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#12 キルギス新妻訪問と誘拐婚
お昼のお茶が済んだのち、お母さんとおばあちゃんがナナ、近所に住む親戚の家にお嫁さんが来たから会いに行こうと行って来た。本当に毎日何かしらイベントを作ってくれてありがたい。
ご親戚の家に入ると新郎新婦の部屋?に白い幕が掛けられており、その上に色とりどりのスカーフがかけられていた。おばあちゃんが新郎のお母さんに祝福を与えると、幕が開かれ、低頭した状態の新婦が現れた。おばあちゃんが祝福の言葉をかけながら、新しく真っ白なスカーフを新婦にかけてあげる。
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新婦は18歳、新郎は19歳とのこと。若過ぎ。
キルギスではお嫁さんを誘拐してくると言う誘拐婚が盛ん。オルモン君の家で、お茶の席でカジュアルに、おばあちゃんとお母さんも誘拐されたの?と冗談のつもりで聞いたら、そうよ〜とのこと。めっちゃあたりまえじゃ〜んみたいな感じでびっくり。でも誘拐婚って言ったって、同じ村や隣村ぐらいで目星をつけて、まぁそれなりに見かけたことあるなこの人ってぐらいに、互いに認知している状態で攫ってくるんでしょ?って思ってたら、お母さんはそれなりに離れた町の出身で、お父さんが一目惚れし、ある日馬に乗って攫いに行き、そのまま馬に乗っけて今の村に連れて来たと言うから驚き。お母さんにとってみたら、え?!誰?!という人にある日突然攫われたことになる訳だ。そんな急に知らない人に攫われるなんて嫌じゃなかったの?って思ってしまうのだが、話してくれている時のお父さんとお母さん、初恋の話をする時のように照れちゃってヤダ〜恥ずかしい〜みたいな感じで、見ているこっちが恥ずかしくなっちゃうぐらい幸せそう。お母さんの世代までは誘拐されて結婚する事が一般的だったそうで、誘拐されて幸せなの?と聞いたら、うん!とのこと。お嫁ちゃんのディアナの世代からは、事前に知っている人と結婚するのが当たり前になって来ているので、誘拐されたいとは思わないとのこと。
とはいえ、若い世代でもまだ誘拐婚はたまに聞く話だし、両親の合意が得られなかった時に、日本でいう駆け落ち婚のように誘拐してくることもあるらしい。今回訪ねた新婦さんも、新婦側の両親の合意が得られず、新郎が誘拐して来たとのこと。んー見方によってはロマンチック?なのか?ちなみに誘拐された女性側がどうしても嫌なら離婚するオプションもありらしい。
前にコロンビア大学かどこかの教授が書いた『Art of choosing』という、選択肢が私達の生活、人生に与えるインパクトみたいな本を読んだが、その本によると選択肢が多過ぎても人は不幸に感じるものらしい。たくさんチョイスがあるのに、それらを得られないと思うと不幸に感じる訳だ。東西に分かれていた頃の社会主義の東ドイツ時代には、訪ねられる国は社会主義の国のみと決められていたが、それでも必ず年に数回国から休暇が約束されていて、他の社会主義の国を訪れることができたが、東西が統一されたのちは、世界中どの国を訪ねてもいいよ!と言われても、時間もなければ金もないという人は不幸に思うという話。
だから、誰と結婚してもいいよ!じゃなくて誘拐されて結婚するもんだ。と決まっていた方が幸せな場合もあるのかもしれないな。もちろん人によるのだろうけど。
まぁ、いずれにせよ、若き新郎新婦さん、末長くお幸せに!
17/June/2024
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