【注文住宅攻略】意匠をよくするにはどうすればいいのか(面:床・壁・天井編)
面というのは床、壁、天井、そして窓です。これらを賃貸とは違う形にすることで簡単に垢抜けます。
以下が要点です。
床:フローリングなら突板以上で、できれば挽板か無垢板。フロアタイルもあり
壁:LDKや玄関など目に付く場所は塗り壁や板張り。その他は色付きクロス
天井:板張りや勾配天井、色付きクロス
各パートの解説に入る前に、木視率(もくしりつ)という考え方を共有します。
木視率の応用
木視率とは「木が見える割合」を指します。部屋の中で木材がどのくらい見えるのかを表した割合です。
図では目視率が左からおよそ90%、40%、20%です。(ログハウスなら木視率100%となる)
人は木視率30~40%だとリラックスし、45%~50%になると気持ちが積極的になるとされています。
木が無いモダンな空間の方が好きな人もいると思いますので、あくまで木の空間が好きな人という条件になると思いますがそのような傾向があります。
これを踏まえて、リラックスしたい寝室では30%、活動的なリビングは45%、インパクトを出したい玄関は80%というような使い分けがされます。
例えばコメダ珈琲店では、内装が木視率40%以上になるように設計されています。
飲食店に限らず、雑貨店やアパレルなど普段よくいくお店で木視率の視点で見てみてください。きっと落ち着く空間の共通項が見えてくるはずです。
「なんとなく落ち着く」という感覚的なものが定義できると自分の家づくりに応用できますが、感覚だけだと応用できませんので「なぜ?」を探りましょう。
というのが木の話なのですが、この話を出したのは木視率は他の素材でも同様ではないかと考えているからです。
前提として部屋のおおよその面積は天井が20%、床が20%、壁が60%です。この割合は全日本意匠検定で出てくるので覚えましょう。
要は木じゃなくても、自分が好きな素材や色を木視率の基準に当てはめると意匠がシンプルに向上するという仮説です。
木が好きな人は先の例でいいですが、誰しもが木が好きというわけでもないと思います。
かといって、賃貸と同じように床はシートフローリング、床と天井は白いクロスでは気分も高揚しないし、リラックスもしないと思います。シートフローリングと白いクロスはとても馴染み深いので、気が散るということは無いですが特別いいものだとも思ってないはずです。
だから、自分が好きなものを部屋の目的に合わせて木視率を取り入れるといい考えています。
天井と床を合わせると40%、床と腰壁を合わせると45%の面積になりますが、リビングはそのどちらかを自分が好きな色や素材を取り入れるといいはずです。家具を含めると床+家具だけで25%~30%ですので、できれば天井や壁に手を入れて比率を上げたところです。
玄関は長く滞在する場所ではないので、インパクトを出してもいいですね。
このように部屋の面積比から考えると、垢抜けるために手を入れるべき場所が部屋ごとに見えてきます。
とはいえ、日本人の傾向として木は好きだと思いますので、よほど木が苦手、無機質でモダンな感じにしたいという方以外は木視率を上げようとすれば大丈夫です。
木視率を上げる方法や、他の素材だとどんな手段があるかを各面で解説します。
床
面の中でも最も重要です。
床は一番目に触れる場所であり、その上に置く家具や空間全体の印象を大きく左右するからです。
どんな安い賃貸でも床はフローリングですし、店舗内装でも壁や天井が真っ白でシンプルでも床も白いというお店はなかなか無いと思います。
床は面の一丁目一番地ということです。
まずはフローリングから解説します。
フローリングと一口に言っても種類があります。
4つに分かれるので確実に抑えましょう。
シート:絶対避けよう
基礎情報
一番馴染みがあるフローリング
合板にプリントされた木目シートが貼られている木材もどき
メリット
一番流通しているので安い
板の間に隙間が無いので掃除がしやすい。水拭きができる
デメリット
見た目の偽物感がある
本物の木ではないので冷たい
肌に触れる場所がプリントなので足触りがベタベタする
新品が一番綺麗な状態で経年劣化していく(どんどん汚くなっていく)
