私の旅路 No.3
次に訪れた部屋は、とても寒かった。旅人は、寒さから起こる痺れを微かに感じた。先程の空間と違い、静かだ。
目の前に見えるのは氷山らしき吹雪いた白い三角の形があった。旅人の格好は、少し薄着だった。気付くと身体は冷えきり、所々、硬直し凍傷しかけていた。灰色の景気をした薄暗さ、日も出ていない。誰かが立ち寄りそうな気配もしない。大地には足跡がない。
一体、どうしたものか?動かせる部位を頼りに前に進んだ。進んで、進んだ先に煙の上がった小屋をみつけた。まだ距離はあるが、諦めるよりも先に進むべきだと感じた。
旅人の胸中は、一歩一歩踏ん張ってく気持ちでいっぱいだった。ようやく小屋の前に着いたが、とてもじゃないけど旅人が入れる大きさではなかった。
そして、小屋にはコビトが居た。それでも、寒さに耐えきれなかった旅人は小屋の入り口をノックしてみた。コン、コン、コン、と三回ノックをした。
コビトは小さなドアから顔を出し、旅人を招き入れた。しかし、彼らの大きさと違う旅人は「小屋の中には上がれない」と言うと、雪をなめてごらんと言われた。
私は、ただでさえ寒いのに雪をなめるなんて?と少々不機嫌になったが言われた通りなめてみることにした。なめてみると、冷たくないと思った。雪と聞くと、冷たい。白い。ふわふわしたものと思い込んでいたがそうではなかった。少し甘酸っぱい味がした。懐かしいと思った。私はどこで知ったのだろう?と考えている内に、身体は二回り小さくなっていた。
私は、なんだか気になって、荷物の中から小瓶を取り出し少しばかり雪を頂戴した。コビトは再びお上がりと声をかけてくれた。旅人はお言葉に甘え、中に入った。
何か口にしますか?と問われ、温かいものを頼んだ。しかし、身体のほとんどは硬直しているため、温かいものに触れた肌は想像より痛く、痺れる感覚が奥底からじわじわと湧き上がる苦痛感に旅人は顔をしかめた。けれど、痛みの中から僅かに感じる暖かさに安堵した。
そんな、ほっとする間に一声飛んできた。コビトは旅人に質問を投げかけてきた。「あなたは、どこからどこへと行きたいのか」と。本当のことを言うと、どこからどこへと行きたいなど考えたことがなかった。コビトに時間をいただき、旅人は悩むことにした。