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#59 ワハーンロバ旅 ビビファトマ温泉

ミシュカを庭の草が食べられる場所に繋がせてもらって、アキム・ホームステイの中に入ると、到着した時出かけようとしていたイギリス君と、もうひとり今晩同室になるアイルランドの女性がリビングで寛いでいた。ロバで来たの?どこから歩いてきたの?とロバはどこで買ったの?と色々な質問に答えているうちに夕方になった。イギリス君は私が到着した時ちょうどどこかに出かけようとしていたようだったので、私の話で引き止めても悪いと思い、どこにいく予定だったのか聞いてみると、ビビファトマ温泉だという。暗くならないうちに行かなくちゃと言うので、私も一緒に行っていい?と尋ねると、もちろん!でもかなりの登りだし、5〜8kmほどあるけど大丈夫?今日すでにかなり歩いたでしょ?とのこと。大丈夫だよ〜まだ歩ける!と言うと、アイルランドちゃんも私も行く〜と言い始め、3人で温泉に向かうことに。

ビビファトマ温泉は山の上にあるので、シェアタクが町のメインストリートから出ているのだけど、アキム・ホームステイはすでに坂をそれなりに上がったところにあることと、イギリス君が行くのが2回目で近道を知っていると言うので、歩いて行くことにした。

出発前にアキムじいちゃんのお孫くんに、入湯料いくら?10ソモニだって聞いたけど?と尋ねると、いや、20ソモニ(268円)だよと言われた。ローカルは10だという説もあるけど、まぁ彼が言うなら20なのだろう。いずれにせよ100円ぐらいのことでうだうだネチネチ言う気はない。

アキム・ホームステイを出てすぐ、イギリス君が、近道ってさ、これのことなんだけど、イケる?と聞いてきた道、いやいやほぼ垂直じゃん!という登り道だった。まぁ、行きますか!と歩き始めるも、登りと聞いていたけど、ここまでとは思わなかったと言うアイルランドちゃんはなんとサンダル。私は登山靴だからいいけど、この近道獣道すぎない?!という登りが続く。アイルランドちゃん、お母さんから貰ったというショールを棘のある植物に引っ掛けたりとなかなか苦難の道…

まだまだ歩けるぜ!とは言ったものの、登りがキツい上に結構遠い…そろそろ着かないかな〜と思ったところで、5世紀ごろ建てられたとされるヤムチュン城塞が現れた。日が暮れ始め、紫とオレンジのグラデーションに空が染まる中、アフガニスタンの雪山を背景に見るヤムチュン城壁はなかなかにロマンがあった。

ヤムチュン城塞
この谷を温泉が流れ落ちていく
放牧されていた牛とロバが戻ってくる。

もうしばらく進むと、山から牛飼いが牛を追って戻ってくるところに出会した。牛に紛れてロバが1頭。イシュコシム、ナマドグッド周辺ではほぼ見かけなかったロバだけど、ダルシャイを越えたあたりから急に増え始めた。荷物を背負ってないし、下り坂だからかロバはトコトコ軽快な速足で降りてくる。ミシュカ、庭で隠居生活だったからか、圧倒的にのんびりしているよな…ロバ…本来ならあんなに軽快に走れるはずなんだよな…

いい加減嫌になった頃、ようやくビビファトマに到着。入場料はやはり20ソモニ(268円)。ビビファトマには2つ浴室があって、子宝にご利益があるという洞窟がある浴室はそのうちひとつのみ。日によっては30分に1回ほど男女の浴室を入れ替えて、子宝にご利益がある方の浴室にどちらもの性別が入れるようにするとは聞いていたが、19時に温泉自体が閉まる事を考えると、今日は時間的に片側にしか入れなそう。さて、どっちの浴室に当たるだろうか?!