突板:最低基準
基礎情報
本物の木を0.3~0.5㎜にスライスした状態で合板に張り付けたもの
メーカーではマルホンが有名
メリット
本物素材を使っている中では一番安価
本物の木の質感をカジュアルに楽しめる
合板の割合が多いので挽板や無垢板にあるような木の収縮が少ない。それにより掃除がしやすい、音鳴りが無い
デメリット
木の厚みがないため、傷をつけると合板がすぐに見えてしまう
合板が大部分なのでシート並みに冷たい
挽板:一番のバランサー
基礎情報
2~3㎜の木を張り付けている
合板に本物の木を張り付けている作り方は突板と同じで、木の厚みに違いがある
メリット
木の厚みがそれなりにあるため、本格的な木の質感を楽しめる
色味、風合いに優れた商品が多いため意匠性が高い
デメリット
シートや突板よりも高い。特に標準仕様がシートや突板の会社だと、全面採用に数十万円以上のコストアップになる(床は面積が広いため)
木の厚みがあるため収縮が大きい。湿度が低い冬に木と木の間に隙間ができてゴミが溜まったり、音鳴りが発生する可能性がある(湿度は地域や人の多さなど生活様式が大きく影響するため、一概には言えない)。ただし、無垢板に比べるとメンテナンス性は高い
水拭きを積極的にできない。ドリンクをこぼした時にすぐに拭かないとシミになる(シミは修復できるが、シートのようにふき取る以上の手間はかかる)
無垢板:経年美化と捉えられるなら
基礎情報
合板を使わずに木の一枚板から作られる。厚みは15㎜が一般的で、30㎜という厚いものもある
挽板も合板を含めた厚みは15㎜なので、本物の木2~3㎜+合板10㎜強で構成されているということになる
前提として、無垢板は2種類。広葉樹と針葉樹があり、前者は堅くて丈夫な反面、歩くと硬くて温かみは無い(あくまで針葉樹と比べてであり、シートや突板よりは多少温かい)。後者は柔らかくて温かい反面、傷に弱い
数百年と使用される神社仏閣の床は当然無垢なので、神社仏閣の床を汚いと思う人は合わないが、経年美化と感じる人には合う
メリット
本物素材なのでテクスチャが一番いい
温かくて柔らかい(特に針葉樹)
経年変化が楽しめる(変化後の色は樹種によって異なる)。人によってはシートフローリングの経年劣化とは異なり、経年美化とも捉えられる
デメリット
値段が高い。坪数や会社によるものの、標準ではない会社でオプション金額になると100万円以上の増額になる可能性が高い。標準外の会社は施工もしたがらないため、無垢板標準の会社ではないと採用が難しい(必然的にビルダー、工務店が中心になる。大手HMで標準は住友林業のみ。施工後のクレームを避けるため大手採用は難しい)
基本的にメリットの裏返し。本物であるが故の音鳴り、板の収縮が起きる(特に針葉樹はスギなど収縮が大きいものがあり、乾燥する季節はゴミが板の間に挟まって取りづらい)
床暖房が使えない(ただし、針葉樹は温かみがあるので床暖に近い暖かさは持っている。また、厚みを30㎜にするのもアリ)
不衛生という可能性は否めません。
隙間が生まれることで際限なくゴミが入り込み、爪楊枝で掻き出さないといけない状態にもなり得ます。
不思議なのが、無垢板を標準とする会社はこのデメリットを取り上げないことです。
無垢板標準の会社は壁も漆喰など「自然素材の健康住宅」と謳っています。
クロスやシートフローリングなどの新建材よりも糊などシックハウスの原因になる素材を使わないからです。
しかし、先の画像のように隙間にハウスダスト、埃、ノミ、ダニがいる床は衛生的なのでしょうか。大人はともかく、乳幼児やペットなど床に顔を振れたり近い場所で生活する場合、シートフローリングよりも本当に健康住宅なのか。
あまり議論されている様子はないですが、健康住宅というなら隙間にゴミが溜まりやすい無垢板を採用するのはあり得ないと思います。
厄介なのが、同じ樹種を採用した家でも隙間がほとんどないという方もいれば、採用を後悔するほどゴミが溜まるという方がいることです。
これはどちらも事実なのだと思います。無垢板と一言で言っても商品はピンキリで、出荷前の乾燥の程度によっても変わるはずです。
