総じて幸せだった。
出かける前にティッシュ探しで、
2分はタイムロスしたのに
ティッシュの出番は結局こなかった。
乗りたかった電車には乗れなくて、
次の電車が来る前にネットで必死にチケットを購入し映画館を目指した。
ここはもう始まってるだろうからすぐ席に着くべきか。
いや、急ぎすぎて暑くなってきたしこれから2時間喉が渇くだろう、
そう思って、ジンジャーエールを頼んだ。
うそ。
ホットドッグセットを頼んだ。
映画館に来たらホットドック食べたくなる。
あ、でもプレッツェルみたらそっちも食べたいな、
我慢した。
映画のファーストカットは見れなかった。
席の座面を下に倒すのに必死になって、
振り返ったらもう映画は始まっていた。
ファーストカットはなんだったんだろう。
なんだろう。
絶対に思い出してしまうだろうと思った元彼の姿はあまり思い出さなかった。
けれど
バロンがマロンにしか聞こえなかった。
マロンは彼の実家で飼ってる猫の名前で
そして、いま彼が飼ってる猫の名前が
麦だった。
有村架純が好きで
付き合ってた当時、待ち受けにしていた。
彼女ながらに待ち受けにするかと思ったが
有村架純には負けると思った。
ところどころ胸が痛かった。
けど、泣かなかった。
ちょっと涙が目に溜まったくらい。
なんというか、
もうずっと前に終わってたんだ。
そう認識させてくれたように感じた。
彼とはずっと前から終わっていた。
ただただ、そういう思いに陥りたかっただけじゃないかと思った。
忘れられない人がいる。
そう思っていたけれど
そう思わせていたのは自分だったように感じる。
映画は総じて幸せで
理想の別れ方をしていて
羨ましくなった。
映画のようにお別れをしていたら
楽しかった日々を思い出して
微笑むだろう。
楽しかったね。
って。
彼も観ただろうか。
いっそのこと、一緒に観に行く?
なんて誘おうかと思ったけど
一緒に観にいくべきではないと
他の方々の感想をみて思った。
彼もわたしを思い出しているだろうか。
それとも高校時代から長く付き合った彼女のことを思い出してるだろうか。
すごく印象的に残ってるシーンは
結婚式の帰りに観覧車乗ってカラオケに行くシーン。
お互いこれから別れ話しようと決めているのに
肩に手なんかまわしちゃって2人とも楽しんでる姿が切なかった。
なんだか、いつ恋が見たくなりました。
奈々