を貶める目的のものでは決してありません。また、上記のような目的としての記事の流用は決して容認致しません。
鈍痛の夜をくぐり抜け、朝6時、待ちに待った看護師さんが現れた時、ちょっと泣いちゃうかと思った。
「おはようございます。眠れました〜?」
「痛いです……」
「え!あら!」
慌てて点滴を補填しにいってくれる看護師さん。はーまじできつかった。こんなに耐えることなかったかもしんないけどなんかついね…。
「あと、尿管抜きますね。入れる時とは違ってちょっと変な感じするかも」
いやちょっとどころじゃなかった。ずるぬぽーと気持ち悪い感触。出てるのかよく分かってもいなかったけど、看護師さんがおしっこ捨てにいってくれたから結構出てたんだろう。夜間ほぼ寝返りも打てないし、やっぱり尿管が上位に嫌なことなのに変わりはなかったわ。よく耐えた。
「ここからは自分でトイレいけるからね。でも最初結構立ちくらみするから気をつけて。腹筋みたいに少し起きたり寝たりしてから行くといいよ」
ほーそうなの…でも尿管抜かれたせいかわかんないけどちょっとトイレ行きたい…。そう訴えたら、早速少し体を起こしたり寝たりしてから立ち上がることに。そんなに苦なくいけた
痔はいいことまじでなんもないけど、まだ体が元気なうちに手術を決意したのだけは本当に英断だったと思う。これは歳とってからだと本当に大変だろう。
トイレにいくと、チロチロ…としかおしっこ出なかった。なんかすごく出そうな感じしたんだけどな。それにしても昨日から患部にずっとつけてるガーゼがえぐいことになっててもう外したい…。謎の黄色い汁と血痕がすごい。
「あーそれね、亀ちゃん先生が外したいらしいんだよね」
看護師さんの謎のコメント。
え、どゆこと?
まじで謎。
自分で外したいってなんだ…??この薄汚いガーゼを?
うっすら思ってたけど、やっぱり亀ちゃん先生ちょっとサイコパスみあるのでは???
いや腕は確かだと思うけどね??
仕方なくぐしゃぐしゃのガーゼをつけたまま、今回の入院で初めての、そして実に二日半ぶりのごはんが運ばれてきた!!!
朝食:でんぷんのりのような粥、博多の塩、具無しスープ(コンソメ…?)、ヤクルトみたいなリンゴジュース、お茶
(´・ω・`)
分かってはいたが物悲しい…ちなみにこの写真、うまく上から撮れてないのは尻が痛くて姿勢が斜めになってたからです。
もはや人ならざるメシ……としょぼしょぼ顔になりながら食べる。粥に全く一切米粒を感じないのね。塩入れない状態だと完全なるでんぷんのりだった。
あーーーモスチーズバーガーとかサイゼのドリアとかびっくりドンキーのハンバーグとか食べたァイ。数日前に冨樫展に行った時食べたカニクリームコロッケつきオムライス、超おいしかったな…(サムネ参照)。
でもめちゃくちゃ完食した。
久々のごはん。ものを食べるって幸せなことだな。
痛みが全然引かないので、とりあえず頓服薬も飲んだ。
11時から汚ねぇガーゼを剥がしたい系亀ちゃん先生の診察らしい。これからどう処置を進めていくかみたいな動画を見せられたり説明を聞いたりして少し休んでいたら呼ばれた。
とりあえず点滴引きずってラウンジにいって、そこでまた呼ばれるのを待つ。ラウンジには私と同じくらいの年齢の女性と、年配の女性が座っていた。
近い年齢の女性が人懐こそうにニコ!と笑ってくる。へら…と笑顔を返した瞬間反射のように
「痛い…」
と呟いてしまった。
「え!いたいの!わたしぜんぜんいたくない!」
ちょっとカタコトみある。フィリピーナかな…?
