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#46 いざパミール高原、ワハーン渓谷へ出発!

仲良くなったホステルの友達が四駆でのプライベートツアーに出発するというので、見送りにホステル前に出ると、立派なランクルが停まっていた。運転手がお前は行かないのか?と聞いてくる。私もパミール、ワハーンには行くけど、シェアータクシーで行くよ〜明日出発しようと思ってる〜と伝えると、知り合いの運転手が明日ホログに向かって出発する予定だから連絡してみろ!俺と同じようなランクルだから!と言われ、連絡先を貰った。ちょうど、昨晩俺もホログにシェアタクで行くから一緒に行こうぜ〜という話になった、ホステルのセルビア君と、事前にシェアタク乗り場に行って運転手探そうとしていたから、その手間が省けた。運転手さんはタジク語とロシア語しか出来ないという事だったが、セルビア君がロシア語が出来るので、電話してもらって席をふた席予約してもらった。値段は400ソモニ(5,580円)。最近はガソリン代の高騰により、400ソモニは適正価格とホステルのオーナーに聞いていたので即決。350ソモニまでは落ちることもあるらしいが、50ソモニの差で壊れそうな車に乗るぐらいなら、ちゃんとした四駆に400で乗った方が良さそう。また、イスカンダル湖に一緒に行ったイギリス君は、四駆でない普通のタクシーに半額の200でどうだ?!と声をかけられタクシーで行ったが、通常四駆なら14〜16時間で辿り着くところを、四駆なら駆け抜けられる場所もノロノロ進まなければならず、21時間かかったらしい。絶対そこはケチらない方がいいと思う。

翌朝、運転手に指定された6時にドゥシャンベ空港にほど近いホログ行きシェアタク乗り場へセルビア君とタクシーで向かう。ワラワラと客引きに集まってくる運転手達に、私達の運転手の名前を伝えると、あの車だと教えてくれた。少なくとも6〜7台はホログに今日出発しそうな雰囲気。ホステルのオーナーは事前予約まぁ必要ないよ〜当日行けば乗れるからねと言っていたが、まぁ6時頃到着すれば実際乗りっぱぐれはなさそう。

ホログ行きシェアタク乗り場

予約していた人は私たち以外にも数人いるみたい?だったけど、時間通りに来ないので、カフェでコーヒーを飲んで待つことに。コーヒーインスタントなんだけど、ミルク入れる?と聞かれ、いりません!と答えたら、砂糖大量(ティースプーン3杯)入れられたコーヒーが出てきた。砂糖は入れるか聞いてくれないのね…インドとかパキスタンでもそうだけど、ミルクも砂糖もどっちも入れないって選択肢現地の人達に存在しないんだよな…

止める隙もなく大量の砂糖を入れられたインスタントコーヒーは最早ただの黒くて苦い砂糖水。無理!ってなってやっぱミルク入れてくださいってお願いしたよね。激甘のカフェオレだと思えばまだ飲める。

7時20分、ようやく人が集まり出発。座れないほど詰め込まれると聞いたことあるけど、人数は8人+ドライバーと適正人数。真ん中の座席を早く来て取れたのでなお快適。後ろ3人と前2人の真ん中の人はちょっと窮屈かもしれない。

ドゥシャンベから途中の町クロブ(Kulob)までは舗装された道で快適。爆睡しているうちにあっという間に4時間経過し、11時半にクロブでランチ休憩となった。トレーを持って並び、好きなものを注文していくスタイルの食堂。私はお腹が空いていなかったので、ペプシコーラの小さい缶だけを飲んだ。なんてったって、車にクーラーがないのか、つけていないだけなのかは不明だが、超暑くて食欲が湧かない。

クロブを出発して40分ほどで最初の検問に到着。パスポートとパーミット、滞在登録の3点セットを提出する。

そこからさらに1時間ほど走ると、ミネラルウォーターが飲める場所に到着し、そこで水を汲み直して一休み。

ジャバジャバミネラルウォーター

そこからさらに1時間ほどで第二の検問に到着。今度は私とセルビア君のパスポートを運転手さんが持って行き、通過。

ドゥシャンベ、クロブ、ホログを地図で見ると、クロブが中間あたりにあるように見える。16時間かかるって聞いたけど、意外とすんなり半分まできたな…まだ14時だけど、早く着きそうじゃない?と思い地図にホログと入力し、ここからどれくらいかな?と調べてみると、9時間半とでるではないか。え?距離感と時間が合わないんだけど?と思ったのも束の間。道の舗装はなくなり、つい先日崖崩れがあったんだって〜という場所が何処であるのかもう分からない程、至る所が崩れている悪路に差し掛かった。