とはいえ自分の家に届く無垢板がどんなグレードなのか判断することはできませんから、無垢板を採用する時点で衛生的ではない住宅になり得るということは認識すべきだと思います。(物凄く不衛生というわけでもなく、ノミ・ダニが常に発生するカーペットを床全面に貼るのと同等だと思います)
自然素材さえ使えば健康住宅になる、というようなデマに振り回されずに商品を選定すべきだと思います。特に家族にシックハウスやハウスダストアレルギーを持っている方なら尚更です。
また、よくシートフローリングは傷が修復しづらいとか、逆に無垢板は傷がつきやすいという話がありますがあまり差は無いと思います。シートにできる傷と無垢板にできる傷は傷の種類は違いますが、どちらも傷はできるという点に変わりないからです。
またシートならシート、無垢板なら無垢板用のDIYによる修復方法はあるので、クロスや他の機械設備のように業者を呼ぶような話でもありません。
傷を理由にフローリングの種類を選ぶということはおかしい話なので違う要素で判断しましょう。
木のフローリングなら挽板か無垢板の2択
シートフローリングだとはっきり言って賃貸からの脱却は不可能です。
そのため、フローリングなら突板以上としています。シートフローリングだけは避けてください。
木のフローリングの中で一番高いのは無垢板ですが、これは見た目だけではなく踏み心地の柔らかさや温かさなど他の機能にも優れるので見た目だけのものではありません。
一方で収縮による隙間の掃除が必要になったり、手入れが大変、傷が目立つといったデメリットもあるので総合的に決めてもらえたらと思います。
突板以上、できれば挽板か無垢板にできれば意匠性はいいでしょう。
※本記事はあくまで意匠に絞って解説しています。意匠は気にしないという方が安価なシートフローリングを採用することを否定するものではありません。
無垢板や挽板の採用で一番のネックは間違いなくコストです。その2つにしたい方は契約前の時点で無垢板を使った際はいくらになるかという見積もりを出してもらってください。でないと後から簡単に数十万後半から100万円以上のコストアップになります。
一番安全なのは無垢板や挽板が標準の会社ですが、大手HMだと住友林業ぐらいなので大手を選ぶ方は確認が必要です。
工務店は比較的無垢板標準の会社がありますが、自分が使いたい樹種があるかは別なので事前に確認するのがベストです。
無垢板は樹種が豊富ですが、要望に応じて樹種を選びましょう。基本的にインテリアが洋なら広葉樹、和なら針葉樹+カバザクラという考え方になります。
洋風の部屋に合わせたい(意匠性重視)、経年劣化は不要:ナラ、アカシア、チークなどの広葉樹
カントリーなインテリアにしたい:パイン(飴色になるとログハウス風になる)
和風にしたい:カバザクラ、スギ、ヒノキ
木の香り重視:スギ、ヒノキ(傷の修復でアイロンを充てると温泉のような香りがする)
とにかく歩いたり経ったりしていて痛くならない柔らかい木がいい:スギ
経年劣化を楽しみたい:パイン、スギ、ヒノキなど針葉樹で紫外線を浴びると年々飴色になるもの
節がないものがいい:広葉樹や針葉樹の中でも節無し、上小節
ちなみに広葉樹は成長が遅く無垢材になるまでに時間がかかるため、価格が高くなる傾向にあります。
安く無垢板を使いたいなら針葉樹となるでしょう。
また、無垢板を使用するなら経年変化をした時の色も把握しておきたいところです。
いくつかご紹介します。
ヒノキ:銭湯や旅館で見るような色合いです。個人的にとても好き
カバザクラ:ヒノキに似てますね
フロアタイル
水回りと相性がいいのがフロアタイル。
メリット
固くて汚れに強い。水拭きできる
種類が豊富。洋にも和にも合わせられる
デメリット
硬くて冷たいので裸足はきつい
他がフローリングだと見切りがやぼったくなる
キッチンに黒いタイルを貼るのは鉄板ですね。
他にも無垢板が向かないトイレにもいいです。
水回りとして脱衣所もありますが、裸足になるので冷たいタイルは避けた方がいいでしょう。
ダウンリビング・小上がり
床の最後に、素材ではなく高さによってリズムをつける方法です。
床や天井高といった高さは素材以上に変化が大きいです。
メリットは以下です。
広く見える、感じる(廊下やダイニングとの天井高が変わることによるもの)
