ボディタッチで、距離を縮める! 30代女子の「さりげない」ボディタッチ術
職場で「Aさんって、いつも自然にボディタッチできるよね」って話題になったとき、私の頭に浮かんだのは、大学時代の合コンの記憶だった。あの時、ボディタッチを駆使して男心を掴んでいた友達を見て、「女子って戦略家だなぁ」と妙に感心してたのを思い出す。
合コンが始まって、自己紹介もそこそこに、サキは隣の男のコにグイグイと話しかけていた。「仕事は何してるんですか~?」「休みの日は何してるんですか~?」
サキに、男のコはタジタジの様子。「最近、仕事で疲れてて…」と、弱音を吐いた瞬間、サキはすかさず「それは大変だね~!」と、彼の肩にポンと手を置いた。男のコの顔は、みるみるうちに赤くなり、目を輝かせながら、サキの話を食い入るように聞き始めた。
私自身はというと、その頃はまだ「ボディタッチ初心者」。下手にやると距離が縮むどころか、逆に距離感が迷子になる危険もある。ある日、勇気を出して、気になる先輩に話しかけてみた。「先輩、この前のプロジェクト、大変でしたね…」。そう言いながら、さりげなく肩に触れようとした瞬間、私は固まってしまった。あれ? 肩って、どの辺だっけ…? 焦っているうちに、先輩は「ああ、あれね…」と、話を始めてしまい、タッチするタイミングを完全に逃してしまった。
別の日には、面白い話をして盛り上がっている時に、先輩の腕を軽く叩こうとした。ところが、勢い余って、思いっきりビンタをしてしまった。「いてっ!」先輩は、目を丸くして私を見た。私は、穴があったら入りたい気持ちでいっぱいだった。
でも、サキの成功を見て「これだ!」と思った私は、ある日勇気を出してボディタッチデビューを果たした。ターゲットは同じバイト先の気になる先輩。仕事帰りのエレベーターの中で、二人きりになった。「今日は寒いですね~」と、私が言うと、先輩は「うん、ほんとだね」と、息を白くしながら答えた。その瞬間、私はチャンスだと思った。「あ、本当だ! 手、冷たっ!」私は、彼の手にそっと触れてみた。先輩は、一瞬驚いた顔をした後、「えへへ、そうなんだ」と、照れくさそうに笑った。
それからというもの、私は少しずつ自分なりのボディタッチのルールを見つけることにした。ただ闇雲に触ればいいってもんじゃない。むしろ、触れるタイミングやシチュエーションが鍵なのだ。例えば、以下のルールを自分に課してみた:
* 自然に見えることが絶対条件
例えば「お疲れ様~」と言いながら、肩や腕を軽く触る感じ。いきなり「ハグしちゃえ!」とかは無理。私はそんなキャラじゃない。
* 相手の反応を見極める
「触られるのが苦手そうな人にはやらない」と心に決めた。触れるのはあくまでコミュニケーションの一環だから、相手が不快ならアウト。
* 距離感を間違えない
触れるのは親しさが少しだけ深まった相手限定。まだ名字に「さん」付けで呼ぶレベルなら、触れるのは控える。
このルールを守ると、意外にもトラブルは減ったし、会話も盛り上がることが多くなった。ボディタッチって、単なるテクニックじゃなくて、相手との信頼関係がベースなんだと気づいたのだ。
ただ、正直なところ、女子として「これが正解か?」と迷う瞬間もある。職場の飲み会で、上司が「いや~、今日は疲れた~」と、肩を揉みながら席に戻ってきた。私は、「お疲れ様です!」と言いながら、上司の背中をポンポンと軽く叩いた。「おう、奈菜ちゃん、ありがとう」上司は、満面の笑みで答えてくれた。すると、隣の席にいた女子社員が、「奈菜ちゃん、あざとい~!」と、ニヤニヤしながら私を見てきた。私は、「そんなつもりないのに…」と、心の中でつぶやいた。こういうとき、「あざとさ」と「気遣い」の線引きが難しいと思う。
それでも、ボディタッチはコミュニケーションの一つの形であり、私にとっては「心を伝えるツール」のようなものだ。合コンでのサキの肩ポン、バイト先の先輩への手タッチ、そして今の私の飲み会での背中ポン。それぞれ違うけど、どれも「もっと仲良くなりたい」という気持ちから生まれたものだった。
もちろん、失敗もあるし、相手に誤解されることもある。だけど、何もしないまま終わるより、少しの勇気を持って一歩踏み出すことで、人との距離がぐっと縮まることもある。私にとって、ボディタッチは、そんな「距離を縮める魔法」なのかもしれない。
さて、次の飲み会では、どんな魔法を使おうかな?肩ポン?手タッチ?それとも、あえて触れずに「今日のボディタッチ、なし!」作戦を試してみるのもアリかも…。人生のどんな瞬間も、自分らしくアレンジして楽しんでいきたいものだ。