ビビファトマ温泉の入口


脱衣所で服を脱ぎ階段を降りると、洞窟の鍾乳洞からジャバジャバお湯が噴出するめっちゃくちゃに野生味のある温泉が現れた。温度も42度ほどとちょうどいい。半室内の温泉なので、もくもくと立ち上がった湯気が浴室内に立ち込めて、鍾乳洞に張り付くように生えた苔を濡らし、めっちゃいい雰囲気…

岩壁を見ると、頑張れば入れそうな洞窟がある。これが子宝のご利益洞窟だろうか…想像以上に小さいし、結構高い位置にあるな…入っていいものなのかわからなかったので、地元のお姉さま達に、ジェスチャーで入ってもいいんですかね?!と尋ねると、パジャウースタ!(どうぞ!)とのことだったので、そいや!と一息に岩を登り、体を捻って中に入る。想像以上に穴が小さいので、骨盤を捻らないと真っ直ぐには入れない感じだった。一瞬出れなくなったらどうしよう…という思いが頭をよぎったが、もう入って向きを変える以外に降りるのも難しい。なんとか穴の中に入ると、地元のお姉さまがたから拍手喝采を浴びた。確かにそれなりにアスレチックかつ痩せていないと入れなそうなサイズ。が、入ってみるとかなり下の方は奥まで洞窟が続いてそうで、思わずスキューバダイバーの悪い癖で潜ってみようかと思ったが、水中マスクとトーチないから見えないし、本当になんかに引っかかって溺れたりしたら目も当てられないな…と思い直してやめた。

洞窟の中で小石を見つけて拾って持って帰ると幸運が訪れるという言い伝えがある?と聞いていたけど、結構深い上に、足で探ってみるものの砂しかなさそう。足の指で砂を掴んで持ち上げ手に乗せると、地元のお姉さまが何か必死に伝えようと洞窟のなかの私に話しかけてくれるのだが、全く何を言っているのかわからない。唯一わかるのは、ロシア語できないの?!と聞かれていると言うことだけ…ロシア語できないんです…と答えると、そうなんだ…ととても残念そうなお姉さま…私もめっちゃ残念…幸運の小石かわりに拾って欲しいのかな?と思い、手の平に乗せた砂利を見せると、自身の舌を見せて、舌を指差すお姉さま。砂利乗っけろって?と砂利を舌に乗せるとうんうん!と頷かれる。で?どうしたらいいんだ?!飲み込むの?!と飲み込むジェスチャーをすると、違う違う!と否定され…うわ〜ん!どうするのが正解なんだぁ!?結局何が正解なのかわからず、一旦舌に乗せた砂利は口から出して元の洞窟の中に戻して洞窟をでた。誰か…教えて何が正解だったのか…

その後腰湯をしていると、隣に座っていたお姉さまが急に私の太ももを掴み、ガバッと横に開くと、このお温泉、ココに効果あるからな!ココによくお湯を当てるんだぞ!と私の股間にバシャバシャお湯を当ててきてびっくり!あ、ありがとうございます…わかりました!よくお湯を当てるようにいたします。

お湯自体はそれなりに熱いものの、腰湯ができるエリアもあって、なかなかに長湯ができるな〜と思っていたところ、ん?なんか水位減ってない?気のせいかと思いアイルランドちゃんに確認すると、うん、減ってるよね…もう閉館の時間なんだろうね。とのこと。最後に肩までよく浸かり、出る頃にはお湯は膝ぐらいの高さまで減っていた。どこからどうやってお湯を抜いているのか不明だけど、源泉掛け流しな上に、毎日浴槽を空にして、お湯を入れ替えているとは衛生的。

外に出ると、日はとっぷり暮れて、結構暗い。月明かりに照らされる白砂の道を歩いて帰る。流石に獣道の近道はこの暗さでは無理!と言うことで車道を下るが、車道の方が距離はある。時刻は21時近く、心配してイギリス君の携帯にアキム・ホームステイの若女将が電話をかけてきた。そりゃそうだよね、夕飯の時間とっくに過ぎてるもんね。今向かってます!もう少しで着きます!と話していると、車が一台通りかかった。乗せてください〜とお願いすると、いいよ!とのことで、あと20分ほど歩かなきゃなところを乗せてもらって坂を降り、なんとかアキム・ホームステイに到着。長かった…

夕飯を頂き、就寝。今日は距離にして30km近く歩いたな…ビビファトマまでかなりの登り道だったし…でもセクハラ上官のお陰で、歩く距離が短縮されたから、明日は休息日にして、ミシュカとのんびりしよう。

12/Aug/2024

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