「きのーしゅじゅつで!きょうぜんぜん!いたくない!」
「腹の底から羨ましい」
オタクは語彙が妙になりがちである。
年配の女性も心配そうに話に入ってきた。
「かわいそうにねぇ…あなたも昨日手術?」
「はい…」
「明後日くらいにはきっと痛くなくなるわよぉ」
「うっ…ほんとですかおばさま…」
棚卸さんはババっ子なのでおばーちゃまに弱い。考えてみれば個室なので、医療関係者以外と会話するのはこれが三日ぶりの出来事だった。個室自体はめちゃくちゃ快適だけど案外会話には飢えてたんだなと思い、ちょっと癒される。
どうもフィリピーナちゃんは私の直後に手術をしたようだ。多分彼女は亀ちゃん先生の言う「普通は二、三か所」の範疇だったんだろうな。羨ましい。だってめっちゃ元気だもん。
「こっち、すわる?いいよ!」
フィリピーナちゃんは自分が座っていた座布団つきの椅子を薦めてくれた。えっ超いいこ…ありがと…。
「棚卸さーん」
「あ、呼ばれたんで、だいじょぶです。ありがと…」
席変わる前に呼ばれた。心配そうにしてくれるフィリピーナちゃんと年配の奥様と別れ、処置室に入ると亀ちゃん先生が待ち構えていた。
「やぁ大変だったね!!七か所!!」
人の事、傷の数で呼ぶのやめてくんないかな。
処置室のベッドに横になるように言われ、そこでまた尻を見てもらう。汚ねぇガーゼは特に感慨もなく剥がされた。せめてなんか言えよ。
しかしこの数日間でこの人に対して尻を露出するという行為に対して何一つ感情が動かなくなってしまったな。
「あーうんうん、綺麗だよ」
尻の傷に対して向ける言葉ではないけどだいじょぶそ?
「綺麗スか」
「そりゃそうさ!自信作だもん!」
ヒエッ
サイコパスこわいよお。
「俺たちはもう職人みたいなもんだからね」
なるほどそういうもんなん?
左官職人さんが自分の渾身の壁に惚れ惚れするみたいな感じ?でもやっぱ尻穴に対しての綺麗だねと自信作さはなかなかな発言だと思うんだけども。
「何はともあれ棚卸さん、これでリセットだからね」
はい、肝に銘じております。ここからどうなるかは私次第ってことですよね。願わくばまじでもう一生こんな目には遭いたくないもんだ。尻を大事に。人生の標語にしたい。
「薬入れるね〜」
「ふぎッ…!!!!!」
ちなみに今んとこ、この先生が入れた座薬が入院中トップオブ痛かった。10段階で痛みレベルよく聞かれるけどぶっちぎりの14。ベルセルクで拷問かけられる市民みたいな声出たじゃん。痛すぎてしばらくベッドから起き上がれないくらい痛かった。
あとその時に「術後こんな感じで、今こんな感じ〜」と患部の画像を見せてもらったんだけどあまりにもグロだった。今私の尻こんなんなってんのやばいな?これに対して綺麗とか言う先生もまぁ相当やばいな?
今後の簡単な処置などを聞いて、処置室を後にした。
ソッコーで寝た。痛みって、疲れる。
さて、お昼ご飯はあまり期待していなかったんですが。
いいにおいがしゅる〜〜〜!!!
昼食:五分粥、白身魚の西京焼き、ほうれん草のおひたし、根菜と鷄の煮物、かぼちゃのマヨ和え、プリン、お茶
めちゃくちゃおいし〜〜〜!!!
本当においしすぎてルンルンしながら食べてしまった。しみしみの大根も美味しいし、鶏肉に「肉だ!」とテンションが上がりすぎて最後までとっとくくらい嬉しかったし、白身魚なんて味噌効いててめちゃくちゃお粥に合うし、お粥も米粒感じるし、かぼちゃ苦手なんだけど甘くて最高だし、ねぇあとデザートまでついてるの大丈夫!?急に人間扱いしすぎなんじゃない!?プリンって甘いね〜〜!!!カラメルなしだけど卵の味がしっかりしてて全然いけるうまい〜〜〜!!!
当然のように全部食べちゃって、配膳下げに来た方に「えっ完食!?」みたいなリアクションされた。みんな全部食べないの?
