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#72 レーニン峰2日目 キャンプ1へ

朝起きて、朝ごはんを頂いて、8時ごろキャンプ1に向けて出発。キャンプ1は標高4,400m、歩く距離14km、標高差は約600mなので、無理ならユルトキャンプから8kmのトラベラーズパス(標高4,100m程度)まで行って戻ってこようという予定にして出発。昨日行った360 view of everything の手前で左に折れて橋を渡るとベースキャンプサイトに到着する。ここは常設のテントが張られたキャンプサイトなのだが、全く景観がキレイじゃないから、これならトゥルパ湖のユルトキャンプに泊まればいいのにと思うが、3kmキャンプサイト1に近くなるのはメリットと考えてここに泊まるのだろうか?

トゥルパ湖ユルトキャンプの朝

ベースキャンプを過ぎると、左右を七色の山に囲まれた開けた場所に出る。ここは地元の人達の放牧場になっているらしく、ヤギ、羊、牛が沢山放牧されていた。遠くにロバに乗った羊飼いが見える。キルギスではやはり馬は豊かさの象徴なのかな?キルギスの他の地域と比べて、この周辺では馬が少ない。

川を渡り対岸へ。(橋あります)
猛々しい岩山と放牧地

ロバに乗った羊飼いの方から、1匹犬がこちらに向かって走ってくる。コーカサス犬って感じの見かけのおっきなわんちゃん。わしゃわしゃわしゃわしゃ〜!っと撫でてあげると、尻尾を振って大喜び。人懐こい。冗談で一緒にレーニン峰登るか?!と聞いたら、なんと着いてくるではないか。まぁ、平原が終わるまでかなぁ〜と思っていたら、登りになっても着いてくる。どこまで行っても着いてくる!勝手にバイ・ハン(Rich Ruler)と名づけ可愛がることに。

ついて来てくれるとこにしたらしいバイ・ハン

途中、登山道を逸れてどっか行ったな〜と思っていたら、マーモットのご遺体を意気揚々と持って戻ってきた。おやつおやつ〜!

ついてくるバイ・ハン
おやつのマーモットとバイ・ハン
生きたマーモット

あっという間にトラベラーズパスの麓まで辿り着いた。トラベラーズパスまで登るのはそれなりに急登り。皆スイッチバックの道をえっちらおっちら登っていく。大変そう〜と思ったけど意外と距離にすれば短いのですぐ到着。

トラベラーズパスの頂上付近から下を臨む。

登り終わると、目の前には思わずうわぁ〜!と思わず声が漏れるような絶景が広がっていた。虹色の山に囲まれた谷には氷山が迫る。大自然の造形美…360度どこを見ても美しい…

トラベラーズパス4,150mに到達。
真正面に迫る氷河。
背後には赤土の山。
氷河に刻まれた自然の造形美。
どこまでもついて来てくれるバイ・ハン
レーニン峰を臨みながら歩く。

ここまで私は余裕。ミシュカとワハーン渓谷を歩いたおかげで、スーパーマリオのスターを取った後のような感じでどこまでも行ける気がする。南アフリカ君は高度順応が十分じゃないのか結構ヘロヘロ。頭が痛い〜と登り始める前から言っていたので、とりあえずアスピリンと水を飲んで誤魔化し誤魔化し登っている感じ。どうする?と聞くと、トラベラーズパスの絶景に感動したのか、いける!との事。他の観光客が雇ったガイドさんも、キャンプ1までは大した登りでもないし簡単だよ〜と背中を押してくれたので、キャンプ1まで行ってみることに。

トラベラーズパスから辿った道を振り返る。

どこまでも続く絶景の中を歩いていくと、向かいから馬のキャラバンがやってきた。もう8月の終わりにはキャンプ1はシーズンオフとなりクローズするという事で、徐々に資材を持って降りてきているみたいだけど、恐ろしい量の荷物を馬が背負って降りてくる。ガスボンベからテントの資材、一体何キロあるんだろう?日本では乗馬クラブでサラブレッドに乗ってきて、馬って繊細な動物!足折れちゃったらどうしよう!と日々心配したりしたけど、キルギスの馬は本当に逞しい。しかも普通前の馬に誰かが乗っていて、後ろの馬は荷物だけを積んでいるパターンが多いのだけど、今回は後ろの馬に誰かが乗っていて、前の馬は無人だな〜と思って見ていたら、近づいて来たら前の馬に人が横たわって仰向けに乗っているではないか。え?!病気?!高山病?!もしかしてご遺体?!滑落事故でもあったの?!と心配したが、なんと乗り手は馬の上に横たわって昼寝しているだけだった。よくもまぁこんな悪路を荷物を詰めるだけ積んだ馬の上で昼寝しながら下山できたもんだ。キルギスは人も逞しい。

馬のキャラバン隊
馬のキャラバン隊を見守るバイ・ハン
ガレ場もなんのその。

左手にMaps.meには載っていない氷山の上を歩く道が見えた。Maps.meに載っていないし、氷山の上を歩くのは怖いので、普通の登山道を辿って行ったところ、渡河があった。これは川幅も広く、流れも早いので、岩の上を飛んで渡って等は出来そうもない。どうしたものか…これはもう靴を脱いで渡るしかない。渡河があるとは聞いていたので、一応サンダルを持っては来ていた。靴と靴下を脱ぎ、サンダルに履き替える。いざ水に足を入れると、当たり前だが身を裂くような冷たさ。流れも早く、下手をすると足を取られて転びそうになる中慎重に川を渡る。ゆっくり行きたいところだが、慎重に渡りすぎても足の冷たさに耐えられない。もう転んでもいいから渡り切らなきゃ!と焦ったところで、なんと流石に川は渡らず諦めて帰るだろうと思っていたバイ・ハンが私の隣に来てくれた。バイ・ハンの背中を支えにして最後の一歩を踏み出し対岸に片足を置き、最後の左足を水から抜いた瞬間、履いていたサンダルの踵が外れ川に流されて行ってしまった。あぁ!サンダルが流れて行った先を目で追うも、一瞬で濁流に飲み込まれ姿を消してしまった。なんて事だ…大自然にゴミを残してしまい申し訳ない…