崩れまくる道

渦を巻く茶色い濁流の対岸、今にも流れに飲み込まれてしまいそうな場所を、アフガニスタン側の未舗装の道路が走っている。谷に沿うように山を上がっていく細い家畜が歩いたであろう道を見上げると、崖に張り付くようにして白い小屋が建ち並んでいる。あんなところに人が住んでいるのだろうか?ランクルは未舗装のタジキスタン側の未舗装の道を土煙を巻き上げながらグングン進む。土埃がひどいので窓を開けられないが、エアコンがないので閉め切ってしまえばサウナ状態。こまめに開けたり閉めたりを繰り返しながら進んでいく。

濁流の向こう側はアフガニスタン
緑豊かなアフガニスタン

途中、中国語の看板。中国が輸出入のためにこんなところに道を通そうとしている理由はこの道を走っていればすぐわかる。大量の中国産電気自動車を乗せた車運車が崖崩れもモノともせずに、道路を占拠して走っているのをしょっちゅう見かけるから。大型のトラックが通るたび、片道通行となり待たなければならない。

中国主導で道路整備が進められている。


中にはナンバープレートをつけていない、中国産電気自動車を1台単位で運転して運んでいくのを見るが、この道を通ってドゥシャンベに到着する頃には、最早新車とは呼べないほど傷だらけになってしまっているのではないだろうか?と心配になる。

大型トラックとすれ違い、前の車をガンガン追い抜いてなかなかのペースで進んでいたが、突然前に渋滞が現れた。皆路肩に車を止め、車から人が降りて、思い思いの場所に座り込んでいる。これが噂の工事による通行止め。看板を見ると13:00〜18:30まで通行止めと書いてある。現在16:30。え?この炎天下で2時間も待つわけ?日本人だったら、この通行止めに引っかからない早朝、または遅くに出発するか、もっと日陰だとか水場だとか休みやすい場所で時間調整すると思うのだけど、タジキスタン人のシェアタクドライバーにはそのような計画性はないらしい。日陰とはいえサウナ状態の車の中も地獄、外の川沿いは風が涼しいが日向で地獄。

待ちぼうける皆様
対岸のアフガニスタンの村を眺めて過ごす
工事待ち渋滞


1時間ほどすると、谷間に位置する道には日陰が出来始め、やや過ごしやすくなり、対岸のアフガニスタンの村を眺めて過ごす。アフガニスタン側の村の方が緑が多く、女性が畑仕事に精を出し、子供達はロバを追う仕事を請け負っている。

道路の奥、工事現場から1人の男性が現れた途端、シェアタクのドライバー達は一斉にクラクションを鳴らし、行くぞ行くぞ〜と叫び声をあげる。時刻は18時。オフィシャルな開通まで30分ある。工事現場の男性はまだ待てとドライバー達に言っているようだが、皆聞く耳を持たない。クラクションを鳴らして一斉に抗議。と、そこに救急車が後ろから走ってきた。救急車は通さざるをえないと工事現場の男性がロープを下げると、私たちの運転手、救急車の後ろにへばりつくようにして一緒にロープを通過してしまった。日本でも救急車追いかけて飛ばす人いるけど、私たちの運転手がそれだった。

道路が開通した途端凄まじい土埃が舞い、一部前が見えない中、せっかちな私達のドライバーは飛ばす飛ばす。そんな中しばらく行くとまた渋滞。今度は何かと思えば、崖崩れがついさっき起こったとの事で、岩を退けないと進めないらしい。日が暮れ始め、あたりが紫色に染められていく中、シェアタクの運転手達が力を合わせて岩を退けていく。