普段自炊してる身としては、こんなにおかずの品数多いの大変すぎてまずしないのでめちゃくちゃ嬉しい。あとごはんが出てくるまで何か分からないのもうれしすぎて最高。住みたい。
食べてる最中からめちゃくちゃに胃が動き出してるのが分かった。くきゅるるるぎゅぎゅう〜〜とかすごい音してた。
このへんから自己評価シートっていうのを書くことになって、主に
●お通じあったか
●どんなお通じだったか
●ご飯食べたか
●下剤(整腸剤)飲んだか
●体調はどうか
●おしっこ何回行ったか
みたいな項目がある。
今のところお通じまだだけど、看護師さんに「まだなんだ」と言われちょっとびっくり。もう来ててもいいもんなの?だってまだでんぷんのりしか胃にいれてなかったし…昼ごはん食べたばっかだし…。
それから、お尻に自分でパッドみたいなのをつけることになる。チューブの薬を500円玉くらいにしぼってお尻に当ててパンツを履く感じ。
専用パンツは500円くらいするらしく、オムツもいいと思うよ〜と勧められたが、まぁいいかと思って自前のパンツを使用することにした。たまに茶色様を誤射してしまうことがあるらしいけど、まぁその時は処分すりゃいいよ。どうせユニクロの安いパンツだし。
その後は随分時間が空いてたので、ほぼ寝て過ごした。寝ても寝ても眠いのがすごく不思議だけど、多分自分でも気づかずに手術や痛みで消耗していた体力を体が取り戻そうとしてるんだろう。もしかしたら血もめっちゃ出てたのかもしれない。とにかく何するにも猛烈に疲れる。
ちなみに弊社、今日から超超超超超超超繁忙期である。まじでごめんよ職場のみんな。
コンコンコンココココンコンコン
「タナオロシサン!テンテキオシマイネ!」
「えっ、ええっ」
16:00過ぎ頃、ノック激しい看護師さんに急に点滴を抜かれた。
何気に入院初日から腕に刺さりっぱなしだったもので、自分でもびっくりするほど不安になる。あんなに邪魔だと思ってたのに、いつしかいるのが当たり前になってた。失って初めて気づくあなたの存在感。ずっと私を助けてくれていたのに気づかずにごめんねといきなり脳内がありがちなJ-POPみたいになる。
ていうか今はなんかたまたま大丈夫っぽいけど痛み止めも入ってましたよねそれ!!私七か所やった人間なんですけど!!二、三か所の方と同じタイミングで外していいもんなんですかね!?ねぇ!私七か所やった人間なんですけど!!!
心の叫びも虚しく、点滴は持って行かれてしまった。うう、不安。
悲しみに浸る間もなく、夕食。
固形物が出てくるのが嬉しくてしゃーない。
夕食:七部粥、お豆腐のお吸い物、春雨と人参の酢の物、豚肉とほうれん草・人参・玉ねぎの炒め物(たぶん)
ほらだって画像でも認識できるくらいに粥の米粒が大きくなってきてるもん。
あとなんか粥、お茶碗になみなみに入ってたんだけどこれ普通の量?なんか「棚卸さん、昼食完食したらしいわよ」とか噂されてたりしない?
何はともあれごはんおいし〜〜〜最高〜〜〜!!
棚卸さんお豆腐大好物なのでまず真っ先に豆腐のお吸い物が消えた。おいしすぎ。味噌汁じゃなくてお吸い物なのシンプルでいいね。
酢の物も普段そんな食べないけど、酸っぱいもの久々すぎてめっちゃ美味しく感じた…でもこの酸味控えめなの塩梅上手だな?
そんでこの画像左上の謎の炒め物がね!めちゃくちゃおいしくて!!多分豚肉だと思うんだけどあれ舞茸?て思うくらいホロホロにやわらかくて、噛み締めるたびにうまみが出てきてまじで粥が進む〜〜〜なにこれどうやって作るの?レシピ教えてくれ。
そんなわけで今回も完食してしまった。
おいしいはうれしい…。
※ここからちょっとばっちい話あります。
食べ終わってテレビをぼーっと見てたら胃がすごい勢いで動き出した。慌ててトイレへ。
これはもしや初めての茶色か〜〜!?と期待をこめて腹に少し力を入れたら、バッボホン!みたいな下手くそなくしゃみみたいな音がして、お腹が急にスッキリした。
あれ…?と思って便座覗き込んだら、ほぼ水様だけどいけてたっぽい。
よかったよかった!!開通した!!しかも痛みもなかったし!!と思ってお尻拭いて立ったら、なんか便座汚れてはる。
え、て、なりまして、太ももをペーパーで拭いたら、なんかすごい汚れてしまっていた。
え、なんでそっちいった!?!?
一切無臭の赤ちゃんがするみたいな茶色だったので何も思わなかったけど、なんかやっぱり開通一筋縄じゃないかもしれない。それにしてもなにがどうなってそっちに飛び散ったのかは全く分からない。
入院生活やってみて持ってきた方がよかったな〜て思うものが今んとこ二つあって、
●クシ
●流せるおしり拭き
これだな。
クシは案外借りれなかったからシンプルに困ってるっていうのと、
おしり拭きは何もおしりを拭く用途だけじゃなく、太ももとか便座とかに被害がいった時にすぐさま対応できるから。
でもこれ入院してみないと絶対気づかなかったな〜。これからお尻で入院という方、流せるおしり拭き、まじでおススメです。入院記後半で総括としてまとめるね。
あと暇つぶしグッズ死ぬほど持ってきたけど、今んとこスマホとPCしか使ってない。
この日はその後延々友人とLINEして、たまに寝て、お見舞いにいただいたアイマスクして22時には就寝しました。えらすぎ。
あとラッキーなことに、開通後もあんまりお尻は痛くならなかった。今後もこうだといいのにな。