私の旅路 No.5
次に訪れた部屋は、時計の針を気にせず喋り続けるお日様とお月様がいる場所だった。私は、お日様とお月様が互いの話題の重さでシーソーをしているように感じた。
また、なんて不思議な空間なのだろうか。徐々に明るさが変わるわけでもなく、彼らの話すタイミングによって傾く外界。
旅人には、ひっそりと魔のタイムサイクルが近づいていた。旅人の規則正しい軸は崩れ、たちまち一風変わった生活がやってきた。旅人は、お日様とお月様の会話に耳を傾け、ひとり想像する時間に面白さを味わい寝ることをやめた。それが楽しく、他に困る様子がまだ見当たらなかったからだ。
彼らのおはなしは、とにかく話題が尽きなかった。というより、私が聞き入ってしまう程、魅力を実感してしまったからだ。
お日様は、天気のはなし。人獣たちのはなし。輝く音のはなし。をお月様に自慢げに話していた。それは、自分のことのように笑顔いっぱいの顔つきで語っている。
お日様は「人獣たちは、大勢が嫌いなの。でも、いつも時間ぴったりに長い箱に入り目的地に向かうの。その箱はたくさんの合図で私に挨拶するの。だから、その合図をアラームに私は主役になるのよ。」あなたは知っていたかしら?とお月様に尋ねた。
お日様は難しそうな顔を浮かべた。「でも、その移動方法はとても過酷なのよね。彼らは、少しでも気を晴らす為に朝から踊ったり物語の主役になりきったり様々なの。楽しそうでしょ?見ているとこっちまで私もどんな朝を迎えようか考えてはワクワクが溢れてしまうの。」と言った。
お月様は「その楽しげな気持ちが日差しを強くしてしまうのね。」と、笑って言った。私は、「きっと、毎日が楽しいのだろう。」と、呟いた。
私はお日様の笑顔いっぱいに話す姿を可愛らしいと思った。
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きなこは、どんな感情や経験した人生だけでなく、名前も愛しています💓そんなピュアな愛情を隠さずに、たくさんの人たちに届けます!!よかったら、一緒に人生のネタを探しに行きませんか😊?