ここで問題となるのがトイレ。町を離れるまでは何度かトイレ休憩があったけど、このクレイジーな崖崩れロードに入ってからは一度もない。青空トイレで問題ないのだが、プライバシーが保たれそうな場所もないからなかなか難しい。車から降りてトコトコ歩くと、壊れた橋の土台?護岸工事の跡?のようなものが出てきたので、そこの影に隠れて用を足す。車に戻って見ると、ここら辺に停まっていたはずという場所に車がない。え?!まさか置いていかれたりしていないよね?!そもそも道通れないんだもんね?!暗くなってきて、同じようなランクルが多いこともあり、ドアを開けてみては、あれ?この車じゃない!!を何度を繰り返しながら私の車を探す。すると後部座席に乗っていたタジキスタン人の青年が探しにきてくれた。車は先に行ってしまったという。青年についていくと私の車を発見。乗り込んだものの、他の乗客の姿はなく、青年も徒歩で先に行ってしまったではないか。運転手のジェスチャーによると、車が軽い方がいいから、降りてもらったとの事。じゃあ私も崖崩れの現場も見たいし、歩こうと思い外に出て歩く。現場に着くと、男性達が手で岩を退け、道を均している。私も手伝った方がいいかな?いやなんの役にも立たなそう…とりあえず写真を…なんてやっていたら、カラカラカラっと石が落ちる乾いた音がして、皆蜘蛛の子を散らすようにありとあらゆる方向に駆け出した。私も呑気に写真なんか撮っている場合じゃない!走りながら後ろを振り返ると、頭上の崖は迫り出しており、いつ落ちてきてもおかしくない様子だった。ランクルに乗り込み、運転手さんと崖崩れ現場を越えることに。私達の運転手さん、せっかちなうえにちゃっかりしている。私達の前にたくさんの車が立ち往生し、その車の運転手達は皆力を合わせて岩を退けているというのに、私達の運転手は手伝いもせず、2番目に通してもらってしまった。しかも岩を退けてくれている人々にクラクションまで鳴らす始末。頑張ってくれてるのに失礼でしょうが!

人力で崖崩れ後の道を修復


なんとか崖崩れ現場を越え、徒歩で反対側に行っていた他の乗客を拾い、また走り始める。暗くなってしまい、景色が見えない今となっては、完全なる消化試合。皆無言でぐったりと背もたれに体を預ける。

途中山の中に唐突に出てきたレストランに寄り、夕飯が必要か聞かれたが、暑いは疲れたはで誰も食欲は無いみたいだった。食べ物よりも早くシャワーが浴びたい。また湧き水だけ汲み、野戦場のようなニーハオトイレで用を足し出発。

金曜日に出発したので、到着は金曜の深夜か土曜日の早朝、土曜日の早朝に到着した場合、実質土曜日は半日潰れるようなもの。そして日曜日にはワハーン渓谷内の近距離シェアタク、マシュルートカは営業していない。その事を考慮して、セルビア君と私は、トレッキングで有名なJizev(ジゼフ)渓谷の起点となる町、ホログの一個手前のRushon(ルシャン)で降ろしてもらうことにしていた。もっと夜中になると、ホステルのオーナー達が寝てしまっていてチェックインできないのでは無いかと心配し、事前にWhatsAppで連絡して、空室がある事は確認できているが、せっかちちゃっかりな運転手さんのお陰で、そこまで遅く無い時間に到着できそう。

ルシャンで泊まる予定の宿はRushon INN。オーナーの電話番号に、今◯◯村です!もうすぐ着きます!と連絡をいれる。返事はないが大丈夫だろうか。ルシャンに入ると、メインストリート沿いにRushon INNの看板を発見。運転手にここで降ろして!と伝える。車の音を聞きつけて宿のオーナーも出てきて出迎えてくれた。連絡しておいて良かった。時刻は22:30。ドゥシャンベを出発してちょうど15時間。運転手さん、長旅&悪路の運転お疲れ様でした。ありがとうございました!

シャワーを浴びて、まったりした後寝ても23:30。常識的な時間に到着できてよかった…早速明日トレッキングに行けそう!

ルシャン・インのお庭
ルシャン・インのお庭
ルシャン・インの朝食

【ホログ行きシェアタク乗り場】
http://ge0.me/szyj2flnRO/Khorugh_%28Khorog%29_car_station_%28Badakhshan_Avtostantsiya%29
ge0://szyj2flnRO/Khorugh_%28Khorog%29_car_station_%28Badakhshan_Avtostantsiya%29

【ルシャン宿情報】
Rushon INN
一階の部屋(ドーミトリー)、めっちゃ小さいベッド(173cmぐらいまでの人しか寝れなそう)のツインルームは、朝食付きで1泊10ドル(105ソモニ)、2階の個室は1泊20ドル。キレイな庭があって、ガゼボや高床式の昼寝スペース?で寛げる。庭にはチェリー、リンゴ、アプリコット、ブラックベリーなどが実り、好きに食べていいからねと言ってくれる。

02/Aug/2024

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