氷山の上に続く地図にはない道。

岩の上に乗り足を拭くと、氷水の冷たさで足が真っ赤になっていた。靴を履き直して道を確認する。

氷水で足が真っ赤に。

道幅の広い登山道がすぐ右上に見えたが、これは登り坂。流石に登山も終盤、ハードな渡河の後で疲れているので、できれば登りたくない。これかな?と私が言うと、南アフリカ君があっちにも道が見えると言った。確かに右手の道より細いが、道があるように見える。しかもこっちは平坦。Maps.meを見るとこれらの道は合流するようにも見える。じゃあ登らない道にしようか。と言う事で歩き始めてしばらく、道に迷いました。こっちに進まなければならないという方向に道がない。微妙に人の足跡と馬の蹄の跡が薄っすら見えなくもない…さっきの川を渡り終わったところまで戻ろうか?と提案するも、ヘロヘロの南アフリカ君は戻りたくないと言う。まぁGPSは失われていないし、歩くべき方向はわかっているので、このまま進もうか?という話になる。川沿いを進んでいけば、いずれは元の登山道と合流するはず。私は元気だが、南アフリカ君は頭痛と息をするのが辛いらしい。彼のペースでゆっくり進む。途中、この道じゃダメだ。きっと辿りつかない。間違っているんだ、こっちじゃない。もうダメだ。とへたり込んでしまったので、むしろ私1人でキャンプ1まで行ってしまい、助けを呼んで来た方がいいんじゃないか?という考えが頭をよぎるも、GPSは機能していて方向は間違っていないことはわかっていたので、なんとか励まし宥めすかして先に進んだ。道を間違えても相変わらずバイ・ハンはついて来てくれる。なんとも健気で可愛らしい犬だ。

道に迷いました。
どこまでもついて来てくれるバイ・ハン
忠犬バイ・ハン

ここら辺で川の右側の丘を登れば元の登山道に合流できるだろうという場所まで来たので、とりあえず私が丘を登ってみることに。するとあった!登山道を示す看板だ!あ〜良かった〜!やはり道に迷ったとわかった最初の段階で戻れば良かったのだ。結果論として正しい道に戻れて良かった。南アフリカ君を呼び、待っている間にバイ・ハンがいなくなってしまった。どこへ行ってしまったのか?私たちが正しい道に戻れたから、お役御免とご主人の元に戻ってしまったのだろうか?寂しい気持ちを胸に、最後キャンプ1までの数キロの道を歩く。

キャンプ1が見えた!

なんとかキャンプ1に無事到着も、なんだかテント畳まれてない?!ムルガブで会ったイスラエルの女の子が、キャンプ1に泊まるなら白い大きなダイニングテントがあるキャンプサイトが他のキャンプサイトの1/2の値段だからそこにしろ!って教えてくれたのだが、そんなものはどこにも見当たらない。むしろ4個あるはずのキャンプサイトで営業しているのはむしろここだけ?いや、これ営業してるか?!閑散としたキャンプサイト内を歩いていると、ベンチに腰掛けてお茶しているヨーロッパ人達に出会った。あの〜ここ営業してます?と声をかけると、してるよ〜後数日で閉めるみたいで、昨日大きな白いダイニングテントも畳んじゃって、あの黄色いテントに切り替わったんだよね〜との事。あ〜良かった!私はいいけど、南アフリカ君は間違いなく今日中に下山するとかできなそうだから、一泊できるとわかって一安心。

シーズンオフ感半端ない。
常設のテント

受付がどこか教えてもらい、チェックイン。テントはスノコの上にすでに組み立てられてあるもので、中にはマットレスが引いてある。寝袋は付いてこないので、持ってない人は追加料金で借りることができる。私だけ持っていないので10ドルで借りたら、チャックが壊れており、変えてもらいに行ったら、-30度まで対応するめっちゃ分厚いやつに変えてくれた。本来これは7,000mの頂上用。寝袋を借りに受付に戻ったらなんとバイ・ハンが来ているではないか!しかもスタッフのお兄さんに可愛がられているところを見ると、どうやら常連らしい。通訳アプリでバイ・ハンはよくここに来るのか聞くと、スヤキはたまにここに来るよ!とのこと。バイ・ハン、スヤキって名前だったのね…(スヤキと呼びかけても反応なかったので、みな好きな名前で呼んでいるとみた)

可愛がられていた!
バイ・ハンあらためスヤキあらためバイ・ハン

テントへの帰り道、なぜかテントの枠組みに放置されている掛け布団と枕を発見。ラッキー!借りちゃおう。

放置された布団と枕

夕飯はビュッフェ。1食20ドル取るだけあってかなり豪勢。なぜか写真撮るの忘れたみたい…。日が暮れてくると一気に冷え込んでくる。が、-30度まで対応の寝袋だし、布団もあるし大丈夫でしょう!おやすみなさい!

25/Aug/2024

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