【漫画】イズミと竜の図鑑(著: 凪水そう) 未知の探求と竜の真実を紡ぐ冒険譚
未知を知る、これほどワクワクすることはないですよね!
未知の探求といえば冒険の醍醐味。どんな未知であろうと、それを探り知るための挑戦は読者の心をアツくさせる妙薬かなと。
ファンタジー作品における未知といえば宇宙船やら冥王やら使徒など様々で、そんな未知の謎解きは多くの作品で胸躍らせる重要なピース。中でもメジャーなのは竜。ファンタジーでは欠かせない最強種の一角。
そんな竜種を徹底網羅した図鑑の改訂作業を行う物語を描いたのが今回紹介の『イズミと竜の図鑑』。
ということで、まずは作品概要から。
名著と言われる『竜の図鑑』、実はテキトーで間違いだらけ。そんな図鑑を冒険者の獣人アルフと図鑑記者で吟遊詩人の冒険者免許を持つイズミのコンビが事実を解明し、現実を公にすべく取材の旅をする様子を描いた本作の良さは、冒険に必要な要素を詰め込み造り込まれた世界観と細やかで表現豊かな絵。情報過多とまでは言わない程度のハイコンテクストな背景も素敵だが、特に竜種の設定と描写が秀逸。竜といってもいわゆるテンプレなファンタジー作品で勇者と戦うようなドラゴンではなく、本作では「まるで現象」と語られるような、起源さえ分からない未知の生物として描かれ、竜と人々との関係性は作品紹介でも書かれているように、まさに『竜といえば金、名誉、神秘』。人の欲求の権現のようなこの存在が、取材という名の冒険の高揚感を高めると同時に、読者の没入感を深めている。
そして、何より登場人物の台詞が絶妙だ。アルフとイズミの掛け合いは、本質をつくような鋭さを見せることもあれば、コミカルでウィットに富むものもあり、二人の性格や関係性をよく現している。加えてイズミの上司である編集部部長ゴドーの深みのある言葉も必見で、主人公二人の存在をより際立たせている。
僕の本紹介は基本的にネタバレは避けているのだが、ひとつだけ、僕のお気に入りのイズミの台詞を紹介したい。
ぜひ、この言葉の前後のやりとりをお楽しみ頂きたい。
ちなみに作品紹介文はやや大人しい印象を受けたのだが、本の帯が完璧に補完していた。このインパクトたるや。刺さる人には確実に刺さる。
ここで、つくしあきひと氏ですよ。メイドインアビスですよ。そんな方が「すごくて嫉妬している」。実にわかりやすい。つまり、そういう作品です。流石にメイドインアビスほどあくが強くはないですが。
メイドインアビスを知らない方向けに言えば、ファンタジー作品としての純度の高さは折り紙つき、ということです。(ちなみに、こういう分かる人には分かる帯、結構好き)
本格的なファンタジー好きに刺さるのは間違いなし。ぜひその手に取って、この世界観を堪能してほしいと願います。
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