こもり感
柔らかなゾーニング
椅子やソファを使わずとも座る場所が増えるので、大人数を呼びやすい(ダウンリビングの場合)
他の床面と素材を変えても違和感が出ない(フラットな床で素材を切り替えるとどうしてもおかしく見える)
種類としては、ダウンリビングと小上がりの2つがあります。
床面から下がるダウンリビングは和洋どちらにも合います。
洋風でソファを使用する際、通常の床高から低い位置にソファが来るので空間が広く見えます。
特に、横幅ぴったりにサイズオーダーすると非常に美しいです。
造作ソファとの相性がいいですが、造作しないまでもソファメーカーで1㎜~10㎜単位のサイズオーダーができるので既製品ではなくオーダー前提がお勧めです。
また、ダウンした床を廊下やダイニングと異なる素材を使うことでメリハリが付き、より印象的な空間になります。
ソファや段差に座った際に足が触れる場所なので、固いフローリングよりもカーペットや畳といった柔らかい素材の方がいいと思います。
先の画像ではカーペットになっていますね。
畳との相性も良いです。普段、ソファに座るよりも持たれかけて床に座りがちな方には特におすすめです。お尻が痛くならずに床にも座ることができます。
小上がりという方法もありますが、これはリビングには向いて無く和室向きです。天井高が低くなるためリビングが狭く見えるためです。
一方で、和室は昔の茶室を思い浮かべてほしいのですが、小上がりになっている小さな扉から入るように作られていますよね。
こもり感が出るので、小さいスペースには向いています。和室ではなく、洋風のヌックにもいいと思います。
こんな場所で読書や昼寝ができたら最高ですね。ゲストが寝るスペースとしても活用できます。
ダウンリビング、小上がりのデメリットは以下です。
面積にもよるが、数十万半ばのコストアップ
バリアフリーではないので子供や老人がケガする恐れ
掃除の手間(他のエリアとロボット掃除機は共有できない)
コストは数万円どころではない上昇で、かつバリアの発生や掃除の手間が出るなど利便性が落ちることになります。
空間としての快適性を重視したい方、デメリットを住み方でカバーしようと思える方に向いています。
一番怖いのは子供や老人の店頭だと思いますが、床をカーペットや畳にすることで危険性を軽減できます。
壁
床と同じぐらい大切です。写真に収めると塗り壁は伝わりづらいので、床と比べると軽視されがちかもしれません。
しかし、その場所に実際に居座ると壁がただのクロスなのか、塗り壁や板張りだと全然空間のグレードが違うのはわかるはずです。
塗り壁
板張りも個人的には好きですが、テイストがかなり縛られるのと人によって好みも分かれるので塗り壁が第一候補になると思います。
塗り壁の中でも漆喰や珪藻土と種類や仕上げ方もかなりありますが、そこは好みで選んでください。色について、9割の家は白を選んでいると思います。
クロスの延長ですが、白にしておけば和洋どんなテイストにも合うので間違いないです。
白だからと言って地味かというとそうではなく、クロスはのっぺりしていますが塗り壁には表情があるので印象が違います。特に日や照明が当たると影になる部分ができるので美しいです。
塗り壁風のクロスもありますが、立体ではなくだまし絵なので影までは表現できません。
無垢板同様に、塗り壁は見た目だけではなく多少の調湿効果や消臭効果もあります。(ただ、これは空気清浄機などと比べると効果を実感できるほどのものではありません)
エコカラット
ちなみに、エコカラットが出てないじゃないかと気づく方もいると思います。
エコカラット人気ですよね。テレビボードの壁面や靴の収納スペースなどに貼る方も多いです。
ただ、申し訳ないですがエコカラットのかっこよさが私にはわかりません。一言でいうとサイディングに見えてしまうからです。
意匠の外装(ファサード)の話になりますが、サイディングが意匠に劣ることはご存知かと思います。色や模様どうこうではなく、目地があるため偽物感が出てしまうためです。
これと同じことをエコカラットにも感じてしまいます。
そもそもエコカラットを貼る目的はなんでしょうか。おしゃれだから?それとも調湿・消臭効果?
どちらもという方が選ばれているのだと思いますが、エコカラットに限らず壁の建材で調湿・消臭効果を人が実感できるレベルの商品は存在しません。
エコカラットには消臭効果があると書いてあります。それは嘘ではないですが、人が分からない程度の消臭効果があるという意味です。靴箱に貼ったところで、部活動で使った泥と汗にまみれた子供の靴を置いたら臭くないわけがありません。加齢臭がするお父さんの靴を置いて臭わないわけがありません。
つまり、気休めということです。調湿・消臭効果はおまけのおまけだとすれば、目的はおしゃれだからになります。
でもおしゃれということを考えると、エコカラットじゃなくても良くなりませんか?
たとえば、ブリックタイルという商品があります。
レンガや石の質感を表現した本物のようなタイルです。
意匠性でいればこちらの方が優れています。ブリックタイルには調湿効果などはありませんが、エコカラットの調湿効果が気休めだとすれば意匠性だけで比較するべきなはずです。
しかし、エコカラットの方が売れていると思います。これはLIXILのマーケティングの勝利だと思っています。
単なる調湿建材では売れない(そもそもその機能は大したことが無い)、一方で意匠性で勝負するともっとかっこいいものがある。その間になるユニークなポジションを自らが作ったのです。
とても優秀なマーケターがエコカラットを作り上げたと思います。
今やエコカラット=おしゃれという方程式がユーザーには広まっています。加えて凄いのが、注文住宅を検討していない人でも認知されるほど有名なことです。
この状態は最強で、施主自身がおしゃれにしたくて自発的にエコカラットを選ぶことはもちろん、来客したときに「エコカラットあるんだ!」と気付いてもらうことができます。
まとめるとエコカラットという商品は意匠性70点、機能性90点の商品だと思います。
ただし、機能性100点というのは壁に使う建材の中での話なので、100点であっても空気清浄機のような効果はありませんので気休めの範囲は越えません。
なので、私はエコカラットを貼るならブリックタイルなど他のタイルでもいいのではないかなと思います。
否定的な意見を出しましたが、決してエコカラットを採用する人を否定するものではなく、超個人的な意見ですのでこういう考えもあるんだなぐらいに留めてください。
注文住宅は建てた家がその人の正解です。壁を真っ黄色にしようが、天井に金箔が貼ってあろうがその人が幸せなら口をはさむものではありません。
私の記事はこれから建てる人に向けたものなので、既に家を建てていてエコカラットを採用している人の家をどうこういうつもりはないのでその点宜しくお願いします。注文住宅は自分が好きなようにしていいものなので、好きなものを否定する権利は誰にもありません。
ハイグレードクロス
あれだけ言っててクロス?と思ったあなた。クロスは実はピンキリなんですよ。
賃貸クロスもあれば、美術館や店舗レベルのクロスもあります。
建てる会社の標準の中から選んだらまずダメクロスです。差額払ってでもハイグレードクロスを選びましょう。
塗り壁が標準じゃない会社だと塗り壁はかなりのコストアップになりますが、クロスはどの会社でも必ず施工するので施工費用と最低限のクロス予算が坪単価に入ってます。
つまり、ハイグレードクロスを選んだところで差額が多くないということです。このことは覚えておいた方がいいでしょう。
私が知っているハイグレードクロスは、サンゲツのエクセレクトシリーズです。
6つのカテゴリーから構成され、そのどれもがクロスを超えたクオリティです。
ハイグレードクロスもベクトルがありますが、本物と見間違えるフェイクを極めたクロスというのもありますが、エクセレクトは違います。
下地はクロスですが、本物素材を表面に浸かっているので本物なんです。通常のクロスは塩ビなので、どこまでいっても偽物感はぬぐえません。
遠目で見るとレンガっぽく見えても、近寄るとペラペラで悲しくなるというものです。
エクセレクトは例えば和に合う和紙シリーズの表面は本物の和紙です。
標準から選ぶと和紙風という和紙の模様だけをプリントしたものですが、エクセレクトの和紙は本物なのでクオリティが段違い。
写真だと伝わりづらいかもしれませんが、クロスの感じはしませんよね。
織物シリーズは光が当たると暖かい表情が出てきて最高です。
お勧めは和紙、織物、珪藻土の3つです。織物は実際に織り込んでありますし、珪藻土も表面に本物の珪藻土が張り付いています。
板張りや塗り壁、勾配天井などはかなりのコストアップですが、ハイグレードクロスならどんな会社でも安価に取り入れられます。
漆喰や珪藻土を実際に塗り壁にするのはきついけど、普通のクロスは嫌だ。。という方はこちらを。
お気づきの方もいると思いますが、㎡3000円以下の商品を挙げています。
1万超えるものもカタログにはありますが、3000円以下の商品でも十分なクオリティです。
標準のクロスは㎡1000円以下、下手したら500円以下という安すぎるものなはずです。
それを少しのアップグレードでここまで印象を変えられるなら採用しない理由はありません。
繰り返しですが、標準の賃貸クロスで意匠性高い空間というのは不可能です。
本物の塗り壁や板張りをするか、ハイグレードクロスを採用しましょう。一部だけなら標準でもOKです。
天井
床、壁は分かりやすいですが、天井ってピンとこないですよね。
天井がこうなってたらいいのにな、と日常的に思うことはあまりないはずです。
だからこそ意識すると空間のグレードが上がります。
天井高
床、壁は表面のマテリアルの話が中心でしたが、天井で一番重要なのは天井高です。
この高さによって空間の印象が大きく変わるからです。
実際は高い天井、吹き抜けに憧れる人が多いです。
それが本当に好きならいいのですが、高さ主義ではなく落ち着く空間を求める人は天井高を抑える場所と高くする場所のメリハリをつけてください。
通常、戸建ての天井高は2400㎜です。何も指定しないとこの高さになっていることが多いです。
しかし、家全体が2400㎜にするよりも、寝室や廊下、風呂・トイレなど開放感が不要な場所は2100~2200㎜に抑え、LDKを2400㎜~2600㎜にするといった方法もあります。
そうすることでLDKが同じ2400㎜だとしても、狭い空間から広い空間に出るときの目の錯覚で広く見えるからです。
また狭い空間で天井高があると逆に落ち着かないということが起きます。畳数と天井高はある程度比例させるべきで、例えばトイレで2600㎜とかは高すぎるのです。
最近はコンパクトな家が増えてきたので、LDK以外は狭い部屋が多くなっています。そこで天井高が今まで通りだと落ち着かない部屋になります。
抑えるところは抑え、開放感出したり長く滞在する場所の天井高を上げるといった工夫をしてみてください。
吹き抜け・勾配天井
吹き抜けは説明不要かと思います。
勾配天井もご存知の方は多いと思いますが、2階リビングの方は積極的に取り入れたいですね。ただ、費用は高く、私の場合は㎡万円で断念しました。やりたかった。。
ちなみに、両方のデメリットとして単純に空間の容積が増えるので空調には不利です。採用しなかった場合よりも電気代が多くかかることは認識しましょう。
ちなみに、吹き抜けは個人的には好きではありません。
吹き抜け自体は昔からありますが、最近はエアコン1台で全館空調をすることを目的に吹き抜けを採用する家が増えています。
スーパー工務店と言われる(もしくは自称する)会社では吹き抜けの施工事例を多く見かけます。
家でとにかく嫌なのが生活音です。吹き抜けは空調を優先して、生活音のうるささに耐える家です。
1階リビングから2階寝室のドアが見えるような間取りがありますが、恐怖でしかありません。
一人起きたら全員起きる、先に寝ても起きている人の生活音が丸聞こえですが、どうやって休むんでしょうか。
しかも気密性が高いので、低気密な実家や賃貸よりも音の逃げ場所がないので生活音は大きく聞こえます。
板張り
よくやられるのは板張りです。特に窓から見える外の景色と繋がるように軒天と板張りを繋げるのは広さも感じられて有効な手法です。
塗り壁
壁と繋げて塗り壁にするのももちろんいいですよ。板張りにして重さを感じたくないならこちらでしょう。
ダウンライト0
次に、照明のパートに関係しますがダウンライトを0に近づけることも重要です。
「え?ダウンライトっておしゃれじゃないの?」と突っ込まれそうです。
ダウンライトの問題は天井面が汚くなることです。天井が白いキャンパスだとすると、そこに穴が開いているような状態になります。
できるだけ天井面を見せるようにすると天井が繋がって見えますのできれいになります。
なので、とりあえず照明はダウンライトにしようということで、キッチンやリビングに何個もつけると天井が汚くなります。
じゃあどうするのかということは照明のパートに譲りますが、できるだけ0にするということを心がけてください。
葦簀張り
和室を作る方も多いと思いますが、リビングを削ってまでせっかく作るなら上質な空間にしたいところです。
おすすめは天井の葦簀張りです。簾なようなものを天井に貼ると、とてつもなくかっこよくなります。旅館の茶室のようです。
私の家の和室は3畳ですが、材料と工賃込みで6万でした。
この金額でここまでかっこよくできるならやらない手はないです。かなりコスパがいいです。
スタイル別の参考仕様
インダストリアル
床:無垢板(ダークブラウン塗装)
壁:板張り、塗り壁
天井:板張り(ダークブラウン塗装)、勾配天井
窓:上げ下げ等
照明:テーブルライト、天井に照明無し(天井が凝っているのでノイズを最大限無くしている)
備考:木視率40%
広さ:6畳程度
和
床:畳
壁:塗り壁
天井:塗り壁
窓:地窓
照明:シーリング
備考:小上がり
広さ:3畳程度
和モダン
床:無垢板(スギかヒノキ)
壁:塗り壁(白ではなくグレー)
天井:塗り壁
窓:ハイサイドライト
照明:ブラケット、ダウンライト(足元にあるので寝ていてもまぶしくない位置)
備考:小上がり
広さ:8畳程度
床:カーペット、無垢板
壁:塗り壁
天井:塗り壁
窓:地窓等
照明:ブラケット、ペンダント、テーブルライト、ダウンライトなし
ゾーニング:ダイニングと分かれている
広さ:3畳程度(リビングのみ)
ナチュラルモダン
床:廊下が無垢板もしくは挽板、リビングがカーペット、ダウンリビング
壁:塗り壁
天井:塗り壁
窓:廊下に大開口木製サッシ、ソファに引き違い
照明:ペンダント、リビングにダウンライトなし
ゾーニング:ダイニングと分かれている
広さ:8畳程度(廊下含む)
床:カーペット、無垢板、ダウンリビング
壁:塗り壁
天井:ルーバー
窓:右に腰窓、左に出窓
照明:テレビ上にコーブ照明
ゾーニング:ダイニングを続いているが、ダウンリビングと仕切りとなる収納で分けている
備考:スタジアム型で、両サイドにソファなしで座れるスペースを造作。大きな窓は座れるような出窓になっており居心地がいい場所を作っている
広さ:6畳程度
ナチュラル
床:無垢板もしくは挽板、ダウンリビング
壁:塗り壁
天井:板張り
窓:廊下に大型のFIX(ソファ側に窓が無いことで、落ち着きのある暗さを意図して作っている)
ゾーニング:リビングが独立
備考:木視率40%
広さ:6畳程度
床:クッションタイル(ダイニングの水、汚れ対策)